第二話 老人
魔法の才能が無い?
じゃあ毎日夢想してたのは何だったのか?
「先生!何かの間違いです!そんなはずがありません!」
「見極めの水晶に間違いは有り得ません。稀に魔法の才能が無い人も居るのです。辛いとは思いますが魔法が使えなくてもやれる事はあります。また明日学校に来てこれからのことを話し合いましょうね」
その後も先生は慰めの言葉をかけてくれていたがあまりのショックで耳に入ってこなかった
せっかく魔法学校に入学したのに魔法の才能が無いなんてどうしたら……
自分の足が地面に付いているのかどこに行こうとしてるのかも分からないままフラフラと歩いていると見覚えのない細い路地に入っていた
路地のなんとも言えない異質な雰囲気に放心していた意識が現実に引き戻される
「おい、にーちゃん。いいのあるぜぇ」
「うわぁ!?」
背後から声を掛けられ思わず声が出た
振り返ると怪しげな老人が布の上に様々な物を並べて座っていた
ヤバい、変なのに絡まれた
「驚かせてすまないねぇ、特別にその分安くしとくよ。ウチにはにーちゃんの欲しい物が必ずある、さぁ見ていきな」
恐らく誰にでも言っているであろう商売の常套句を言いながら見ていくよう促してくる
ここは相手を刺激しないように適当に話を合わせて立ち去ろう
そう決めて老人の近くに行くと無性に目を引かれる一冊の本があった
「おっ、コイツがにーちゃんを選んだか。なるほどねぇ、コレはいい品だよ一点物だ」
俺の目線に気付くと老人はすかさず売り込んできた、きっと高く売り付けようとしてるに違いない
「いや〜でも生憎持ち合わせがコレだけしかなくて。そんな立派な物は買えないですよねぇ?」
所持金を少なめに偽り逃れようとする、この金額ならせいぜい駄菓子屋で飴一つ買うぐらいしかできない。老人も諦めるだろう
「ならその半分でいいぜ、コイツがにーちゃんのとこへ行きたいってさっきからうるさいからな」
そう言って老人は俺から金を取り、本を押し付けてきた
「えっ!?」
まさかやんわりと断るつもりで言った金額の半分で買えてしまった、少しだけ心が痛む
「じゃあな、にーちゃん今日はもう店じまいだ。帰るならそっちの道を真っ直ぐだぜ」
老人の言われるがままに本を抱えて路地を出る
「人生楽しめよ〜、振り返るなよ〜」
少しずつ小さくなっていく老人の声を背に受けながら道を進むと見覚えのあるいつもの通りに出た
こんな所に繋がっていたのかと振り返るとそこには道はなく、民家の壁があるだけだった
魔法の才能が無いと言われたショックで白昼夢でも見ていたのか?だが脇に抱えた本の重みは変わらずここにある
色々考えた結果、とりあえず家に帰って寝ることにした




