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085.爺、手綱を抑えて、いざ行かん。

朝、じゃわえ。

何時もの日課を終え食事も済ませた儂は、晶石産地地帯への立ち入ることにのぅ。

まぁ、このことのために、ここへ訪れておるのじゃから当然であるわい。


ただのぅ、晶石感知可能かを調べる卒業試験との側面のため、本来は教練所の教官が同行することになっておったのじゃよ。

じゃがな、今の晶石産地地帯への立ち入りは非常に危険であろ。

ゆえに赴くメンバーから教官達が除外されることにのぅ。


正直、兵士達が重症を負う地へ足手纏いを引き連れて立ち入るなんぞ自殺行為じゃてのぅ。

そんなわけにて、晶石産地地帯へと赴くのは騎士数人とダリル様、そして儂となったぞい。


セルフィス様やゼルフト様も行きたがったのじゃがのう、国の重鎮たる宮廷魔術師と国宝の宝級鍛冶師殿を危険に晒すわけにもいかぬでな。

ゆえに同行を止められておったわえ。


儂らはの、嬉々とした様子が抑えられぬダリル様に率いられる感じにて出掛ける。

いや、子供けぇ?


許可は既に得ておるゆえ、検問も問題なく通り晶石産地地帯へとのぅ。

『龍の顎』と言う厨二病チックな通称を持つ地は、牙が乱立する龍の下顎の如き地形をしておったわえ。

その厨二病と言う恐るべき病に冒された輩なればのぅ、ハイテンションにて突入しかねぬファンタジー感あふるる地じゃったぞぃ。


いや、儂らを置いて突入しかねぬ方が実際に居られるのじゃがな。


「ダリル様、落ち着いてくだされ。

 ここへは魔獣や魔物を屠りに来たわけではないですじゃ。

 あくまでも儂の卒業試験の一環として訪れておることを、ご理解いただきたいのですがのぅ」


「う、うむ、心得ておるぞ。

 当然であろ」


いや、そうは思えぬのですがのぅ…


今にも走り出しそうなダリル様を先頭に歩みを進める儂ら一行なのじゃがのぅ。

なにせ晶石を感知しつつ歩まねばならぬため、その歩みは遅いと言って良いじゃろて。


いや、実はのぅ、既に晶石の感知はできておったりするのじゃ。

っと言ってもじゃ、晶石の欠片と言うか、俗に屑晶石と言われておる程度の代物でしかないがのぅ。


それでも集めて錬金精製してやれば使用に十分耐えうる代物にはなるじゃろうがな。

じゃが、そのためには彼方此方へと散らばる屑晶石を集める手間が掛かるゆえ、割には合わぬであろうよ。


しかしのぅ、晶石を感知できたと言う証にはなるで、晶石感知が可能であることを示すには十分と言えはするぞい。

では、何故告げぬのか?


いや、当然であろ。

そのようなことをすればじゃ、滾り切った闘犬を頚木から放つようなもの。

ダリル様に引き回される未来しか見えぬわっ!


そして、ゆるりと移動しておるとじゃ。


「ぬぅ、先を越されておる。

 いったい何者が、某の獲物を…」


いや、別にダリル様の獲物ではないですからなっ!

じゃが…確かに誰が?


素材も回収されずに放置された討伐済み魔獣が数体ほど転がっておったのじゃ。

ううむぅ、見事な斬り口と言えようぞ。


それを見付けた後、行く先々にて屠られた魔獣や魔物の姿がのぅ。

それを見付ける度に、ダリル様がイライラとされ始めてな。

ううむぅ、困ったものじゃて。

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