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その23 英雄たち


 謎の部屋に来てからどのくらい経ったのだろうか、グランドの傷はほとんど癒えていた。

 彼は誰かの気配を感じ、ベッドから体を起こした。


「ここ、こんにちは〜・・・」

 その声をグランドは覚えていた。

「お怪我の方はいかがですか?」

 顔は黒いターバンに包まれ、体全体も足までローブ、に包まれた彼女だ。


「ああ、俺はもう問題ない。助かったよ」

 グランドは立ち上がる。


「良かったです。これから会議があるのでぜひぜひ出て下さい」

「会議?何のだ?」

「私たちの夢の第一歩です。詳しくは会議で説明してくれると思います」

 そう言うと彼女は鉄格子を開けた。グランドは気になりつつも部屋を出て、彼女について行くように歩いた。


 明るい螺旋階段をのぼる2人。やはり彼女は足音を立てずに歩いている。

 突然、思い出したように彼女は切り出した。

「あっ、そういえばまだ自己紹介してなかったですね。私はポルです」

「・・・グランドだ」

 グランドも静かに言う。


「グランドさんの仲間さんたちはもう少し休んだ方がいいですね、お知り合いですか?」

 ポルと名乗った彼女は笑顔で言う。

「・・・あぁ、昔はもっといた」

「そうですか・・・」

 グランドの言葉に何かを察し、ポルは少し寂しげな表情を見せる。


「着きました!」

 2人の目の前には大きな両開きの扉があり、軋む音と共にゆっくりと開く。


 扉が開くとそこは大広間となっていた。その中央には大きな円形のテーブルがあり、多数の料理が置かれていた。その周りには既に人が座っており、貪る者や丁寧に食べる者、逆に食べていない者もいた。


「みなさーん、連れてきましたー」

 ポルが部屋にいる全員に聞こえるように大きな声で言うと、ほぼ全員がこちらを一瞬見た。しかし、そのほとんどはすぐに食事に戻る。

「おっ、そいつが新人さんね。そこ座って」

 

 グランドとポルはそれぞれ離れる形で空いている席へと座った。

 グランドの右隣を見ると男がガツガツ食べていた。赤いツンツンした髪が印象に残る。

「ん? 食わないのか?」

 彼は食べながら視線だけグランドに向ける。


 腹が減っていたグランドは目の前にいる肉や魚に手を伸ばし食べ始めた。






「これで全員か?」

 頭部から角の生えた男が隣のポルに尋ねる。

「今集まれるのはこれで全員ですー」

「そうか。じゃ、そろそろ始めよう」

 そう言うとその場の全員の食事の手が止まった。思わずグランドも止まる。


「君が新人くんだね?私はデスだ」

 角の男がグランドの方を見る。

「グランドだ、助けてくれて感謝する」

 グランドは頭を下げた。


「あれ、いい子じゃん。誰かさんと違って」

 ツンツンの髪の更に隣の黒い長い髪の女性がツンツンの彼を見ながら言う。

「なんだよ、俺もいい子だろ」



「それじゃ、改めて話をしようではないか。我々の計画について」

 デスが仕切り直すように話す。


「計画?」

 グランドは聞き返した。

「そうだ、君も気付いているかもしれんがここにいる全員は“怪物"だ」


「それぞれベースの魔物は違いますけどね」

 ポルは笑顔で言う。


「ベースは違うが、境遇は全員同じはずだ。奴らに作られて気がついたら"怪物"扱いだ。魔物からも人からも拒絶されてきた。殺されたやつもたくさんいる」

 その場にいる全員が真剣な顔になる。


「それで、計画っていうのは?」

 グランドが改めて聞く。


「我々が無い物、国を作る」

「国!?」

 デスの言葉にグランドは思わず大きな声を出した。


「そうだ。我々は帰るような場所が無い。静かに生きる権利も無い。人にいいように使われて冒険者とかいうゴミどもの点数稼ぎのために殺されるような存在だ。だから我々は領土を持ち、民を持ち、誰にも邪魔されない権利を持つ国を作るのだ」


「・・・・・・」

 グランドは静かに聞いている。そしてデスは最後にこう言った。

「君も我々に力を貸してくれないか?」

 グランドの答えは決まっていた。

「・・・もちろんだ」

 彼の言葉を聞いてポルは笑顔を見せた。

「良かった。よろしく頼むぞ」

 デスも安堵の表情を見せた。


「スプライスだ、よろしく・・・なぁ、ところでアンタ国ができたら何がしたい?」

 隣のツンツンヘアーが話しかてきた。彼はグランドの答えを待たずにしゃべりを続ける。

「俺は思いっきり走りたい。誰にも邪魔されずに」

 すると今度はスプライスの隣の女性が入ってきた。

「私は何も気にせず空を飛びたいわ。あ、私はマーリ。よろしく」

 

「いいね、俺も乗せてよ」

 スプライスが言う。

「高いわよ」

「金とんのかよ!?」


 2人が夢を語っているのを見て、グランドも自分の夢を話した。

「俺は、庭が欲しい。野菜や果物を育ててみたい」

「いいね、国ができたら全部できるんだぜ」

 

「そうだ、国ができれば誰にも邪魔されることはない」

 デスは続けて言う。

「そして国ができれば我々は将来国を作った英雄となるだろう。頼むぞ、未来の英雄たちよ」


 英雄、その言葉を全員噛みしめた。


「それで、計画っていうのは?」

 グランドか尋ねる。

「それは・・・これから考える」

 その言葉に少し不安な雰囲気が漂う。


「で、でも今確か威力偵察を行なっています」

 ポルが空気を察して慌てて言う。

「偵察?」

「ええ、ここに来てない2人が今ちょうど向かっているはずです」


読んでいただきありがとうございます

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