012.爺、儂は街へ入りたいのじゃ!
あまりのことに、しばし呆けておるとじゃ。
「おい小僧、初めて皇都を見て呆けるのは分るが、荷を忘れて馬車を降りるのは感心せんぞ」
誰やら苦笑いしつつ儂へ背嚢を押し付けてきたのぅ。
話し振りから、どうやら儂の持ち物らしいわえ。
儂が押し付けられた背嚢を受け取っておると、押し付けてきた鎧を着た大男が言うのじゃ。
「先ずは、そこの詰め所で皇都へ入る手続きだな。
おおっと、これを渡しておくぞ。
これは仮身分証だ。
これを提示して審査を受けて皇都へはいるんだ。
討伐が間に合わずに滅んだドムドント村の者に対し補助が施されることとなっておる。
これは魔物のスピンアウトなどで滅んだりした村に対する助成処置ではあるが、この度の件にも適応されるものだ。
役人に聞いて補助を受けて、早く食い扶持を得るのだな。
なお、皇軍の門戸は何時でも開いておるぞ。
兵士に志願したいのならば皇軍の駐屯地を尋ねると良い。
では達者でな」
それだけ言い残すとじゃ、馬車を伴い去って行くのぅ。
どうやら一般の者と騎士達や兵士達などの皇軍が皇都へと入る場所と、一般の者達が皇都へと到る場所は違うようじゃて。
とりあえず、門前の受付所へと向かうことにのぅ。
門の外にも町は存在しており、人通りも多いのぅ。
ただ、こちらは庶民が暮らすエリアのようじゃて。
っと言ってもじゃ、スラムのような危険な場所ではなく普通の町並みではあるのじゃがな。
ただ石造りの建物よりは木造の建物が目立つのぅ。
門扉を超えた向こう側の町並みは石造りの町並みとなっておるぞい。
なにやら提示した者のみ通過可能らしく、それを提示できぬ者達は審査を受けておるわえ。
うむ、儂も審査を受ける必要があるらしいので、審査待ちの列へと並ぶかえ。
しばし審査待ち列に並んでおると儂の番となったわえ。
簡単に済む者達と時間がかかる者達とは受付で振り分けられておるのぅ。
それゆえに、意外と待ち列は早く捌けていくわえ。
受付へと到るとじゃ、受付をしていた男が儂へと告げるぞい。
「皇都は初めてですか?」っとのぅ。
「うむ、初めてじゃ。
ドムドント村から来たのじゃがのぅ、これを提示するように言われておるのじゃが…」
そう告げて仮身分証とやらを受付の者へと提示したわえ。
するとじゃ。
「おお、ドムドント村の!
それは大変でしたねぇ…しかしガジェルタ盗賊団に襲われて生き残られるとは、何とも運の良い。
しかし村が滅んでしまわれるとは気の毒な。
おおっとぉ、そうそう、受付ですな。
こちらの審査と案内には時間がかかりますので、あちらの窓口へ向かっていただけますかな」
彼が指し示す方には、詰め所へ隣接する建物じゃのぅ。
他の者達は建物へ入るでもなく手続きを終えて過ぎ去って行くのじゃが…面倒なことじゃて。
そうは思いはしたのじゃがのぅ。
「分ったわえ、ありがとのぅ」
そう告げ会釈した儂は列を離れ、指定された建物へと向かうのじゃった。




