1051手間
トリップを終えた長老が、ずかずかとワシの方にやって来たかと思うと、ずいっと片手でワシへ無造作に魔導銃を差し出してくる。
「今度はこの回路が耐えられる五割、いや七割くらいで頼む」
「ふむ、分かったのじゃ」
最初ワシが撃った時は魔導銃が壊れていないか、慌てるくらい気にしてたというのに。
長老の変わりようにワシはやや呆れつつも、魔導銃を受け取り先ほどと同じ様に弾を込め、抉れて殆ど無くなってしまった的に向けて魔導銃を構える。
回路が耐えれる七割のマナを込めるならば、魔導銃自体を保護するために銃身にもマナを込めた方が良いだろう。
銃身にマナを込めて気付いたが、この銃身の金属、見た目は鉄や鋼のようだがミスリルには及ばずとも、鉄や鋼とは比べ物にならないほどすんなりとマナが行きわたる。
これならばとしっかりとマナを込めて銃身を保護すると、言われた通りに七割のマナを発射の意思を持って込める。
その瞬間、ドゴンと先ほどよりも一回りほど大きく低い音が響き渡り、ワシよりもやや前方の辺りから扇状に広がる様に細かく、親指と人差し指で作った円よりもやや小さいくらいの穴が無数に地面や土塁に穿たれる。
「ぬ?」
「こりゃぁ……」
長老はぼそりと呟くと、無数に穴が開いた場所へ向かうと地面に四つん這いになると、ガリガリと穴周辺を掘り返し始めた。
そして、掘り返した土を手の平に乗せると、もう片方の手で土を撫でるようにして検分する。
「なるほど、発射の圧力に耐えきれずに弾が砕けたかしたか」
「そんなことあり得るか?」
「圧力が逃げないよう、弾の大きさと口径はギリギリのサイズにしてるからな、撃った瞬間弾が圧力で潰れて膨らんで、逃げ場の無くなった圧力で弾が砕けたんだろう」
「となると、込めるマナに規定を設けて、それ以上込めないように周知徹底させるか」
「それが良いだろうな」
何やら長老が納得したかと思うと、そのままドノヴァンと話し合い始めてしまった。
「あぁ、だが、それよりも一定以上のマナが流れると逃がすような回路を増設した方が良いかもしれん」
「確かに、同じ大きさと強度なら随分と余裕がありそうだったしな」
「広範囲に散らばる弾は有効かもしれんが、ちと威力が過剰すぎる」
「そうだな、似たような効果を期待するなら、同じことをするよりも小さい弾を複数込めた方が有効そうだ」
「うむ、その方が銃身にも負担が少ないだろうな」
長老は話ながらもワシからひったくる様にして魔導銃を奪い去ると、そのままドノヴァンと二人でさらにああだこうだとワシにはさっぱりなことを語りはじめる。
その時、ワシの耳に何やら慌てたような足音が聞こえ、話し合いに夢中でまだその足音に気付いていない二人を尻目に、もしやこれはと口角をニヤリと上げるのだった……




