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蘇生勇者と悠久の魔法使い  作者: 杏子餡
森の精霊と紅き竜人
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 柔らかくそして甘い匂いがする、ナイトメアの攻撃を免れ突如現れた手に引っ張られたイサムは、夢から戻されゆっくりと目を開ける。そこはエルフの森ではなく、ロロの大迷宮にあるロロルーシェの家のイサムの部屋だった。そしてイサムに抱きついているエリュオンに気が付く。


「おはようエリュオン。何泣いてるんだ?」

「なっ泣いてないわ! 目にごみが入っただけよ!」


 イサムが周りを見渡すと、そこにはロロルーシェを始め仲間達がホッとした様子で見ていた。


「どうやら無事に戻って来れたようだな」


 ベッドの隣に立っているロロルーシェが寝ていたイサムの上から手を下ろし話しかける。それを見たイサムは彼女に助けられた事に直ぐに気が付いた。

イサムは体を起こすとロロルーシェに感謝を告げる。


「ありがとう…助けてくれたんだな、あの牛馬頭うしうまあたまの奴から…」

「あいつはナイトメアと言う精霊だ。大昔に私を見たとたん逃げ出した弱い奴だったんだが、どうやら見えない場所で力を蓄えイシュナを取り込もうとしている様だな」

「ああ、千年間も取り込もうとしているが未だに出来ていないらしい。逆にメリシュがコアの中にイシュナを取り込んで、ナイトメアから取り込まれるのを防いでいる様だった」


 その話を聞いたロロルーシェが何やら嫌な顔をする。


「コアに取り込んだ……となると…もしかしたら互いの命が同化している可能性があるな……実例が無いから分からないが、もし救ったとしてもイシュナとメリシュの命が別々に存在している可能性が低いかもしれない…」

「そうか…それでもイシュナは俺に最後言ったんだ、メリシュを助けてくれと」

「…イシュナらしいな…それで場所は分かっているのか?」


 その答えに首を横に振って答えるイサム。人工的に造られた空間だったのは覚えているが、目印になるような物は何も無かった。


「いや…それがさっぱりだ…」

「そうだろうな、簡単に自分の居場所が分かる様なミスはしないだろう。だが想定内だ、それを見越してタチュラとユキが最後にイサムが居た場所の特定を進めている」

「え! 分かるのか?」

「ああ、大まかな位置はな。部屋を移動しよう、動けるな?」


イサムは頷きベッドから下り様とするが、未だにエリュオンがくっ付いて離れていない。


「エリュオン! いつまで抱き付いているのですか!」

「良いじゃ無い! ノルだって似た様な事してたでしょ!」

「しっしてません! メル達も離すのを手伝いなさい!」


 それを見ていたメルとテテルとミケットもイサムに抱き付いた。


「エリュオンばかりズルいです。寂しかったのは貴方だけではありません」

「そうです。独り占めなんて絶対駄目です!」

「ちょっと退いて欲しいにゃん! 抱き付けないにゃん!」


 ミケットが三人を順番に引っ張りながら不満そうに頬を膨らましている。それをディアナとラルは羨ましそうに後ろから眺めている。


「あんなに積極的に…羨ましいです…」

「イサム様は本当に好かれているのですね、私も気に入られる様に精進しなくては!」


 苦笑しながらロロルーシェは指を鳴らすと、イサムにくっ付いた四人も含めて宙に浮き上がらせる。


「ふふっイサム、君が居なくなって寂しかったそうだ。暫くはそのまま移動しようか」

「ロロ様もお優し過ぎです! 甘やかしても良い事はありません!」

「そう言うなノル、お前も本当は混ざりたいのでは無いのか?」


 ロロルーシェは人差し指を動かしノルも宙に浮かせ、イサムの上に乗せる。急に浮き上がった為に驚いたノルはイサムの頭にしがみ付いて、その胸が顔面に押し付けられて形を変えている。


「あっロロ様! 駄目です! 降ろして下さい!」

「イサム、元の世界に戻るなんて考える気持ちも無くなるだろう?」

「え! イサム! 元の世界に戻りたいって思っているの!?」

「駄目にゃん! イサムぅ! ミケと結婚の約束をしたにゃん!」

「は? 何時よ! そんなの聞いてないわ! イサムどういうことよ!」


 空中でエリュオンとミケットがイサムを挟みながら言い合いしている。イサムは目を瞑り、ひたすら別の事を考えていた。顔に触れているのは柔らかいクッションだとか、背中と肩に当たっているもの柔らかいクッションだとか。だがそれも限界だった、イサムは強制的に押し付けられているノルの胸に鼻血を噴き出した。


「ごべんノ゛ル゛…も゛う゛だめだ……!」

「きゃーーーー! イサム様がーー!」

「イサムが鼻血を噴き出してるわ!」

「私の所為じゃないです! 私の所為じゃないです!」

「ノルの胸のせいでイサムが死んじゃうにゃん!」

「血が目に入りました! 前が見えないです!」


 空中で血だらけになる五人を笑いながらロロルーシェがそのまま移動を始め、ラルとディアナは見てみない振りをして付いて行く。


「はっはっは! まずは風呂だな、血だらけじゃ話しも出来ない」

「えっえっ!? ロロ様! まさかとは思いますが、このままイサム様も一緒にと言う事ですか!?」

「当たり前だろう、血で汚れたまま家の中を動かれては困る」

「それでは部屋で着替えてまいりますので!」

「観念しなさいよノルもメルも! そんなに自分の裸に自信がないのかしら? 私は平気だけどね!」


 エリュオンの挑発に二人の姉妹が反論する。


「なっ! そう言う問題では無いでしょ! まだ結婚もしていない男女が共に入浴など!」

「そうです! そう言う事はもっと大切にしないといけません!」

「はいはい、分かったから。ミケットもテテルも観念してるわよ。ついでに、ラルもディアナも勿論一緒に入るわよね?」


 いきなり話を振られた二人が驚きエリュオンを同時に見る。


「なっ何を言うのだ! 私は汚れてはいないぞ!」

「わわわわっ私もです……」


 そんな押し問答を繰り返しながら、湯の暖簾をくぐった一同は強制的に服を脱がされて空中に浮かんだ状態で体を洗われる。その間イサムは先程の事によりぐったりして、まだ現状を把握して無い様だ。


「ああっ…! こんな辱めを大人になって受けるなんて! ロロ様あんまりで御座います!」

「私にとっては、お前ら全員子供のようなものだ! それにお前らが進展しないとイサムは本当に自分の世界へ帰ってしまうぞ!」

「それは……そうですが! 恥ずかしいです!」

「きゃははは! ロロルーシェくすぐったい!」

「ミケの尻尾は体を洗う道具じゃ無いにゃん!」


 五人は泡だらけになりながら綺麗にイサムの鼻血を洗い落とされて、生まれたままの姿で湯船に放り込まれる。


「ぶはっ! 何だ! どうした! え? 風呂?」


 勢い良くお湯に落とされたイサムが意識を取り戻すと、目の前に真っ白で綺麗な膨らみが見える。だかその瞬間に視界が揺らぐ。


「きゃぁ! イサム様見ないで下さい!」


 バシッとノルが咄嗟に振りかぶり気味でイサムにビンタをすると、その衝撃で吹き飛び次はメルの胸にぶつかる。


「きゃぁぁぁ! 何するんですか!」


 メルの右の拳がイサムの顔面を直撃し、次はテテルの方向に飛ばされる。その瞬間テテルはヒラリと避けるとミケットの尻尾にぶつかる。


「にゃぁ! こんなに尻尾に触れたいなんて、もう結婚したも同然にゃん!」


 尻尾を引き寄せる様にイサムを引き寄せ様とした時にエリュオンがお湯を掻き分けながら傍に来る。


「何を言っているのよ! 私と結婚するのよ!」


 ミケットから奪うようにイサムを取り上げたエリュオンは、裸で居るのも忘れてイサムに抱きつく。豊満な胸の感触に、イサムはまた鼻血を噴き出すが既に意識は無かった。


「はっはっは! やはり面白いなぁイサムは! 美女達に囲まれて気絶してしまうんだから、本当に勿体無いな! そう思うだろ? ラル!」

「その通りです」


 ロロルーシェはラルに背中を流させながら、その光景を見て高らかに笑っていた。

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