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85話 指名依頼の山

夕食を食べてからカルトラの冒険者ギルドに転移するとギルマス部屋に転移させられた。

バラムさん、寂しがり屋さんなのかな?


「ケイトス、何故直ぐ来ない!口裂けとコーラルサーペントの主を討伐したのだろう?!馬鹿たれ!」


「ごめんなさい!いろんな都合が私にもあるのです」


バラムさんは私の頭をゲンコツで叩くと気がすんだようだ。


「イエールが待ってる!提出してからまた、来い!お前の指名依頼が山になって待ってるからな!」


「は~い!」


解体受付窓口に行くとイエールさんにもゲンコツされた。痛いってば!


「イエールさん、口裂けと小さいサーベルタイガーは怪我した皆と私たちの即席パーティーで頭割りして下さい」


「あーん?お前は、気前が良すぎる!口裂けはお前だけで倒したって、ラリーから聞いてるし、小さいサーベルタイガーってのも出してみろ!査定してやるから!」


ギルドタグをイエールさんに渡して搬入口にアイテムボックスを触れさせて中身を出すとイエールさんに解体受付窓口から手招きされた。


解体作業をしてる作業場にお邪魔すると、コーラルサーペントの皮を剥いでる所だった。


「普通のサーベルタイガーは、中身が黒焦げになってるから毛皮だけの査定だな。口裂けはオークション行きだな。肉も美味いんだぞ?あと、牙は武器の素材になるから、スゴイ値段が付くぞ!ホントに頭割りしていいのかよ?」


「あのね、口裂けに食べられた人もいるから、その人達の分も出してあげて下さい」


イエールさんは面白くなさそうな顔でクローザー伯爵にサーベルタイガーの肉を渡していた。


「イエール様!是非毛皮と牙も!」


「どうするケイトス?」


「すみません、今回は、亡くなった方やケガした方に早くお金を渡したいんで、ミストオークションギルドに任せます」


「……言うと思った!コーラルサーペントの主はどうする?」


「冒険者ギルドのオークションに掛けて下さい」


話してる間にサーベルタイガー特殊個体の口裂けの解体作業が終わりクローザー伯爵が全部マジックバックにしまって馬車で帰って行く。


「普通のサーベルタイガーはいらんのか?馬鹿たれ!めが!」


「まあまあ、イエールさん、ありがとうね」


「ケイトスは、ホントに優しいな?」


「普通でしょ?あんまり自分の事ばかり気にしてると世界が狭くなります」


「おお!そうだ!ヘレナにイヤリングくれたんだってな!これ、持って行け!アクセサリー素材になるんだよ!あんまり帝都じゃつかわねぇからな」


エメラルドグリーンから黄色、グレーへと変わる綺麗な羽をひと抱え分もらった。


「いいの?イエールさん」


「使えたら今度は買ってくれ!」


「サンプルかぁ……わかりました!いただきます!」


血塗れ兄さんが近寄って来て両手いっぱいのカラフルな小さな魔石をくれた。


「……チーズとベーコン美味しかった。これ、クズ魔石。あげる」


「えー?!いいの?幾らか出すよ!」


「値段がつかね~んだ。いいんだよ!もらっとけ!ほら、バラム様が待ってるぞ!」


「ありがとうございます!また、チーズ買ってくるね!」


アイテムボックスに2つの素材を入れてギルドタグを返してもらうと、ギルマス部屋に転移した。


ギルマス部屋の半分近くが採取した素材のガラス瓶で埋まっていた。


「来たか。お茶に付き合え。それから、この素材はお土産物のお返しだとさ。もらっておけ。チーズもベーコンも高いんだから、ほいほい持って来るな。サウス達もお土産物持って行っていいのかわざわざここまで聞きに来てたからな。あぁ、サウスはギルドにアクセサリー付けて来た奴だ。チーズを5つ渡しといたぞ」


「バラムさんありがとうございます!」


「いや、それはいいが、とりあえずアイテムボックスに入れろ。重複分はギルドで買い取った。これがその金な」


シロッコさんに渡して来たい!


「直ぐ来るから、ちょっと待ってて下さい!」


アイテムボックスに収納してシルーランホテルのゲストルームへ転移したら、クロウさんとシロッコさんはクロウさんの

スケッチブックを見てお話中。


「シロッコさんにお土産!薬草樹海で採れた薬草いろいろね!どこに出す?」


「…テーブルの上に決まってるだろう?」


「わかりました!」


テーブルの上に乗り切らなかったので、後は絨毯の上に並べた。


「「ウオォオオーーー!!」」


シロッコさんとクロウさんは夢中になってスケッチし始めた。

冒険者ギルドのギルマス部屋に行くと遅い夕食を食べてるバラムさんとルメリーさんがいた。

ヘレナさんにソファに座らされた。


「紅茶と緑茶、どちらにしますか?」


「緑茶で!お願いします!」


きんぴらゴボウと里芋の煮物、大根の巣ごもり風という超美味しそうな夕食を横目で見ながら2人の食事が終わるのを待つ。


バラムさんが、早食いしてヘレナさんが持って来た緑茶を飲み干してソファの空き地に置いていた書類の束を私に渡す。

 パラパラ捲ると全部、指名依頼だった。

しかも、ヘキサゴナルへ連れて行って欲しい、とかいう依頼もある。

 どうするのだろう?これは。


「お前次第だよ。あんまり深く考えんな。飛行艇があるんだから、そいつらはそれで行かしゃ良い!」


「はぁい!」


ヘキサゴナルツアー客は、はねようと思ったが、ファインさん達が行きたいらしいので、それは、了承した。

 どうせナーテさんのアクセサリー仕入れて来るし。何ほどの事でもない。

ルメリーさんからの依頼もあった。

小麦粉とチーズとベーコンの仕入れね!

 後は幻惑森林での魔獣討伐の依頼か。


オワッ!?冥府蝶欲しいって、公用金貨一兆億枚の依頼くれたお嬢様からの依頼がある!

今度はタダであげよう。

 エルムさんからの幻惑森林に連れて行く依頼もあるし。明日はファインさん達にエルムさんをお任せして私一人で明日は幻惑森林に行く!

小花蝶、って名前になったんだ。あの蝶。

ランクはSか。まぁ、デススパイラルスネーク呼ぶんだもんね!


ほっぺたをプニプニ押されて隣に座るルメリーさんを見ると何だか機嫌が悪い。


「なあに?」


「幻蝶屋、売ったわよ」


は?はぁああああーーーっ!?


「何で!?どうしてそうなったの!!」


「あそこは危ないから、もっと目立つ所で売るのにしたの。ちなみに土地を売ったのはアスターさんに。チェルキオ聖教の教会にするそうよ」


「じゃ、幻蝶屋はお休みしてるの?」


「いえいえ、もう営業してるからご心配なく。大きな釘を何本も打たれた後だからスンナリ話は通ったし、ホホホホ!」


「どこに店があるの?ルメリーさん」


「クロスディア魔石直売所を改装したの。」


……それは、ちょっとイヤかも。


「魔石直売が出来なくなったんですって?公用金貨10億枚の委託料前払いを返せって言ったら青い顔で詫びて来たわよ。チョロいのよ!ホホホホ!」


「芸術家の支援が出来なくなったのも言った?」


「あぁ、ソレね!アスターさんと鑑定士のバカ2人があちこちの芸術家たちに最後通告をしてるんだけど、泥舟からは皆、逃げちゃってね。別荘とか工房とか、返すから、作品はあげないって、キチガイばっかりなのよ!」


「……そうなんだ。まぁ、良かったね。幻蝶屋が再開できて」


「そうね。それはいいとして、食彩館は工房地区の職人さん達に大人気よ!1度、食事に行ってあげてくれない?ケイトスくんが来るの待ってるから」


「わかりました!明日、仕事が終わってから行って見ます」


「ちなみに明日の予定は?」


「ソロで幻惑森林に行って来ます!」


バラムさんが顔をしかめる。


「4~5人、腕の立つのを連れて行け!」


「足手まといは、いらないよ!まぁ、明後日はそうも言ってられないけどね~。冥府蝶はソロじゃ無理だし」


「分かってりゃ良い。気をつけていけ。エルムには、明日装備を万全にさせるから明後日は下手こくなよ」


「バラムさん、エルムさんの事知ってるの?」


「一応な。アイツは賞金稼ぎだったから、採取なんか初めてだ。賞金首の魔獣もズタズタにして持って来るような奴だから、ゼロって言うあだ名がついてた。性格も最悪でな、1度しかパーティーを皆、組まなかった。4年前にカラルフ商会の護衛としてヘッドハンティングされていったが、今更、何の用だ?」


「バースデイトーチ採って旦那様にあげたいんだって」


「「「………」」」


バラムさん達が生温かい笑みを浮かべている。


「やっと飼い主に会えたんだな。ま、死なない程度にひどい目にあわせてやれば、幻惑森林のヤバさも解るはずだろう。頑張れケイトス」


「はいはい!ルメリーさん、こっちのショッピングモールはどうなってますか?」


ルメリーさんはご機嫌で答えた。


「順調に建設中よ。灯りが、結構いるからそれが懸案事項ね。今魔導具作ってもらってるの。予算は大丈夫。まだ、たっぷり残ってる!」


「ありがとうルメリーさん!」


他に聞くことなかったっけ?

 ま、いいか。

じゃ、カケイ冒険者用品店に行って、明日の準備しよう!

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