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アナザー・フロンティア・オンライン ~生産系スキルを極めたらチートなNPCを雇えるようになりました~  作者: ぺんぎん
第二十章

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最強の助っ人

 

「今日、魔王城を奪うぞ」


「え? まだ十日もあるけど大丈夫?」


 仮拠点であるアズマの宿でリックが魔王城を奪うと宣言した。ただ、まだイベントが残り十日もあることにパルフェは懸念を抱く。


 誰も魔王にならなければパルフェの勝ちとはいえ、引き分けみたいな勝ち方では相手も文句を言ってくる可能性がある。文句をつけられない勝ちをするためには魔王城を支配し、パルフェが魔王の称号を得ることが必須という認識だ。


 それを前倒しで魔王城を奪うというのだからパルフェもかなり驚いた。常に味方が揃う状況ではないので十日も戦力を維持できるかという心配もある。


「ギリギリだと何かあったときに厳しい。今日なら戦力的にも十分だし、余裕を持って占拠できる」


「確かに重要な日に全員が確実に揃うわけじゃないからね。なら、やっちゃおうか」


 パルフェの一声で多くのことが決まり、手を貸してくれる皆に連絡が送られた。


 パルフェとしてもノースとはそろそろケリをつけたいとは思っていた。ここ最近もAFO内でノースから音声チャットが届いていたのでうんざりしていたのだ。


 簡単に言えば、魔王城はこっちが支配したので諦めろ、と言う内容だ。財団の人間は英才教育を受けているはずなのになぁとパルフェは呆れている。


 ノースが魔王城を支配してから数日経つが、すでに戦力は崩壊気味になっている。そもそもノースに味方するクランの士気が低く、やる気がない。さらにはノースはすでに次期当主候補を外されているという噂も広がっていて、味方するメリットがないとも言われていた。その噂をリックが流した可能性があるが。


 とにかく、ノースをゲーム内でのかかわりをまったくなくすブラックリストに入れても良かったのだが、万が一、何かあった時のために現時点では何もしていないのだが、過去最大にストレスが溜まっていた。


 そんなストレスを解消するためにもボコボコにしないと気が済まないくらいまでになっている。また、イベントが終わったら永遠に関わらないで欲しいと思うほどで、絶対にブラックリストには入れるとパルフェは心に誓っていた。


「それでどんな感じになるのかな? 私が突撃するわけじゃないんだよね?」


「それはしなくていい。まず、魔王城の東西、そして南の三か所をテイマー軍団が同時に襲う」


「外での戦いはやっぱりその三つだよね」


 クラン「猫は神」「クリテイシャス」「ハイウェイスター」はそれぞれがモンスターをペットとして共に戦うテイマー軍団。機動力がモノをいう広い場所ほど強さを発揮するので魔王城へ侵入するための道を開いてもらう形になる。


「その後、中庭での戦いは『ナイツ・オブ・スイーツ』と『バンディット』に任せる。そこそこ広い場所での集団戦はこの二つが最強だからな」


 甘い物をこよなく愛する「ナイツ・オブ・スイーツ」と、大手クランの中でも最大の規模を誇る「バンディット」。所属メンバーが全員参加するのは無理と言うほどの規模ではあるが、それでも他の追従を許さないほどの参加人数を誇るので、その二つで中庭を制圧する。


「当然、城の中にも二つのクランは入ってもらう。一階エントランスと左右の大広間も突破してもらえたら最高だな」


「なんか私達がいなくても勝てそうな気がするんだけど」


「実際勝てるぞ。だが、時間を掛ければ、という条件がある。領地を奪うチャンスは日に三回あるが、どれも一時間しかない。なので素早い攻略が必要だ。一気に玉座の間までの道を切り開いてもらうためにも用意できる戦力を効率的に配置して速攻で落とす」


「ああ、そういうことか。なら私も速攻で相手を片付けないと駄目なわけだ」


「その通り。そして相手もそれは分かっているはずだから時間切れを狙うかもしれないな。まあ、そんなことをさせないためにロアナさんに潜入、破壊工作をしてもらう予定だが」


 クラン「レイブン」のロアナは相手クラン「イージス」のアイテム保管庫を襲撃し、回復アイテムや料理、その他の消費アイテムなどを破壊することができる。リックはすでに依頼したとのことだった。


「なにからなにまで準備済みで申し訳なくなるよ」


「俺には気にするな。他の人達には感謝をしてくれ」


「うん、そうだね」


「だが、パルフェが楽ってわけじゃないぞ。魔王城の二階、三階まで突破できるのは数人だろう。玉座の間に辿り着くのは数人だ。そこで負けたらアウトだと思え」


「そこは任せて。正直、ルナリアさんとイヴァンさん、それにベニー師匠やシモン先生を相手にしていると、皆が弱く見えてきたから……!」


「期待してる。後は予想外の援軍とかがなければいいのだが……一応それも対策はしているが、いざとなったら今回は諦めることも視野に入れてくれ。今回勝てなくても相手を消耗させるだけで今後が有利になるからな」


「そこは全部リック君にお任せするよ。全体を見て指示を出して」


「分かった。それじゃあと一時間もすれば戦闘開始だ。魔王城付近へ移動しよう」


 パルフェを含むクラン「モンブラン」の全員が首を縦に振った。




 三十分後、魔王城周辺に今回の作戦に参加するクランが全部集まっていた。


「よぉし! なら私たちは東門ね! 猫の力を見せてやる!」


「なら私達は南門を攻めよう。恐竜とは正々堂々戦うべきものだからな!」


「んじゃ、うちらは西門だね。ぶっ倒す――じゃなくてひゃっはー……でもないな。ええと、お倒しあそばせ……?」


 各クランのリーダーであるオリオン、ディーガー、ラーディアの三人がそれぞれの持ち場を決めると、パルフェに任せろという意思表示をしてから移動していった。


「それじゃ私は猫は神の後に東門の方へ突撃しようかな。猫ちゃんを愛でながら甘い物を食べるってなんて贅沢……!」


「ならこっちは西門と南門の両方にするよ。人数が多すぎるから一つの門じゃ渋滞しちまうからね」


 中庭、そして魔王城中庭で暴れる予定のクランリーダーであるバルバラとイングリッドもそれぞれの持ち場へと向かって行った。


「どの人の背中も頼もしいねぇ」


「我が友よ! これは負けられんぞ! お膳立てしてもらって負けたなんて言ったら末代までの恥! 奈落へ突き落されても文句は言えん!」


「その通りだ、パルフェ。もはや圧勝以外に道はない。それ以外は勝ってもメイドとして許せん」


「二人ともノリノリというか熱いね。でも、ハードルを上げないで」


 負けるつもりはさらさらないが圧勝と言うのはちょっと難しい。一対一なら間違いなく勝てるとは思っているパルフェだが、団体戦ではどうなるか分からないと言うのもある。


 それにかなり準備はしてきたが、予想通りにいかないのが戦いというもの。十中八九勝てるとはいっても、一か二は負けるなら油断はできない。


「パルフェ君」


「あ、ディーテお姉ちゃん」


「とうとう魔王城を奪うんだね」


「急遽決まった感じだけど」


「なるほど、リック君も色々苦労しているようだ」


 それはその通りだが、ディーテがしみじみと言ったことにパルフェは疑問に思う。その疑問に気付いたのかディーテはパルフェに微笑んだ。


「今回はハヤト君たちの伝手は呼んでいないだろう?」


「そう言えばそうだけど、それがどうかした?」


「今回呼ばなかったのは手の内を見せないためだろうね。偵察されているんだよ。タウロスのオズ君に」


「え? そうなの?」


「だから戦力のすべてを見せないように戦力を勝てるギリギリまで減らしているのだろうね。急遽決まったのもタウロスを欺くためだ。リック君は最初からキャンサー側を敵として見ていないよ。気にしているのは防衛のほうだけだね。キャンサーを倒しつつタウロスも牽制、それだけリック君は苦労しているってことだよ」


 パルフェはアベルと話しているリックの方を見る。何やら他のメンバーにそれぞれ作戦などを伝えているようであった。


「他にも色々と準備はしてあるようだから、今日は負けるということはないだろう」


「皆がハードルを上げてくるなぁ」


「パルフェ君ができると信じているからこそだよ――さあ、時間だ」


「領地争奪戦が開始されます。拠点所有者は防衛にあたってください。繰り返します――」


 ディーテの言葉のすぐ後にワールドアナウンスによる案内がされた。


 よしやるか、と持っているベルゼーブを強く握りしめて気合を入れるパルフェ。


 だが、魔王城の上空を見て、訝し気な顔になる。


「なるほど、相手も色々やってくるじゃないか」


「あれって飛行船?」


「そのようだ。どうやら向こうも色々と情報を集めているようだね。それとも偶然かな」


 魔王城の上空に現れた三艘の飛行船。それが魔王城の城壁にある三つの門の上空に陣取り、そこからこちらの戦力に対して大砲を撃ち込んできた。


 地上に落ちてくる大砲の弾が直撃するような味方はいないようだが、行動の制限にはなっている。さらに慌てているテイマー軍団へ相手側が攻撃を開始したので混乱気味であった。


「リ、リック君! あれ大丈夫!? 大丈夫なの!?」


「落ち着け。あれくらい想定内だ。すぐに立て直してくれるから安心して見てろ」


「そ、そっか。でも、あれはどうするの?」


「猫は神とクリテイシャスは飛行系のペットがいるから何とかなる。問題はハイウェイスターだが、あっちには助っ人を呼んでおいた。この日の十分くらいなら大丈夫らしいからな」


「え? 助っ人? 誰?」


「……すぐにわかる。最強の助っ人だが、時間制限が厳しくてな。実は飛行船が来るのが分かっていたから助っ人が来られる今日にしたというのもある」


 パルフェは西門の方を見る。


 ラーディア率いるハイウェイスターは一部飛行するペットがいるが、その数は少なく、基本は高速移動系のペットのみで空を飛ぶ飛行船相手に勝てるほどの戦力はない。


 なら、誰を助っ人に呼んだのかと思っていると、西門の方から歓声が上がった。


 そして少し離れた地上から飛行船に向かって十個大小の魔法陣が並ぶ。


「え? あれって……」


 パルフェがそう言った直後、地上から巨大なレーザーのような攻撃が轟音と共に魔法陣を貫いて上空の飛行船にぶち当たった。


「ちょ――」


 レーザーは飛行船の船底に穴を開ける。その後、飛行船は煙を上げながら高度を落とし、フラフラと動き回る。


 パルフェはそれをしばらく見ていたが、攻撃を受けた飛行船は南門上空の飛行船へ体当たりをしていた。


 ハイウェイスターのメンバーは大盛り上がりで、クリテイシャスのメンバーもかなり盛り上がっている。それとは別でパルフェはなんとなく嫌な予感がする。


「あれって……」


「どうやら操縦不能になっているようだね。木工スキルがカンストしているメンバーがいないから修理できないんだろう。まだまだ甘いね」


「そうじゃなくて、あの攻撃って――」


「ああ、デストロイだね。単発攻撃だったらAFO内でも最強の攻撃だよ。飛行船一艘くらいなら余裕かな。しかも今回はもう一艘を巻き込むように計算して穴を開けたね。やるものだ」


「それでもなくて、デストロイを使えるのって……」


「エシャ君だね」


「お母さんじゃん! なんでいんの!?」


「母の愛、かな?」


 ディーテの回答にやや呆れつつ、リックが言っていた最強の助っ人ってお母さんじゃないかとパルフェは微妙な気持ちになりながら、墜落していく二艘の飛行船を眺めるのだった。


次回更新は11/8(日)になります。一週お休みを頂きますが、引き続きよろしくお願いします。


また、TOブックス様の公式漫画サイトでAFOのコミカライズ版一巻、二巻が無料で楽しめます。期間限定ですので、ぜひこの機会に読んでみてください。


別作品で恐縮ですが、コミカライズ版「スローライフ・オブ・ザ・デッド」の最終話が投稿されました。こちらも良かったら読んでみてください。

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― 新着の感想 ―
開幕デストロイw 女神降臨w
その10分の助っ人業務の為にどれだけのスイーツが積み上げられたのか……。 ディーテちゃんも言ってるけど、オズさんや古参世代からすると「デストロイ対策もせずに飛空船を戦場に投入するとか、にわかめ……」…
エシャさんのデストロイを見れて思わず感動の涙が…
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