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後方兵科が異世界転移!?  作者: お芋さん
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 タミーナの話では、フェーネをタミーナに預けた後しばらくすると、冒険者組合の人間が3人来たそうだ。その中にはフェーネを知る女性(おそらくイルスさん?)がいて「ペンはここで買えるの?」と尋ねたそうだ。フェーネが肯定すると、3人の中の1人が笛を吹いた。するとどこからともなく組合んがわらわらと集まり1人あたり2~3本購入していったそうだ。冒険者組合と顔見知りの商人も周辺にいたそうで、組合員からの口コミでその後はお客さんが殺到したそうだ。ペンは早々に売り切れてしまったそうだ。コピー用紙の方もそれなりに売れたみたいだけど、約100枚ほどは売れ残っているそうだ。


「明日もペンと紙を売りたいと思うのですが、追加購入できますか?」

「えぇ。大丈夫ですよ。京藤さんお願いしていいかな?」

「分かった。でも・・・ここではちょっとあれだから・・・そうだボク達の泊まる部屋ってどこかな?そこで取り出すよ」

「分かりました。ちょっと店主に皆さんの到着を伝えてきますので少しお待ちください」


 タミーナは席を立ちカウンターの方へ歩いて行った。カウンターから厨房の方に向かって声を上げた。


「ジュナイドさん」

「おーう。ちょっと待ってくれ~」


 厨房の調理台の下から男性が顔をのぞかせた。


「連れが到着したの部屋のカギをお借りしたいんですがよろしいですか?」

「お~う。ちょっと待ってくれ。すぐ行くから」


 ジュナイドは再び調理台の下に隠れてしまった。少しすると男性は手に鍋を持ち現れた。鍋の中には芋などの野菜が入っている。どうやら半地下の貯蔵庫から食材を取り出していたようだ。ジュナイドはその鍋を調理台に置くとカウンターまでやってきた。

 カウンターから羊皮紙、インク瓶、羽ペンを取り出し並べた。石田達を手招きして呼び寄せて話しかけた。


「えーと、連れの方の名前をもらいんだが・・・ここに書いてもらっていいか?」

「はい」


 見ると紙には「宿泊者名簿」と書き込まれている。京藤が素早くボールペンを取り出し石田に渡した。


「はい。どうぞ」

「あ、ありがとう」


 石田はそれを受け取りササっと記名する。ボールペンを羊皮紙の上に置いて京藤と入れ替わる。全員が入れ替わりそれぞれ記名をした。記名が終わるとジュナイドは紙を持ちあげ確認する。


「兄ちゃんたち便利なもんもってんな・・・おし。問題ないぞ。これがカギな。部屋はカギに書いてある数字と同じ部屋を使ってくれ」


 ジュナイドはペンにさほど興味を持っていないようだった。ペンに対して淡白な反応だった。

 ジュナイドは2つカギを取り出し、片方を京藤に、そしてもう片方を石田に渡した。


「はい。了解です・・・あれ?宿泊料は?」

「タミーナさんから頂いているよ」

「え・・・?タミーナさん。悪いですよ。私たちのは私たちで払います」

「いえ、皆さんのおかげで稼げているのですからこれ位は持たせてください」

「そう・・・ですか?」

「はい」

「ではお言葉に甘えて。ありがとうございます」


 ユニットの全員はとりあえず部屋を確認に行くそうだ。タミーナを連れて二階へ上がっていった。石田も後に続こうかと思うと、ファティにつかまってしまった。


「のうのう!これを聞くのじゃ!」


 ファティはとてもうれしそうな笑顔を浮かべてイシダの腕をつかんだ。


「イラーシャィーセ!」

「?」


 石田の耳には聞いたことのない言葉に聞こえた。


「む?間違えたかのぅ?イラッシャィーセ!」


 席に座ってこちらの話を眺めていたラエレンが立ち上がり声を上げた。


「ファティ!『いらっしゃいませ』だよ!」

「うん?そうか。んん。『イラッシャィマセ』!」

「おぉ!なるほど!」


 どうやらファティはタミーナのお店を手伝いながら言葉を覚えようとしているようだった。


「どうじゃ!?今度は伝わったじゃろう?」

「うんうん。伝わったよ!すごいじゃないか!」

「むっふっふ。そうじゃろうそうじゃろう」

「他には何か覚えた?」

「うむ。そうじゃの、『アリガトゴザシタ』」


 ラエレンが席を離れてファティの隣にやってくる。それを見て他の3人も席を離れてやってくる。


「違う違う。『ありがとうございました』」

「うむ?・・・『アリガトゴザマシタ』」

「おしぃっ!『ありがとうございました』」

「むぅ・・・『アリガトゴザィマシタ』」

「そうそう!イェーイ!」


 ラエレンが笑顔になり右手を顔の高さまで上げて手のひらをファティに向ける。それを見たファティも同じように笑顔になり同様の行動をする。そしてそのまま2人は息ぴったりにハイタッチした。


「凄いな。ファティは・・・」


 石田は特に誰に聞かせるでもなく独り言をつぶやいたつもりであったがそれにザリファが答えた。


「うん・・・すごい・・よ。大きな男の人・・・来ても、声をかけてた。私・・・怖くてナーダの背中に隠れてたのに・・・」

「そっかぁ・・・。でもラエレンやナーダ、ザリファ、ターニャも店に立ってたんでしょ?」

「・・・うん」

「はい。といってもお釣りを用意したり、紙の枚数を数えたりといった簡単な作業だけでしたけど」

「価格交渉とかは基本的に母がやってましたからね」

「いや。それも大事な仕事だからね。えらいえらい」


 石田はターニャ、ラエレン、ナーダ、ザリファの頭をそれぞれなでた。


「むぅ。吾輩は?」


 とファティも頭を突き出してきたので両手でちょっと強めに撫でておいた。


「じゃ、部屋の確認に行ってくる」


 ファティらを残して一人部屋の確認に行くつもりであったが、彼女らは石田の後をついてきた。まぁ、同じ宿だし特にいうことはないか・・・とそのことについては特に何も言わなかった。鍵の番号と扉の番号を見比べながら部屋を探す。部屋は一番奥の部屋だった。部屋を見つけてカギを差し込もうとしたところ、隣の部屋から京藤達が出てきた。すると湯川が一歩前に出てイシダに話しかけた。


「司令!大変なことに気が付きました!」

「ん?・・・なに?」

「この宿・・・お風呂がありません!」

「あー・・・うん。だろうね」


 砂漠にポツンと存在するオアシス。その周辺に形成された街なので、おそらくそうだろうと考えていたので驚きはなかった。


「ついては野外入浴セット2型の使用許可を願います!」

「いいよ」

「やったぁー!」

「え?本当ですか?私たちもお借りできますか?」


 タミーナが石田に問う。


(7人が入るのも20人が入るのも大きく変わらないしな)


「えぇ。いいですよ」

「うわぁ!ありがとうございます。お手伝いしますね」

「ありがとうございます。でも、あれって場所が必要になりますよね?店主に許可をもらえたらって条件が付くけど・・・」

「おーけぃ。ちょっと話して許可貰ってくるね~」


 湯川と間宮が一階へ降りて行った。


「京藤さん。受け渡しは問題なく?」

「うん。大丈夫だよ」

「えぇ。数も確認しました。ありがとうございます」

「あ、そういえばタミーナさん。フォックス族の皆さんは?」

「皆さん疲れていらっしゃるようで、夕飯時まで寝るといってました。それぞれ部屋に入っておられますよ」

「なるほど。わかりました。あと、この子たちの部屋は・・・」


 石田はターニャやラエレン達を示す。


「えーと、ここの隣とその隣の部屋です」


 京藤さんたちの出てきた部屋を示し、石田と逆方向の2部屋を指さした。


「よし。じゃあ、私は少し部屋で休むから・・・」


 と話したところ、階段をバタバタと上がってくる存在がいた。


「司令!許可貰ったよ!建物の裏の空き地を使ってもいいってさ!」

「・・・早いね・・・」

「司令!ゲート開いて!」

「・・・おーけー・・・」


 つい先ほど上ってきた階段を降りる。一階に降りると入口から男女が入ってきた。女性はおよそ40歳ほど。男性は成人が近そうな少年だった。2人は手に食材が入った籠を持っていた。女性が石田達に気づき話しかける。


「あら?お出かけですか?」

「あ、スマヤさん。今からちょっと裏の空地を借りて風呂を設置されるそうなんですよ」


 と答えたのはタミーナだった。

 話しかけてきた女性・・・スマヤとは別に、少年は石田に軽く一礼しカウンターの方へ歩いて行った。彼は荷物をカウンターに置くと、スマヤのところへ戻ってきて彼女の荷物を持ち再びカウンターへと運ぶ。


「お風呂・・・ですか?」

「えぇ。そうだ、石田様、スマヤさんたちも・・・」

「かまいませんよ」

「わっ本当ですか?ありがとうございます。スマヤさんも後程お風呂をご一緒しましょう!」

「・・・はい。でも今から夕食の仕込みがありますので・・・」

「じゃあ、お風呂を沸かすのは夕飯の後にすれば問題解決じゃん?」


 ということで風呂には店主たちも入ることになった。風呂を沸かすのは夕飯が終わってからということになった。

 石田達は外に出て宿の裏の空地へ行く。そこでゲートを開き、野外入浴セット2型・給水車・天幕を領から出し準備をする。天幕は司令天幕を使うわけにいかないので手で通常の天幕を人力で組み立てる。そして風呂を用意し給水車からのホースやボイラーへ循環させる管などをつなげる。

 すべての準備が整ったころにはすでに日が暮れていた。宿に戻ると、料理店としても機能しているため数人のお客さんが来ていた。店に入るとスマヤが席に案内する。席に着いたところでタミーナがフォックス族を呼びに2階へ上がっていった。少ししてフォックス族の皆を連れて降りてくる。

 夕飯はパンとスープだった。スープは何かでだしを取ってあるのだろう。おいしかった。食事を終えたころ店にアディがやってきた。ちょど女性人が風呂に入るために席を立ったところだった。

 アディの服はおしゃれだった。店の他のお客さんは単色の布でできた服で飾りのようなものは一切ついていない。アディの服には白赤黒の3色の模様があった。また、胸のところに金色の糸で・・・・鷲(?)の詩集が施されていた。

 アディは店内に入ると客席をざっと見渡す。そして石田を見つけるとそのテーブルまでやってきた。


「おうイシダ。相席いいかい?」

「どうぞ」

「おう。ありがとな」


 アディは席に着いた。

 アディの来店に気づいたジュナイドが石田達の机までやってきてアディに声をかけた。


「おう。アディ、よくきたな。どうした?そんな軍の礼装を着て?うちは、そんな高級料理屋じゃないぞ?」


(おう。彼のこの服は軍の礼装だったのか・・・)


「お、おう。そ、そんなこと、わかってるって。それより大鳥のスープセットはまだあるか?」

「あぁ。あるぞ。それだけでいいか?」

「あとはエールをジョッキで」

「大鳥のスープセット、エールだな。待ってろ」

「あ、ジュナイドさん!私もエールをお願いします」

「おう。ちょっと待ってろ」


 ジュナイドがカウンターの奥に戻っていった。


「とりあえず、仕事お疲れ。アディ」

「おう。サンキュ。今日は・・・イシダぐらいしか騒ぐようなことなかったな」

「・・・平和でよかったな」

「おう。だけどよ、俺はこれじゃまずいとも思ってんだけどな」

「ふ~ん?」

「軍で交代しながらだが・・・税の徴収の仕事をこなしているから商人と話をよくするんだ」


(なるほど。あの距離を置かない話し方はその経験から来るのか)


「で、よその国から来る商人の話だとな、最近は開発ラッシュらしいんだ」

「開発ラッシュ・・・?例えば?」

「そうだな。南の国の方じゃ風の力を捕まえて水を高いところまで持ち上げる技術が生まれているらしいんだ」

「あぁ。そういえば、フェーネさんの話にそんなことあったな」

「あとは、城壁上の兵士が持っている銃って武器だな」

「それはどこで開発されたんだ?」

「えーと・・・確か北東の方からもたらされたはずだ・・・」

「国名は?」

「すまん。わからん」

「いや、大丈夫だ。・・・それで、この街には変化がない?」

「そう。その通りだ」


(・・・古い知識だが「動的平衡」だったか・・・)


 動的平衡・・・自然科学の物理・化学分野において使われる言葉。この言葉を説明するにあたり次の状況を設定しておきたい。まず2つの状態、「A」「B」が存在するとする。それぞれA→B(状態Aから状態Bに変化)とB→A(状態Bから状態Aに変化)という両方の過程が存在するという状況だ。さてこの時、お互いの変化速度が一致しAとBが共存することがある。その状態を指して「動的平衡状態」と呼ぶ。

 例えば物理分野で最も分かりやすく説明するなら水と氷だ。ただ・・・水に浮かんだ氷は解ける。これは氷に対して周囲から熱が供給され続けるためだ。つまりコップに入れられた氷は動的平衡状態を説明する例としては・・・少しばかり不適切だ。

 動的平衡状態を生み出すための状況を準備しよう。水槽を準備しその中の左端に冷却された不凍液が流れる管を設置しよう。当然不凍液の温度は氷点下だ。そして水槽の中に水を満たす。そうすると冷却管に近い場所では氷が形成されることだろう。しかし冷却能力は高すぎるということはないためあくまでも氷は冷却管の周りにしかできておらず水槽の右の方は水で満ちている状態となっている・・・という状況を想像していてほしい。

 この場合「周囲から供給される熱」と「不凍液が奪っていく熱」の割合が水の状態を左右する。管の近くでは不凍液が熱を奪うことにより冷却されるので水は氷へと変化する。逆に管から遠いところならどうだろう?供給される熱が多い場所であればその場所は奪われる以上の熱を受け取り水の状態を保てる。そして今回注目したい動的平衡状態とは水と氷の境目の出来事なのだ。その氷と水の境目では氷に触れて熱を奪われた水が氷へと変わる。しかしその一方で熱を受けた氷が水へと変わる。これを絶えず繰り返し一進一退の状況が作り出される。外から見ると氷と水の境目が存在するだけにしか見えないが、ミクロレベルで観察するとそのようなことが起こっている。そしてこの境目をさして「動的平衡状態にある」と呼ぶ。

 さて、この動的平衡状態が起こる場所ははもちろん状況によって変わる。例えば冷却管が大きくなり冷却能力が高まるとより氷の範囲が広くなる。逆に水の中に電熱器具を設置し熱を加えてやれば水の範囲が広くなる。

 さて、この氷と水の範囲を・・・国と国の国境についても同様にとらえることは暴論だろうか?国境は山や川・海という自然によって隔たれることが多い。(これは自然的国境と呼ばれるている。近代においては人の都合で勝手に引いた人為的国境も存在する)自然的要因による国境というのはそれぞれの国がその地理的要因を越えて影響を及ぼしにくくなるためだ。これを先ほどの熱力学的に考えるならこれらは断熱材の様な働きをしているのだろう。

 それでは国境が動くとはどういうことだろう。先ほどの熱力学的な例において影響力は、氷側は冷却管の能力であり、水側は熱の供給能力だった。では国と国では?・・・それはおそらく国力と呼ばれる何かだろう。

 国力の定義は国によって変わるため一様に定義することはできない。ただ、わかりやすいので今回は「総合国力」という指標について解説しよう。この「総合国力」で各国のバランスを測っている国はかつて世界の中心であった国だ。というのも四大文明の発祥地の1つを抱えていて、古くは本当に文化文明の最先端の国であった。しかしこの国のある地域は元々多くの民族が集まる地域であった。このためその地域の歴史を見ると、その地を治める民族がたびたび入れ変わり、変わる度に古い王朝の作り上げた文化が破壊されていった。さて、そんな数多の戦乱を経験したその国は相手を測るという事を大切にする様になった。そして生み出されたのが「総合国力」という指標だ。

 総合国力を構成する要素は大きく2つに分けられる。1つは「ハードパワー」。もう1つは「ソフトパワー」と呼ばれる。ハードパワーは簡単だ、軍事力のこと。そして問題となるのがソフトパワーだ。こちらは構成要素が多い。「経済力」「政治の安定度」「労働力の熟練度」「その国にある天然資源の量と種類」「教育の質」「科学力」「技術力」「科学・技術の革新度」「外交力」「同盟の質・強度」などなど。

 この総合国力の評価項目は普通の様に思われるかもしれない。だが、大事なのはハードパワーとソフトパワーが同程度の重さで評価されるということだ。つまり仮にあなたが世界最強の軍事力を持ってもこの評価方式では50点しかもらえない。そして逆に軍事力は低くともソフトパワーが高いならそれは攻めるに難い相手だと評価されることになる。


 さて今回の件にその総合国力と動的平衡の問題を当てはめてみる。他国では技術的な発展・・・つまりソフトパワーにおいて総合国力が上昇したのだ。しかし、この国・・・というかルブアではそんなことは起こっていない。つまりこの国の総合国力に変化は見られなかった。そして現在の国境線が二国間の国力の動的平衡が起こる場所にあると考えるなら・・・国境線は動いてしまうはずだ。そしてその国境線がルブアを越えて大きく後退してしまったなら・・・戦争でもってこの土地は奪われてしまうと考えられるのではないだろうか。


「あぁ。他国では技術革新がありその力を伸ばしているのに・・・この街ではそれがない。まぁ、元々商人が水の補給に訪れる土地だったわけだから技術力もくそもないんだがなぁ・・・」

「はは。大変だな」

「そうなんだよなぁ・・・ここ、昔はよく戦場になってたって知ってるか?」

「いや?」

「ここ10年ぐらいか?戦争は起こってないんだが、ルブアが出来たのが50年前。およそ40年間の間に数回戦争が起こってんだ。それがここ10年何も起きてない」

「・・・あぁ、いわゆる嵐の前の静けさってことか?」

「・・・じゃなきゃ良いんだけどな。で、戦争が起こらないってんで、この領への防衛費が減額されそうなんだよな」

「?・・・防衛費?どこがだすんだ?」

「ルブア領はアラク王国の1領なんだ。だから国防費としてルブアには毎年ある程度の援助金が国から支払われているんだよ」

「あー。へー・・・。ってそれ、まずいのか?」

「はぁ・・・おそらく剣と槍で戦ってた昔ながらの戦場なら問題ないだろうな。でも、最近流通し始めた銃を使った戦場になったなら・・・。まずいな。というか絶対そうなるだろうから完全にまずいんだよ」

「銃は金食い虫なのか?」

「あぁ。剣や槍と比べてその製造が複雑なんだ。だから一つ当たりの単価がとても高い。銃一丁で剣が4本は買えるぜ。しかも銃は運用するのに弾が必要だ。運用費を比べても、剣ならば整備費用ぐらいだったんだが・・・銃は銃の整備費用だけじゃなく、弾と火薬を消費し続けるおかげで運用費も割高なんだよ」

「ははぁ・・・今の税収は剣と槍で戦う時代を想定したものだから、銃を運用するには足りないんだ?」

「・・・まぁ、ぶっちゃけるとそうだろうな・・・。領政までは詳しく知らないが、銃が配備されたのが城壁の警備兵のみっていうのもあって、多分金が回らないんだとおもうぜ」


 アディが顔を近づけて小さな声で話した。


「実は俺も趣味で一丁買って試してみたんだが・・・まぁ、維持費がやばかった。あれは全員に配備するには高価すぎるな」

「お前・・・そんな金よくあったな・・・」

「あぁ。まぁ、独身貴族だもんでね・・・」


 とここでジュナイドが料理を運んできた。


「ほい。お待ち」

「お、サンキュー!」

「しかしアディよぉ。何話してたか知らんが独身貴族って聞こえたぞ?そろそろ良い相手位探せよ」

「う・・・うるせぇ!」

「はっはっは」


 ジュナイドは笑いながらカウンターの奥に戻っていった。顔を赤くしたアディがどこか気まずそうにイシダに向き直り話す。


「あー・・・実はな。その件もあって実はお前に話しかけたんだ」


(その件?・・・さっきまでの話だと・・・銃か?)


「?銃の件で話があるのか?」

「ちげーよ!そっちじゃなくて・・・その・・・いい人を探せって話」

「あ?」


(え?・・・まさか湯川さんの予測大的中?!)


 先ほどよりさらに顔が赤くなる。目は周囲へせわしなく動き回り石田を正面から捕らえられないでいる。


「え~とな・・・お前の連れによ・・・その狐耳を生やした一団がいただろ?」

「あ・・・あぁ」

「その中で赤ちゃんを抱えた女性がいただろ?・・・その・・・なんだ?・・・気になっててな」

「・・・おいっ!赤ちゃんがいる時点で人妻だってわかるだろっ!?」

「う・・・そ・・・それはそうなんだけどよ!でも・・・気になっちまったんだからしょうがないだろっ!」

「はぁ・・・まぁ、今回に限っては彼女は人妻じゃなくて未亡人だけどな」

「っ!!それは本当かっ!?」


 ガタンと音を立ててアディは立ち上がった。その衝撃で先ほど運ばれてきたスープが少し皿からこぼれる。


「落ち着け。だけどな、いろいろ問題もあるぞ?」

「聞こう」

「いや、まだ聞かせられん」

「・・・なんでだ?」


 アディはキョトンとした顔をする。


「アディ、多分この後の話の流れとして、彼女を紹介してくれ・・・的な話になるんだと思う」

「あ・・・あぁ。そうだな。紹介してくれると嬉しい」

「・・・そうなると、俺はアディの事を紹介できるほど信用できてないんだ」

「・・・?ん?」

「逆に聞くが、初対面・・・というか初めて会ったその日に、若干の軍事情報を交えつつ話をするような奴は・・・な。端的に言ってその目的がわからない」

「あぁ・・・」

「まぁ、その目的の1つが彼女なのはわかっているが・・・それだけか?」

「・・・鋭いな。そうだ、それだけが目的じゃない。そして腹を割って話をするために、酒を飲もうと誘ったんだ」

「そうか。じゃあ、紹介するしないはここからの話次第ってことだな」

「経済力」や、「政治的な安定性」って国力として評価されているんですね。

自分がこれを知ったのは一時話題になった

「米中もし戦わば」という本を読んでからです。

学のない自分はすべてを理解できたわけじゃないですけど、

この評価項目があるってことだけは理解し、同時に驚きました。

まぁ、言われてみれば日露も日本側が諜報活動で

政治体制にゆさぶりをかけたため勝てたとかいう話がありますしね。

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