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【完結】本当に我が子なのか、と言われましても  作者: 秋色mai @魔王城の社食コミカライズ開始!


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20/20

20. 悪党貴族は疑いました


 それは、ある午後のこと。普段通りに中庭で紅茶を飲んでいると、エイダン様が感慨深そうにしておりました。


「そういえば一年前の今頃か……愛することはないと言われたのは」

「時の流れは早いですね」


 結婚した日は記念日なのだと、記念日とは祝うものなのだと教えてくださったのは、エイダン様でした。

 今頃、義両親とイザベラが大広間をセッティングしてくださっている頃でしょう。


「……ティーフーズが進んでいないが、体調は大丈夫なのか?」

「ええ、ただ夜に備えているだけです」


 沢山のご馳走も用意してくださっているであろう義家族に想いを馳せていると、エイダン様を心配させてしまいました。私は数週間前まで体調を崩して寝込んでいましたから、無理もありません。


「よ、ふぁ!?」


 しかし、エイダン様は情けのない声を上げます。いつもの事ではありますが、まったく。そろそろ見過ごせません。


「何を勘違いなさっているのかはわかりませんが、しっかりしてください」



「エイダン様は、お父様になるのですから」


 結婚から約一年後に、妊娠が判明しました。医者から告げられ、今まで内密にしていたことを語ります。


「うぇっ……………」


 その瞬間、エイダン様から魂が抜け、大気圏を突破しました。

 子供が生まれる前に父親が亡くなってしまったことをそれなりに悲しんでいる間に、魂が体に戻ってきました。


「っはー。っはー。この世界の全てが見えた」

「おかえりなさいませ」


 普段はここまでではありませんが、慣れたものです。義家族に隠すことなどできなかったでしょうから、内密にする選択は正解でした。

 私が冷静に考えている間にエイダン様は慌てて席を立って、転びかけながらも私の側にやってきて、見上げるように跪きます。


「え、子供……?」

「はい、ここに」


 いるはずの場所を示すと、エイダン様は目を見開き……


「ハッ……誰か現実を教えてくれ」


 教えてやれ、と悪党が夢ある若者を笑い物にする声色で最大限の困惑を示しました。

 思わず指摘してしまいます。


「頼む側なのですね」

「夢としか思えないんだ」


 仕方がありませんので、頬をつねって差し上げました。ついでにもう二度と大気圏を超えないように往復ビンタもしておきました。


「夢じゃない……」

「そうですよ。忙しないお父様ですね」


 そこからのエイダン様の喜び様は凄まじいものでした。

 結婚記念日パーティーで義家族に明かしても、それはそれは大きな騒ぎとなりました。


 そして喜んだ分だけ、エイダン様は面倒でした。


「……俺を誰だと思っている」


 エイダン様が低い声でおっしゃいます。私は動きを止めました。


「父親だぞ!? 言う権利がある! 重いものは持つな! 段差のあるところに一人で行くな!」

「大袈裟な……」


 ただ本を持って階段を登っているだけです。呆れているうちに手の本が奪い取られ、腰を支えられました。

 また別の日は二人で話し合いました。


「異論は認めん」


 エイダン様はその一点張りで、聞く耳を貸してくださいません。


「絶対にもっと早く休みを取るべきだ!」


 まだ書類仕事ならできると主張する私と、いいから安静にしていて欲しいエイダン様の話は平行線で、義家族による審議の上、多数決で負けました。普段から常に私の味方な義家族もそう思うのならと、言うことを聞くことにしました。



 色々ありましたが、判明から十か月ほどには屋敷に赤子の産声が響きました。


 ずっと廊下でうろついていたであろう人がドアを蹴破るように入ってきて、私と赤子の無事を確認してきます。

 産んだ私よりも安心したと思えば、今度は赤子を見て目を見開き……


「本当に我が子なのか?」


 なんて、世の中の出産を終えたばかりのご夫人が聞けば殺意の湧くようなことを仰います。

 ですが、私は何とも思いません。私は知っています。


「こんなっっ……天使みたいな子がっっ」


 赤子に負けないくらいに泣く目の前の人に、疲れも氷の姫君もどこかに行ってしまって。


「それ以外あり得ないでしょう、エイダン様」


 笑ってそうお伝えしました。


 ボーモント家の管理も、この人の妻も、私以外でもできることです。

 なにより、生まれたのは、男児ではありませんでした。それでも私は嬉しくて、誇らしくて。


 ────私は、この可笑しな愛しい人と、その子を、生涯観察し続ける所存です。


 なんて、報告の手紙で悩んだ最後の一文と同じようなことを考えてしまったのでした。



─────────────────────────────────────

 親愛なるお父様へ


           :

           ・

 私は、この可笑しな愛しい人を生涯観察し続ける所存です。


 不出来な娘より



 ここまで読んでいただきありがとうございました。ブクマ、リアクション、コメントなど励みになりました。


| ᐕ)お疲れー、ただのいい人ー、エイダンよかったなー、フレヤおかしいだろー、出産祝いだぞーくらいの軽い感じでポチッと評価していただけると喜ぶ秋色だったりします。


 ではでは、またどこかでお会いできたら嬉しいです〜(- ⩌⩊⩌ -)/~~~

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― 新着の感想 ―
妊娠は発覚ではなく判明ですよ
クスッっとした笑いも有りながらほっこりするお話でストレスなく楽しく読めました! 見た目が濃く受け継がれる血統ってありますよね~ イザベラちゃんも見た目と口調に惑わされない良い相手に恵まれるといいな☆(…
なんたる悪徳貴族か・・・ 永劫爆発すると良いよ、幸せで
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