013.爺、手続きは面倒なのじゃ!
指示された建物へと至り中へとのぅ。
建物自体は石造りの2階建じゃったが、入り口は開いており外から中が伺えたわえ。
ゆえに躊躇うことなく中へ入ることができた訳なのじゃがの、中では疲れた様相の者達がフロアの長椅子に腰掛けておったわい。
どうやら待合フロアといった扱いと思われるわえ。
独身者だけでなく世帯者や孤児らしき者の姿ものぅ。
各々が荷物を持ってはおるが、旅人と言うよりは流民のような雰囲気を纏っておるわえ。
おそらくは、儂のアバターのように難を逃れて此処へ辿り着いたような者達なのじゃろうのぅ。
儂は建物へ入るとカウンターへと向かうことにのぅ。
どうやら此処は、この手の専用として建てられた建物なのじゃろうて、複数の受付は同一目的のものじゃったわえ。
カウンターには若い女性が受付嬢として待機しておるようじゃな。
此処へ到る者は多くはないのであろうな、並ぶこともなく受付へ辿り着くことができたわえ。
まぁ、押し掛けるほどの者が居るならば、それだけ難民化する者が居るということじゃて。
そのようなことになれば国も傾くというもの、そうそうあってはのぅ…
っと言っても、既にフロアーにて待っておる者達がおるということはじゃ、まぁ、そう言うことなのじゃろうて。
一番安全な国と言うことでガーランド皇国を選んだ訳なのじゃが、なかなかに厳しい世界のようじゃて。
受付に着くと受付嬢がにっこりと微笑んで儂へと告げてくるわえ。
「ここは難民受付所の手続き受付となっております。
本日は、どのような御用件でしょうか?」っとのぅ。
「うむ、儂はドムドント村の者なのじゃがな。
門の詰め所にて役人より、ここへ行くように指示されてのぅ。
これは村を救出しに来られた騎士様より受け取った仮身分証じゃて。
それで、ここで何をすれば良いのじゃろか?」
そう応じると受付嬢が合点したように頷く。
「そうですか、ドムドント村の…それは大変でしたわねぇ。
流石に村の復興には時間がかかりますわ。
そうなれば生活にも影響がでますので、皇都にて生活していただくことになりますわねぇ。
ですが、即座に行える仕事がある訳ではありませんの。
先ずはアナタが何が行えるかですけれど…流石に皇都で農業と言う訳にはまいりません。
ですので、アナタの適正を判断して職業訓練所にてある程度は学んでいただく必要がございますわ」
こりゃ驚いたわえ、儂ぁてっきり冒険者ギルドとやらに登録してクエスト受注などと言う流れと思っておったのじゃが…
ううむぅ、現実的すぎやせぬかえ?
これ、ゲームじゃよのぅ?
「そうなのですかえ?
して、儂の適正を調べるとは?」
一体、何をするのじゃろうか?
「先ずは魔術適正を調べます。
適正のない方が大半で行う必要があるのか疑問ではあるのですけれど…これも規則ですので。
その後で身体測定として色々と身体能力を検査いたしますわ。
力や体力のない方を鍛冶仕事などを薦めても長続きしませんものね。
その後で簡単な筆記試験を受けていただきます。
それらの情報を元に、どのような仕事へ進んでいただけるか判断いたしますの。
まぁ、それ以前に農業以外の仕事に従事されていたかを、まずお伺いしたいのですけれど…」
う、うむぅ…昔はプログラマーをしておったのじゃがのぅ、この世界には、流石にないであろうのぅ。
そう考えるとじゃ。
「いや、他の仕事はのぅ…」
「まぁ、そうでしょうねぇ…
では、先に魔術適正を調べましょうか。
こちらの測定版へ手を翳していただけますか?」
受付嬢が受付カウンターの一部よりカバーを外すとじゃ、何やら暗緑色の石版のような代物が現れたぞい。
その石版なのじゃがのぅ、受付嬢が何かしたのか淡く発光し始めておる。
これ、手を置いても大丈夫なのじゃろか?
そう思い躊躇しておったらのぅ、受付嬢がにっこり微笑んで視線で促すわえ。
うむ、逆らえぬのぅ、早くヤレっと?
仕方なく儂は恐る恐る石版へ手を翳すように持って行き、意を決して石版へ手を押し付けると…
ビガァッ!ビガァッと発光しよったぞ、コヤツ!
何事じゃぁっ!




