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052.爺、森へと分け入り探索なのじゃ。

儂らが森へと分け入ると同じ頃、宿営地より騎士を乗せた馬が数騎ほど街道を走り去ったわえ。

森林地帯の村へと危急を告げるために使わされた伝令じゃよ。


既に邪獣が湧いておるやもしれぬし、怪異も湧いておらぬ保証などないでな。

そんな危険な生き物が村へと向かっておらぬ保証などないからのぅ。

村にて警戒は必要じゃろうて。


皇都より晶石産地へと続く森林地帯を貫く街道は北東へと延びておるのじゃがの、魔素溜まりは昨夜泊まった宿営地より西。

いや、西よりやや北側といったところかのぅ。


そんな方向へ道などあろう筈もなく、鉈なんどで藪を切り開きつつ進むことにな。

中々に重労働を強いられる行軍であったわえ。


途中で見付けた獣道を利用したりしつつ魔素溜まりを目指すわけじゃが、歩みは遅々として進まぬのぅ。

まぁ、仕方ないことではあるのじゃがな。


うおっ!またかえっ!

死角より魔獣が襲って来よったわぇ!


しかも魔獣と化したとはいえ、人を襲わぬ大人しき草食であろう筈の獣がじゃぞぇ。

何気に凶暴化しておる獣が増えておるようじゃな。


何とかあしらいつつ進めてはおるがのぅ、気配感ぜられる儂が率先して進んでおるで被害はないといえるのぅ。

それでも草食獣が魔獣化した獣ゆえに油断しそうにのぅ。

まぁ、怪しき気配を感じたゆえに、素早く対処したゆえに問題はなかったが、最初は流石に驚いたわえ。


っ!こ、これは…

「何かヤバイ生き物が、こちらへと迫っておるぞいっ!」

そう皆へ警告をのぅ。


「ぬぅっ!これは…邪獣…いや、怪異かぁっ!」っとダリル様がっ!


こ、これが…怪異と言われる生き物なのかえ!?

姿は、まだ見えぬのじゃが、この凄まじいプレッシャーはヤバイっ!


木々を押し倒しつつ、こちらへと迫っておる現状、この場での迎撃は不利と言えような。

先程通り過ぎた空き地まで下がるべきであろう。


皆もそれが分ったようで、素早く戻り始めておる。

おるのじゃが、藪を切り裂いて多少は通り易くなったとは言え、やはり通り難いでな、このままでは追い付かれるであろうよ。


儂は素早く魔導銃を抜き、迫って来る気配へと放つ!

放ったのは冷気を纏った氷弾じゃっ!

しかも中れば、中った箇所より氷結する効果が付与された弾じゃてな。

多少は時間稼ぎが行えるであろうよ。


騎士達やダリル様の歩みは速く、早々に移動しておるのじゃが、いかんせんセルフィス様の歩みがのぅ。

魔術師であるセルフィス様では、流石に移動が侭成らぬかや。


とりあえず、儂が放った氷弾が着弾したゆえにか、怪異がこちらへと到るまでの猶予がの。

今の内に空き地まで下がるぞえ。


ダリル様がサポートしつつセルフィス様も空き地まで下がったようじゃ。

儂も素早く後退を…っ!再びキャツの移動速度が増しよったわっ!


なんとか空き地へと駆け込んだ儂の後方より怪異と化した魔物がな。

ワーウルフ?いや、コボルトと呼ばれておる魔物であろうか?


いや、あのようなコボルトなんぞ聞いたこともないわえ。

全長が2メートルを超えるオーガのような筋肉質の肉体を誇る狼のような頭部を持つ人型生物じゃのぅ。

その手には鋭い鉤爪が生えており、狼顔の口からはゾロリとした牙がのぅ。


剛毛が生えた毛皮には刃が通るか怪しいほどじゃてのぅ。

現れたコボルト怪異種へと、儂は素早く魔導銃より氷弾を放つ。

着弾した箇所が氷結しねキャツの動きを一瞬阻害するのじゃが、阻害する程度にしか効いておらぬわっ!


セルフィス様の詠唱が聞こえるのぅ。

電撃の魔術系統と思われるゆえ、術が放たれる前には下がらねばなるまいて。

ダリル様がコボルトへと肉薄し、大太刀による斬撃をな。

毛皮を切り裂いてはおるが、致命傷には到っておらぬわえ。


騎士達も斬り掛かってはおるのじゃが、全くダメージがのぅ。

騎士達も決して弱くはないのじゃがの、相手が悪過ぎるわえ。


儂も槍刀にて斬り掛かるのじゃが、儂の技量では駄目じゃっ!

コボルドが振るう右腕に払われ、その勢いにて儂の手より撥ね飛んでしもうたわえ。


槍刀に固執すべきではあるまいのぅ、そう考え、素早く刀を腰より抜き構える。

大刀と小刀を左右に持ち構えつつ間合いを詰めるぞい。


素早くキャツの攻撃を避けつつ左右の刀を振りつつ切り裂く!

ふむ、こちらの方が、まだ戦えるわえ。


数度斬り付けると、素早く下がる。

そこへ電撃の魔術が放たれ、キャツへとのぅ。

流石はセルフィス様じゃて、高威力の電撃魔術が刃の如くキャツを切り裂きつつ身を焦がして行くぞえ。


儂とダリル様が斬り裂けはしたが致命傷には遠いダメージしか与えられなんだのに、その一撃は致命的ダメージをキャツへと与えたようじゃてのぅ。

さらに電撃にて痺れたか動きが鈍っておる。

空かさず儂とダリル様がキャツへと斬り掛かり…ダリル様の斬撃がキャツのそっ首を刎ね飛ばしたぞい。


儂は腹を斬り裂いた程度であったが…まぁ上出来としておこうわえ。

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