表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/56

第36話:雨にも負けず、風邪なんかにも負けるわけがなく

 せっせせっせとお粥を作るクロウです。

 適当に塩を入れて味を整える。

 ちょっと味見。……うん、こんなものかな。

 出来上がったお粥を器に盛って、布団にくるまりながらウンウン唸っているモモグリさんの所まで持っていきます。

「モモグリさん、お粥作ったよ」

「ん……どうも」

 それだけ言うと、体を起こしてお粥を食べ始めた。

 なんとなくわかるだろうけど、モモグリさんは風邪を引きました。

 馬鹿は風邪を引かないというのは嘘なんだね。

「あ、手がすべったー」

「熱いッ!」

 モモグリさんは熱々のお粥がくっ付いたさじを投げつけてきました。明らかに台詞が棒読みだったので、わざとです。というか、投げつけるという行為をした時点でわざとだというのがわかります。

「今、馬鹿は風邪を引かないんじゃないの? みたいな失礼なこと考えてたでしょ」

 こういうことに関してはやたらと鋭いモモグリさん。エスパーなんじゃないかとたまに思う。

「それにしてもこのお粥、味はまあまあとしても玉子が入っていないのは非常にいただけないわね。八十点」

 玉子が入っていないだけでも一応高得点なんだ。

「言っておくけど、千点満点で八十点よ」

 満点の値が大きすぎる。百点満点に直したら、たったの八点になるし。玉子評価は意外とデカかった。

 散々ボクのお粥を批判しておいて、結局全部たいらげてました。残さず食べてくれて嬉しいです。

「クロウ君、デザートが食べたいな」

 病人のくせに食欲旺盛です。まあ、何も食べないよりかはマシだと思うけど。

 とりあえず冷蔵庫に入っていたアイスクリームを出しました。百円で買った、抹茶味のアイスです。

「却下」

 却下されました。

「アイスはハーゲンダッツじゃないと認めない」

 この人贅沢です。

 やれやれとため息をつきながら、何か別のものを探します。

 プリンがありました。これなら喉にもスッと通るし、風邪引きさんにはちょうどいいんじゃないかな。

「却下」

 またか。

「牛乳プリンじゃないと認めない」

 ちょっとカチンときたので、冷蔵庫から牛乳を持ってプリンにかけてやりました。

 グーで殴られました。

 モモグリさんは今日も元気です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ