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028.爺、教え感謝じゃ退室じゃ。

「まぁ、このゲーム世界が実世界の如くあり続けるにはゲーム要素は邪魔とのことでござるからなぁ。

 掲示板などは御法度でござろうよ。

 家電なども再現されておるでござるが、通信系はほとんど皆無でござるからなぁ~


 リアルでの掲示板が一番有用でござるからに」


儂には縁なきことじゃてのぅ…


「そんなプレイヤーがゲーム世界に馴染むために使われているシステムがござる。

 それが補助AIシステムでござってな。

 拙者達が宿るアバターは、この世界で生きていた者達なのでござるよ。


 ゆえに、その者達の記憶を得ることができているのでござる。

 この世界の常識などは何気に知っているでござろう?

 それはアバターの記憶なのでござる。


 プレイヤーは、そんなアバターの記憶を頼りにプレイを始める仕組みでござるなぁ。

 つまり、アバターへ憑依してこの世界へと降り立ったと考えれば良いでござるよ」


な、なんと!つまり、儂らプレイヤーは住民であるアバターの体を乗っ取った形でプレイしておると!?

なんとあくどいシステムなのじゃっ!


「まぁ、プレイヤーがアバターを作成した時にアバターが生まれ、その背景がシステムに創られゲーム世界に刷り込まれるのが本当でごわす。

 ゆえに、アバターを乗っ取ったわけではござらぬそうな」


な、なら…良いのかえ?


「ま、まぁ…なんとか納得するわえ。

 釈然とはせぬがのぅ。


 それよりじゃ、先程、知り合い以外の日本人会うのは儂が初めてと告げておったがのぅ、日本人プレイヤーは少ないのかのぅ?」


不思議に思い尋ねたのじゃが…

「いや、拙者が東方へ旅に出たゆえ、プレイヤーとの接点か少なかったのでござるよ。

 師匠がトライン内の東方が気になると(おっせ)られてな、師匠に供として同行したのでござる。

 なにせプレイ開始がヨーロッパ勢に人気の国でござってな、日本プレイヤーは少なかったのでござるよ。


 まぁ日本プレイヤーの大半が若年層であったのも原因ではござるがなぁ」


んっ?どういう意味じゃ?


「若年層であると会えぬのかえ?」

不思議に思い尋ねるとじゃ。


「そうでござるなぁ、若年層はゲームスタート時の環境が優遇されるそうなのでござるよ。

 王都や首都などにて富裕層の家族としてのスタートとなるのでござる。

 そうなると、庶民出が大半となる熟年層は富裕層の者と出会う機会は減り申す。


 そして何よりも住民達が本物と区別がつかないゆえ、プレイヤーか住人なのかの判別が難しいのでござるよ。

 ゆえに知り合い以外では紹介され知り()うた者しか出会えてないのが実体でござる」


そのようなことになっておったのじゃのぅ…儂が農村出であったのは当然の帰結であったのかえ、ふぅ。


「ふむ、長々と色々教えて(もろ)うて済まなんだのぅ。

 して、サコン殿と以降に会うことは可能なのじゃろか?

 なにせサコン殿以外のプレイヤーに出会(でお)うたことなどないでな」


そう尋ねるとじゃ、しばし考えたサコン殿が提案して来たわえ。


「そうでござるなぁ、しばらくは、ここの武術教練所に留まる予定ゆえ、ここを尋ねてくれば良いでござるよ。

 ただ、いずれは自国へと戻るでござるからなぁ~


 皇国で最近造られた電話機が拙者の国にも普及すれば連絡が取れのでござるが…あれはなかなかに」

そう困ったようにな。

っか、あるのけぇ、電話機!


「先程、通信系家電はないと()うてなかったかのぅ?」

不思議に思い尋ねるとじゃ。


「ああ庶民レベルでは手が出ない高価な代物ならばあるのでござるよ。

 ただし大きさが箪笥ほどござってなぁ、とてもではないが持ち運べないでござる。

 それも大半が皇国の国家機関に備え付けられている状態でござってな、後は大貴族や豪商くらいでござろうか。


 そんな感じで普及に到るには、まだまだでござるなぁ~

 ゆえに、基本は掲示板連絡でござるが…ま、トライン内ならば時間がかかり申すが手紙しかないでござろう」


そう告げて連絡さきを教えてくれたわえ。

しかしのぅ、このゲーム世界には携帯やスマホどころか固定電話もまだまだらしゅうてな。

パソコンなんぞは影も形もみあたらぬわえ、まぁ、テレビやラジオなども皆無であるらしいからのぅ。


情報媒体は新聞や雑誌などらしいでな、なかなかに不便じゃわい。


そんな話を終え、儂はサコン殿と別れ談話室を出る。

そして、そのまま武術教練所を後にしたぞえ。


しかし、談話室へと届けられた昼食は美味かったのぅ。

サコン殿が招きに応じた理由の1つが食事らしいわえ。

皇国が一番食材が揃っておるそうでな、そのためか料理人達のレベルも高いそうな。


食品加工業者も色々と存在し、様々な加工食品も生み出されておるのだとか。

その点だけは皇国が一番優れており、それ目当てに他国から訪れる者達もおるそうじゃがの、国に認められた者以外は滞在日数が取り決められておるそうだて。

そもそも入国審査が厳しく、他国から皇国へ到ることが可能な者は少数らいしわえ。


そうなると、皇国へ来れるプレイヤーは限られるのであろうのぅ。

サコン殿以外のプレイヤーと出会うことが叶うのは何時になるのやら…困ったことじゃてのぅ。

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