1048手間
途中から明らかに脱線し始めた、長々とした撃ち方講座を終え、ようやく魔導銃に込める弾が入った袋を渡される。
その中から人差し指と親指の間を軽く開けたような大きさの弾を取り出し、魔導銃の銃口からころんと中へと入れる。
そこでふと、撃ち方講座を聞いてた時から気になっていた疑問を聞いてみる。
「のう、これ下に向けたら弾が転がり落ちてこんかえ?」
「その点については大丈夫だ。弱いものではあるが、弾を固定するための磁石が付いてるからな。流石に真下に向けたり振り回したりすれば弾が出てくるが、普通に撃つ分には問題ない」
「ほほう、なるほどのぉ」
銃弾といえば鉛というイメージがあるのだが、磁石にくっ付くということは鉄なのだろうか。
「ふむ、弾にするのならば、磁石にはくっ付かなくなるが鉛が良いのではないかえ?」
「鉛は毒があるからダメだな、子供が間違って食べたらことだ。それに比べて鉄なら食べても大丈夫だし、磁石にもくっ付くからな」
「ふぅむ」
普通は鉄も食べたらダメだが、そこは流石ドワーフといったところか。
一先ずの疑問が解けたところで、銃を教えられた通り構え銃口を的へと向ける。
「そうだ、そうして撃つという気概を込めて魔導銃にマナを込めるんだ」
魔導銃には引き金も撃鉄も無い、撃つためには長老がすかさず挟んできたアドバイス通り、魔導銃に撃つという意思を持ってマナを込めるだけだ。
この撃つという意思を持ってマナを込めるというのがなかなか難しいらしく、ここで躓くドワーフは多いそうだ。
よしんばすぐに撃てたとしても、失敗した砲丸投げの如く情けない弾道になるそうだが、皆がそうなので失敗したところで気にすることは無いとも言われた。
しかし、今回撃つのはワシだ、ワシがマナに関することで失敗することは無い!
まず魔導銃に軽くマナを流して、マナに対する限界容量を量る。
「ふむ、これならば二割といったところかの」
一人ごち魔導銃が耐えれる容量の二割を注ぎ込み、刹那の間を置いてパンッという前に聞いた乾いた破裂音の代わりに、ドパンッというやや重たい破裂音が響き渡る。
そしてその音から僅かの間も開けず、狙った的の中央からややズレた位置が抉れるようにはじけ飛び、バスケットボール大の大きさの穴が開く。
「ほほう、これはなかなかの威力じゃのぉ」
テニスコート程度の距離で的の中央を捉えられなかったのは、弾丸の名の通り丸い形状なので致しかた無い。
とは言えドワーフが使う武器だ、遠距離での狙撃など考えてい無いだろうし、ただの弾丸で土塁を抉るほどの威力ならば十分恐ろしい兵器と言えるだろう。
「これは確かに、作るべきではないと言われるのも仕方がないのぉ」
そういってワシが振り返れば、ドワーフ二人は腕を組みやや前傾姿勢で顔を突き出すような全く同じ格好で、これでもかとばかりに目を見開きワシが銃を撃った先を見ているのだった・・・・・




