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祝杯とアンコール

私はハッシュに引きずられながら自分の部屋へ行き眠ってしまったらしい。

 ルメリーさんにほっぺたを伸ばされて遊ばれてる時にようやく起きられた。


部屋の中は薄暗く慌てて起きたらハッシュが、顔を洗う水桶をタオルと共に出した。


「どんなパーティーか、わかんないから、結構がっつり料理作ったわよ!あのお金は特急料金として全部もらいます!」


「ありがとうルメリーさん。品数豊富に欲しかったんだ。助かる!あ、あー!お酒!!」


「任せなさい!抜かりはなくてよ!」


「よ、よかった!私、魔力枯渇してて、転移出来そうにないんです」


「立てる?」


「多分?お腹減ってるんで食べたいんですよ」


顔を洗うと何となくすっきりした。

ルメリーさんに部屋から出て行って貰ってまずボロボロに穴が空いた服を着替える。

 今日のハッシュのコーディネートはお金持ちの若様のドンチャン騒ぎ的な物かと思ったら、意外にも正装させられた。


「報奨金を渡すのでしたら、きちんと礼を尽くしましょうね」


「何でお金あげるの知ってるの?」


「先程、商業ギルドからお金が送られて来ました。皆で推理してたら、バラム様が来て幻惑森林のスタンピードについていった100人に配るんだろうっておっしゃったのでやっと何の為のパーティーか、わかって慌てて飾り付けを大人しくしました。パーティーは先ほどから始まり、旦那様と奥様がホストになって、無事開始されています。でも、皆さん緊張してるんで、早くお顔を見せてあげて下さい」


「わかった!ハッシュありがとう」


ハッシュに支えて貰いながら2階のダンスホールまで行くとカチンコチンに緊張してる普段着姿の冒険者達。


「ハイハイ~!皆さん食べて飲んでる?おっかなくないよ~~~。田舎貴族の精いっぱいだからねぇ~。幻惑森林まで着いていってくれた人、異常耐性ポーション代を支払います。取りに来て下さい」


メリエレさんファンクラブが並んだ。


「10本分だけど、足りる?」


ファインさんがうなずく。


「ありがとよ!貰っとくぜ!」


一人受け取ると後はスムーズに受け渡し出来た。私がフォークだけで食べ進めていると皆さんそれを見て安心したらしい。いつもの様に豪快に食って飲んで騒いで、冒険者ギルドの酒場と場所こそ違えどいい雰囲気だ。

 ルメリーさんが番号を適当に書いた板を皆に配ってルメリーさんが言った番号を潰していくビ○ゴゲームはすごかった!

 高いお酒や見事な銀細工が当たるのだ。父上でさえ、夢中になった。私もビ○ゴしたが、主催者が当たるのはマズい。

私は途中で、抜けてテラスに行ったらバラム様とはち合わせた。ビ○ゴカードを捨てる気で来たので完全に手がお留守だった。

 バラム様にビ○ゴカードを奪われてじっくり見られてため息をつかれた。


「縦、横、斜め、全部ビ○ゴしてるじゃねぇか?早く言って来いよ!」


「主催者が当ててたら、面白くないでしょうが。良いんですよこれで。ファイア」


バラム様は燃えだしたカードに自分のカードも重ねてそっと2階から落とした。

 バラム様のカードも全部ビ○ゴしてた。


「ああ、パーティー前にエルムが来てたから今日、採取に行けなかった理由をきちんと一から十まで話してやった。さすがにスタンピードはドン引きしてたな。

 ケイトスがあのクラスのメテオを落としてくれなかったら皆、死んでた。ありがとう。報奨金は国から出るからちょっと遅くなる上、そんなに出ない。おそらく何かの勲章で誤魔化されるから、期待はするな。

 ところでケイトス、お前、とんでもないお宝採取してたな!良くやった!」


はて?どれのことだろう?


「魔ミツバチの魔蜜だよ!あれ、親指一つ入る瓶で公用金貨100枚するんだぞ!あんなにいっぱい良く採れたな!」


「もう、絶対採取しない!」


あんだけ煮えたぎる熱湯の中を大量の芋虫が向かって来るんだから、普通の時はどうなるか考えただけでゾッとする。芋虫嫌い何だよ!


「他の虫は平気じゃないか?何で芋虫駄目なんだ?」


「師匠におやつに食べさせられてたからです」


バラム様、ドン引き。

ちゃんと理由はあるのだ。栄養失調だった私にスカルナイトだった師匠が出来たことが古の森の貴重なタンパク質、芋虫を集めること。親切を断れなかった私はいっぱい食べていっぱい吐いた。それを1週間続けて私は芋虫を見ただけで泣き出す弱虫になった。


「そうかぁ、でも指名依頼が王家から来てんだよ。バースデートーチもな。明日行って来てくれ」


「明日はヘキサゴナルに帰らなきゃいけないんで無理です!」


「頼む!断れないんだ!」


「……わかりました。明日1日だけですよ!」


「ありがとよ!もう、寝とけ!ファイン達には明日も指名依頼が入る事言っとく。あと、エルムの能天気も誘えば良いんだろう?」


思わず噴き出す。能天気!ぴったりだ!そのあだ名。


「よろしくお願いいたします!それでは、お先に失礼します」


自分の部屋のベッドまで転移してとにかく寝た!まだ、灰色の空を縁取る星が輝く頃に起き出しカケイ冒険者用品店に行くとメリエレさんと愉快な仲間達が、壺を購入中。


「おはよう!メリエレさん起きても平気になったんだ?」


「2度目だからな。慣れた。夜の内にハンナと魔法建築士のマーズさんとこには行って用を済ませた。マーズさん達はいつでもヘキサゴナルに行けるそうだ」


「ありがとう!メリエレさん。それが気掛かりだったんだ!」


「ケイトス様」


声を掛けられて思わず噴き出しそうになったのを何とか誤魔化してエルムさんに挨拶する。


「一日遅れになって申し訳ありません。木の芽摘みには瓶を用意して行くといいですよ」


「どのくらいの大きさがいいですか?」


「採りたい量のを買っていけ」


躊躇わずに一番大きな瓶を買うエルムさんにメリエレさんが釘を刺す。


「いいか?うっかり魔法を使うなよ!」


「素人じゃあるまいし、大丈夫ですよ」


「わかってたらいい。着替えの服は持ってきたか?」


「3流冒険者と一緒にしないでくれます?そんな無様な真似絶対しませんから。」


私を見てニコリと笑うエルムさんにカチンと来た。

 つまり、私が三流冒険者だと?

 そのケンカ買ってやろうじゃねぇか!


「よろしくご鞭撻ご指導お願いいたします。さすが、Aランカーは違いますね!私なんかまだまだですから、今日はよろしくお願いします」


 メリエレさん達は、一瞬凍ったが、解凍されたら、エルムさんに世話焼きしてやってた。一人のミスで死にたく無いからだ。

 それがエルムさんを助長させ、まるでメリエレさん部隊のリーダーのように振る舞い始めた。何か一つするにしてもメリエレさんを使う。例えばゴミを捨てる。それだけで、メリエレさんを使うのだ。

 メリエレさんは終始笑顔でそれに従った。

34人の幻惑森林前への転移は無事行われ、私たちは、幻惑森林へと足を踏み入れた。

 スタンピードが収まったからか、最初から襲って来るようなアクティブな敵は居なかった。メテオはなくなっており、私は魔蜜取りにイヤイヤ向かう。

メリエレさん達も着いて来たのであの甘い香りを探して木を探していると魔ミツバチがなってる木を発見。メリエレさんが木を蹴ると魔ミツバチとの熱い戦いが始まった!

相変わらず狙われる下半身。ブスッと刺されるメリエレさん部隊。あっという間に食べ過ぎたお腹並みに股間が腫れる。

慌てて毒消しポーションをあおる皆さん。その間にメリエレさんと私は魔ミツバチの討伐を完了した。


「大丈夫?皆」


「めちゃくちゃ痒いだけだから、心配すんな!魔蜜採って、バースデートーチ部隊に合流するぞ!イヤな予感がする」


ファインさんが魔ミツバチの巣を地上に持って来た。皆が壺を出す。だぶだぶと魔蜜が壺に入って行く。


「ケイトスも出せよ」


ガラス瓶の一番大きなのを出すと、見る間にいっぱいになった。

するとファインさんが空になった巣をまた木の上に戻して来た。


「ずらかるぞ!」


「「「「「「「はい!ファインさん」」」」」」」


芋虫の行進を避けてよく知らない道を通るとメリエレさんが獣道の側に咲いていためちゃくちゃ綺麗な花を警戒しながら採っているので何処から襲われてもいいように私たちは布陣したら、採ってすぐにその花の香りが強烈になった。メリエレさんが慌てて瓶詰めするが、ほんの少しの香りだけで、また魔ミツバチに囲まれた。生ぬるい数じゃなかったので、リトワージュ流剣術のソードスラッシュでとにかく数を減らすことに腐心した。


「俺生きてる…ケイトスお前は魔法が無くても強い!ありがとうな!」


2時間弱ほぼ一人で頑張ったからちょっと息が上がってる。

空を何気なく見上げて、メリエレさん達に上を向かせた。


「信号弾が6つも上がってやがる!無茶言うが、あの下まで転移してくれ!ケイトス」


「固まって!行くよ!」


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