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異世界旅行記 ~異文化交流って大変だね~  作者: えろいむえっさいむ
資料【異世界の文化または人物と交流があった者の変化について記録】
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閑話・サティの冒険(前編) ~ファイナル異世界クエスト 幻の異世界~

夏休みです……一応。ちょっと短い代わりに、後編はなるべくすぐ書きます。

サティ 「あれ、ここは異世界の工房? こっちで泊まったんだっけ?」


 オレは異世界にあるアイツァの工房のいつもの部屋で目を覚ました。何か物凄い違和感を覚えるが、何がおかしいのかどうも判別がつかない。とにかく部屋を出てリビングへ向かう。


 リビングにはいつもの魔像(ゴーレム)2体と、そしてアイツァの姿があった。


アイツァ「おはよう、サティ。さあ一緒に冒険へ出ましょう」


 そう言うとアイツァはオレの後ろについた。やはりなんかおかしい感じがするが、まあ大したことじゃないと思い直してそのまま工房を出ようとする。ふいに背後から声がする。


アイツァ「サティ、武器や防具は装備しないと意味がありませんよ」


 そう言われて気が付いたオレは、慌てて装備を整える。ステータスウィンドウを開く。



————————————————————————————————


サティ:フリーターLv1(次のLvまであと経験値10)

HP30/30 MP100/100

筋力・12

体力・13

知力・21

魔力・1

器用・8

幸運・15

所持スキル:算術、原動機付自転車免許、空間魔導、家事全般

称号:一般人


 武器 ナイフ

頭防具 魔術師のフード

体防具 Tシャツ

足防具 Gパン

装飾品 火の魔術具の指輪

    腕時計


————————————————————————————————



 何か見慣れない物を見た気がするが、まあ準備ができたのなら細かいことはなんでもいいやと工房を出る。今度はアイツァも何も言わなかった。無言で背後からついてくる。


 工房を出ると、当たり前だがレーテの森が広がっていた。どこへ向かえばいいのか全くわからないのだが、とにかく前へ進んでいく。


 ……おや?



————————————————————————————————


 シェルバ(狼もどき)の群れが現れた! シェルバA、B、C、Dが襲い掛かってきた!


サティ 「え、あれ、なんか始まった? え、これ、戦うの?」


 サティは驚いて固まってしまっている! 行動ができない!


 アイツァの攻撃! 土の魔術による石散弾!


 バシシシシッ!


 シェルバAに1,326のダメージ! シェルバBに1,288のダメージ! シェルバCに1,311のダメージ! シェルバDに1,301のダメージ!


サティ 「ちょ、強っ。なんか強すぎない!? 一撃で全滅させてるんだけど。オレまだ最弱のLv1だっていうのに……」


 シェルバの群れを倒した! 経験値130を手に入れた!


 サティはレベルが上がった! レベル4になった!


————————————————————————————————



 その後も何度かいろんな魔物に会った……気がするんだが、あんまり印象が残っていない。敵の種類がシェルバ(狼モドキ)シェバ(蛇モドキ)の2種類しかいないせいか、それとも戦闘が一瞬で終わってしまうからだろうか。


 どの戦闘も開幕アイツァが魔術を使って一瞬で倒してしまうため、戦闘しているという感覚がいまいちない。相手が単体であろうか複数であろうが関係なく魔術で一掃してしまう。しかも威力がかなり高いらしく、攻撃を受けた魔物は粉微塵に砕け散ってしまう。


 ちなみにオレの攻撃は、ほぼ当たらない。というか当たる前にアイツァが倒してしまう。あまりにも戦闘能力に差がある気がして、こっそりアイツァのステータスを覗き見た。驚いた。



————————————————————————————————


アイツァ:宮廷魔術師Lv71(次のLvまであと経験値65,536)

HP2,560/2,560 MP2,000/2,000

筋力・100

体力・300

知力・120

魔力・800

器用・100

幸運・4

所持スキル:火属性魔術、水属性魔術、風属性魔術、土属性魔術、光属性魔術、波形操作魔術、身体操作魔術、近接格闘スキル、特殊戦闘体術スキル、中遠投擲スキル、魔術回路解析スキル、魔術回路作成スキル、魔像製作及び改造技術ゴーレムクリエイトスキル、一般製薬スキル、一般建築スキル、交渉スキル、悪路走破スキル、隠形スキル、痛覚耐性、毒耐性、クレーン操作技術初級、異界知識

称号:隠遁する黒髪の美少女


 武器 ナイフ

頭防具 魔術師のフード

体防具 軽装鎧

足防具 ボロボロのズボン

装飾品 肉球ペンダント

    火の魔術具の指輪


————————————————————————————————



 ……なんかオレに比べて強すぎじゃないですかね。っていうかスキル多っ。


 自分より10倍以上数値が高いアイツァのステータスを見て愕然とする。ちなみにオレはLv14まで育ったのだが、ステータスの値はLv1と全く変わってない。別にレベルが上がったら強くなるというわけでもないらしい。


 というか考えてみたら当たり前だ。ほぼ戦ってるのがアイツァなのにオレの体が鍛えられるなんておかしい話だ。ナイフ振りかぶって右往左往してるだけの人間が筋力ムキムキ知力キラメキのスーパー人間になれるわけがない。


 そうやって適当に魔物を倒しつつ森の中を無目的に歩いていると、気付いたらファリアブルーの花が咲いている泉にやってきた。青い泉を彩るように白い花が咲き乱れている。相変わらず綺麗な光景だ、と見とれていると、いきなり上から黒い影が降ってきた!



————————————————————————————————


 シィーラが現れた! シィーラが襲い掛かってきた!


サティ 「え、ちょ、こんな巨大生物と真正面から戦って勝てるわけがないだろ! 前はほぼ奇襲したからこそなんとか倒せたのに! アイツァ、に、逃げ……」


 この戦闘は逃げられない!


サティ 「ですよねー」


 シィーラの攻撃! 噛みつき攻撃!


 アイツァは直撃を回避した! アイツァに2,070のダメージ!


サティ 「掠っただけで9割ダメージ!? 強すぎだよ! どう考えても強すぎだよ!」


 アイツァの攻撃! 石の投擲! 土と風の魔術による加速効果を付与! 音速砲弾による攻撃!


 シィーラの眉間に直撃! 会心の一撃(クリティカルヒット)! シィーラに29のダメージを与えた!


サティ 「え、堅っ。いくらなんでも堅すぎじゃない? 無理ゲーだよこれ、負けイベントか?」


アイツァ「サティ! 私の力じゃシィーラの魔術回路による防御を突破できない! 空間魔導で攻撃を!」


サティ 「あ、そういえばそんなのあった。なんか忘れてた……」


 サティの攻撃! 空間魔導による一撃必殺(ギロチンアタック)! シィーラに999,970のダメージ!


 シィーラを倒した! 経験値300,000を手に入れた!


 サティはレベルが上がった! レベル41になった!


 アイツァはレベルが上がった! レベル73になった!


 羽蛇の邪眼を手に入れた!


————————————————————————————————



サティ 「……うん、空間魔導がある限りなんか負ける気がしないわ。あ、MP消費はちゃんと3分の1の33なんだこれ……それにしてもレベルかなり上がったはずなのに、Lv1のときとステータスが一切変わってないってのはちょっと落ち込む……」


 自分の微動だにしないステータスを見てため息をつきながら、羽蛇(シィーラ)の目玉をズボンのポケットに突っ込む。また何か違和感があったけど、気にしないで背後を見る。するとアイツァが辛そうにしていた。


アイツァ「サティ、一度街に戻りましょう。さすがに体力がないわ」


サティ 「ああ、そうだね。宿屋で回復しよう……ああ、そうか。すぐ戻れるのか……」


 空間魔導の存在を思い出してオレは右手をその場で突き出す。そして意識を集中すると、急に目の前に選択肢ウィンドウが開いた。



————————————————————————————————


 移動先を選んでください

[〉工房

  ベーラ

  ガリム砦

  ラオグルム

  日本(道のど真ん中)

  日本(貸倉庫)


————————————————————————————————


 

 ……あれ、ラオグルムってどこだっけ。なんか聞き覚えはあるんだけど……


 ちょっと不思議に思いつつどこがいいか検討する。たぶんどこも泊まれる宿がある場所にいけるはずだ。日本も安全でいいけれど、とりあえずラオグルムというのがどこなのか思い出す意味でそれを選択する。なぜか自分の意思とは無関係に、自然と口から呪文を唱えていた。


サティ 「ラール!」


 目の前に黒い穴が開いたので、躊躇うことなくその中に足を踏み入れる。ワープホールを通り抜けると目の前の景色が変わる。


 薄暗い森の中から明るい陽射しの中に入って思わず目を瞬かせる。手を額に翳して周りを見ると、目の前に見覚えがある館があった。ディート師のお屋敷である。


 ……ってことはここは帝都か。そういえばディート師の生誕地名がラオグルムだったなぁ……


 もしかしたらディート師も中にいるのかな、と思って館に入ろうとすると、また選択肢ウィンドウが開く。



————————————————————————————————


 本当に入りますか?

[〉はい

  イエス


————————————————————————————————



 ただ屋敷に入るだけなのになんで選択肢が出るのか一瞬疑問に思ったが、特に何にも考えることなく「はい」を選ぶ。するとアイツァが悲鳴のような叫び声をあげる。


アイツァ「ここは、魔王の居城! サ、サティ逃げて! 強大な魔力がこちらに接近してくる!」


サティ 「ま、魔王の城? どういうこと? というか、なんか物凄く嫌な予感がするんだけど……」


 館の方を振り返ると、露骨なほど禍々しい気配が扉の奥から噴出している。ゴゴゴゴゴという効果音とともに分厚い木の扉が開いて、奥の暗闇にいた白髪で高級そうなローブを纏った男が姿を現した。



————————————————————————————————


ディート:魔王Lv∞

HP∞/∞ MP?/?

筋力・100,000

体力・100,000

知力・1,200,000

魔力・2,700,000

器用・500,000

幸運・100

所持スキル:魔の(ことわり)を統べる

称号:魔術を極めし者、魔導を(のっと)る者、現存する魔法使い、慈善家


————————————————————————————————



サティ 「こんなん勝てるかっ!」


 オレは思わず大声でツッコミをした

『ファイナル異世界クエスト 幻の異世界』2X16年夏に発売予定!(希望小売価格、金貨2枚)

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