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その41


「はあっ!」


 メイシンの杖の先から出た火の玉は、あたりを照らしながらローデラの元へと飛んでいく。しかし、ローデラはそれを素早い動きで横に避けた。


 メイシンの魔法には主に杖から放たれる魔法と、魔法陣を展開し、そこから放つ魔法があった。杖による魔法はつまるところ飛び道具としての攻撃になっている。そして魔法陣によるものは、展開した部分に発動する魔法となっている。しかし、彼女は魔法陣を展開できずにいた。


(この部屋の広さじゃ大きな魔法陣は展開できない。パワードはともかく、鏡まで巻き込んでしまう。やるなら…)


 メイシンは背後にある鏡を守るように、ローデラと距離をとるかのように火の玉を飛ばし続けた。そのうちのひとつが直撃、ローデラの全身を燃やす。


「ぐっ、やはり熱い…。だが…」


そう言うと次の瞬間、ローデラは霧となった。そして炎から脱出するように霧のまま後ろに下がり、再び元の体に戻った。


「くっ…」


「何度やっても無駄ですよ。私に炎は効きません」


(私が近づこうとすると攻撃を強めている。明らかに私が近づくのを警戒しているということ。ならば…)


ローデラは視線を倒れているパワードに移す。


「これならどうかな!」


長い爪をむき出しにすると、そのまま襲い掛かった。


(ハハ、かばえ!くだらない友情のもとにやられろ!)


※しばしスローモーションでローデラ目線になります。


ローデラの視界ははパワードを捉えている。

(ブッ刺してやる!)


パワードとの距離が近くなる。

(ふん、まだ来ないのか、反応が遅い奴だな)


だいぶ近づいてきた。メイシンの姿は見えない。

(そろそろ来ないと危ないんじゃないか?)


鋭い爪の影がパワードを覆う。

(刺さっちゃうよ?仲間刺さっちゃうよ?)


もう角度によっては刺さってるように見える位置まできた。しかし、一向に彼女は現れない。

(何やってんだあいつは…)


逆に心配になりついにローデラはメイシンの方を見た。すると彼の目に映ったのはこちらに向かって飛んでくる岩の塊だった。


「うおっ…」


※スローモーション終わり


「がああ…!」


大きな塊は、パワードとローデラの上にのしかかった。


「くっ…」


ローデラは驚きながらも岩を砕き再度霧状になり後ろへ退避した。彼が顔を上げると、ダメージを受けたパワードの体とさっきから全く動いてないメイシンの姿があった。


「あなた、味方がやられてますよ!」


「このくらい大丈夫よ、治すし」


彼女の態度にローデラは一瞬絶句した。


「あなた、それでも仲間ですか⁈」


「仲間よ」


予想外の出来事にローデラは驚きを隠せなかった。


(くっ、なんだこいつ…。守る気あんのか…?

そういうことならもしかしたらこいつ、本当は鏡の中へ入った仲間も助ける気ないんじゃ…)


ローデラは険しい顔で視線を鏡のほうに動かした。すると、彼女はまるで隠すかのように両手を広げて立ちはだかった。


「ん…?」


一瞬違和感を覚えるローデラ。


(しかしあの炎の攻撃の中を突っ込むのは至難の業だ。私もタダでは済まない)


彼は視線をパワードに戻す。今度はメイシンはまるで守備範囲を外れたかと言わんばかりに棒立ちになる。


「ん…?」


再度鏡の方を見るとまた彼女は威嚇するかのように両手を広げる。パワードを見るとまた棒立ちになる。視線を何往復しても彼女は同じ動きをした。


「……」


少しばかりの静寂が場を包んだ。しかし次の瞬間、


「そこだああああっ!」


ローデラは叫び壁のブロックに手をかけると鏡の方へ飛ばした。


「くっ」


メイシンは杖の先から炎の鞭を出すと、鏡に飛んでいくブロックをはたき落とす。その隙にローデラは彼女の真下に迫った。


「もらった!」


メイシンの両肩を掴むと、ローデラは彼女の首筋に噛み付いた。



「ぐっ…!」


彼女は思わず顔を歪める。


「ははは、一滴残らず吸い取りますよ」


ローデラの牙が突き刺さる。だがしばらくして彼は違和感を感じた。


「なんだ…全く血が出てこない…」


困惑したローデラは血を求めるかのように大きく吸ってみる。しかし全く出てこない。思わず彼はメイシンから離れる。


「まさか…貴様…!」


「残念だけど、私には流れる血はもうないのよ。一滴も…」


彼女が手を噛まれたところに置くと、傷が塞がった。


「それと、もう勝負はついたわ」


ローデラの胸の辺りには魔法陣がかかれており、それが光り出すと、彼を白い炎が包んだ。


「ぐっ、はは私には炎は効かないと言ってるでしょう…」


彼は慣れたように霧状となり背後へと動いた。だが、逃げても彼の炎は消えない。


「バカなっ!」


何度も脱出を試みるも、白い炎は無くなるどころかどんどん彼を包み込む。


「うおおお、なぜだ。なぜ消えない」


「その炎は対象者の罪に付随する。罪の大きさが大きいほど強くなり、絶対に罪人を逃がさない。白き炎に裁かれなさい」


吸血鬼はそのまま倒れ込んだ。

読んでいただきありがとうございます

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