035.爺、寿司屋は戦場!逃走?いや、戦略的撤退じゃっ!
なんで、こうなったしっ!
次から次へと押し寄せるように訪れる客に忙殺されながら寿司を握る嵌めにのっ!
事態に気付いた弟殿も慌てて参戦しつつ客を捌いて行く訳なのじゃがの、マグロの大トロが尽きるまで事態は続いたのじゃよ。
っかのぅ。
「どれだけ大トロを買い込んでおるのじゃぁぁぁっ!」切がないわえっ!
大トロが尽きた頃、儂と弟殿はグッタリじゃったわえ。
一応、客の整理を役人殿が行ってくれたゆえ、辺りに迷惑とならずに済んだぞい。
っと言ってもじゃ、何個も大トロを客の整理しつつ買い喰らっておったぞ、コヤツ!
そう言うのを職権乱用と言うのじゃっ!
大トロが尽きた後、他の食材も一応は確認なのじゃが…
「馬面ハギと海栗かえ…ちなみに聞くのじゃがの、これらは下魚あつかいではあるまいの?」
儂が確認するとじゃ。
「馬面ハギはカワハギの代替品といった感じですねぇ。
それ、海栗って言うんですか?
邪魔だから珍しい物を探しているんなら持って行ってくれって押し付けられた品ですよ。
まぁ、もしかしたらユウさんならって思って持ってはきましたけれど、駄目なら捨てるつもりですわ」
はぁっ?海栗をけぇ?
呆れつつ海栗と馬面ハギを処理する。
おお太い肝を抱えておるぞ、この馬面ハギは。
この肝を肝醤油などと称して醤油なんぞに溶かして喰らう阿呆がおるようじゃがの、これは刺身で食すべき代物じゃ。
醤油に溶かすなんぞドブに捨てるような勿体無い食い方なんぞ論外じゃてのぅ。
海栗と馬面ハギの肝と身を処理して寿司を握る。
海栗と肝は軍艦じゃの。
海苔は海辺の民に相談され困っておった生産教練所の教官の相談に乗って提案したらできた品じゃての。
岩場の海苔を摘んで加工した品でな、なかなかの出来じゃてのぅ。
握った寿司の味見をの、うむ、旨しっ!
それを見た屋台兄弟が手を出すゆえに渡してやる。
「な、なんじゃゃゃっ、これ、こんなん、食ったことねぇぞっ!」
「兄じゃっ!こっちの海栗ちゅうのも堪らんほど美味いぞっ!」
そんなん言いつつ味わっておったのじゃがの、次の瞬間には互いに食っておらぬ方の寿司を手にとっておったわい。
っかのぅ…役人殿は既に両方ともを確保しておるのじゃが、なかなかに油断のならぬお方じゃてのぅ。
む、ヤバイ!
「では儂は旅に出るために色々とせねばならぬことがあるゆえ、これでの」
そう告げてから屋台を素早く離れる。
危ない、危ない、目をギラギラと輝かせた客がジリジリと迫っておったからのぅ。
クワバラ、クワバラ、また巻き込まれては堪らんわいっ!
役人は、そのまま客の整理に残るようじゃの。
先程の騒ぎにて様子を見に来ていた役人が代わりに儂に同行して門まで誘ってくれたゆえ問題なく皇都内へ戻れたわい。
あの雑多な空間も面白いのじゃが、色々とトラブルに巻き込まれそうになるのは困りものじゃてのぅ。
皇都内へと戻った儂は生産教練所へと向かうことにの。
前から色々と造っておった儂の武具を仕上げるためじゃて。
旅へ持って行くゆえ、仕上げてしまわねばのぅ。
魔導銃は既に完成しておるし、大小の刀は鍛造済みで鞘もできておる。
後は刀の柄などの仕上げじゃの。
槍刀も仕上げ段階まで進んではおるのじゃが、鞘が造り掛けゆえに仕上げねばなるまいて。
そう思いつつ生産教練所へと歩みを進める儂であった。




