ようやくの魔法
投稿が遅れてすみませんでした!また性懲りもなく同時連載状態にしてしまったので、これからはたまに遅れるかもしれません!
最低でも二日に一回は投稿できるよう頑張ります!
食料も効率よく集められるようになったことで、ようやく俺達にも余裕が出てきた。
貨幣を作った次の日の朝。ギン達は早速、貨幣を使って餌を交換していたのだが……。
「そのバッタくれねぇか?」
「お値段は、貨幣いっぱい!」
「おらよ、貨幣いっぱい!」
彼女達は餌以外で数を数えるということがないせいで、既に経済が破綻していた。おいおい。
そういう細かいところもちゃんと教えていかなきゃな、と思いながら、俺はギンに全く違う話題を振る。
「数字も分からないってことは、ギン達は人間の言葉を覚えてるってわけじゃないんだよね?」
「うん。きょういくきかいのふびょうどう!」
「お、おぅ……。となると、やっぱり俺らが喋れてるのはチート能力のお陰なのか……」
「魔法で喋ってたんじゃないのでござるか?」
やはりギン達と喋れるのは、普通のことではないようだ。前から気になっていたことの確認がとれたところで、サクから質問が飛んできた。
「いや、俺はまだ魔法を一つも覚えられてないからな。魔法のお陰じゃないと思う」
「魔法使いなのに魔法を覚えてないって……ただの役立たず?」
「相変わらず、機嫌が悪いと毒吐いてくるな……」
ネインが上目遣いのまま蔑んだ目で見てくるので、なんかこっちを呪ってきそうな怖さがある。
でも彼女の言うことももっともだ。俺は全容の把握できていないチート能力しか使えないため、これからの戦闘では足を引っ張りかねない。
「俺も魔法とか使いたいんだけど、どう覚えれば良いのか分からなくてな。多分、人間側で修行か何かしないといけないんだと思うけど……」
「あ? 魔道書を使っちゃ駄目なのか?」
「え、何それ!」
俺が悩みを打ち明けると、テラから謎の単語が飛んできた。何か知ってるのか!?
「人間が魔導書を使って魔法を覚えるの、見たことあるぜ。この前倒した冒険者も持ってたけど、字が読めなかったから分からなかった」
「マジで!? ちょっと見せてくれ!」
冒険者の死体処理は流石に関わっていないので、持ち物の詳細までは把握していなかった。
俺が頼み込むと、テラは二つ返事で案内してくれる。
「戦利品はここら辺に置いてあるけど……」
「ありがとうテラ!」
俺は感謝を述べてから戦利品を漁り、その中から二冊の魔導書を見つけた。二人の魔術師が持っていたものだろう。それにしても……。
「血だらけだなこれ……」
魔導書なんてものがあると知ってテンション上がっていたが、いざ見てみると冒険者の血でべっとり汚れていた。うわこれ読みたくねぇ。
でも彼女達の役に立つためには、これくらいで音を上げてはいられない。俺は役に立てたかなと期待の目でこちらを見つめるテラのためにも、本を開いた。
「おぉ! 知らない言葉で書かれてるのに、ちゃんと読める! これは疾風属性の魔道書と、火炎属性の魔道書だ!」
俺は疾風属性に適性があるし、火炎の魔導書はテラの役に立つ。かなり運の良い引きだ。
魔術師には魔法を使う隙すら与えてやらなかったので、せめて俺がこの本を有効活用してやろう。
「この魔法の中なら……うん、これで良いか」
魔導書をパラパラとめくって俺が選んだのは、〈送風〉という相手を奥に押しやる魔法だ。
いつ新たな刺客が送られてくるか分からないため、習得が簡単そうなこの魔法は悪くない。
それに何より、俺はレベルや属性的に攻撃主体の魔法を覚えてもたかが知れているのだ。だから俺は、ギン達を補助することだけに特化した鍛え方をするつもりだった。
「どんなけ魔導書楽しいんだよ……」
「俺だけ役に立てないのは、やっぱ悲しいからね。それに、少し嫌な予感がする。早めに準備しておきたいんだ」
テラに突っ込まれたので、俺は今の気持ちを正直に伝えた。冒険者を三人も撃退したのに、次の襲撃まで時間が空いているのが怪しい……とゲーマーの勘が告げているのだ。
それを理由に俺は一日中魔導書を読みふけり、魔導書の使い方も直感だけで掴みとって〈送風〉を習得した。ゲーマーはこういう時だけ異様に凄いよな。こういう時だけ……。




