第二三話 【いざ、】
アテナ 一体、いつぶりだ?
秀 しらね。
「翼、お前はもう帰れ。これから、ちょいと……暴れてくるからよ」
学校の放課後、クラスから出た俺はついてきそうな勢いの翼を宥めていた。
「ふん。さっさと終わらせてこい」
「ああ。アリアと一緒に帰ればどうだ? 退屈はしねぇだろ?」
「なぜ面白そうだという顔をする? あんな金箔女と帰れるか。無駄に目立って仕方無い」
「金色なのは髪だけだぞ……一応。まあ、お前等なら、目立つだろうな。可愛い顔してるし」
「馬鹿者! 無駄口を叩いてないで早くいけ!」
照れ隠しのつもりだろう。背中を蹴られた。いや、ただの暴力か。
言われなくてもいくっつの。
「はあ……イテぇな。背中」
背中をさすって教室を出ると、階段付近の窓からの声で呼び止められる。
「おい、筆無。この私もついていくぞ。なんとなくだが、嫌な予感がするのだ」
「急に窓から現れるな。てか、さっきまで教室にいた奴がなんで瞬間移動してんだよ」
「私は神だ。瞬間移動など造作もない」
「ドヤ顔なとこ悪いが、お前、神としての力はいつでも使えんのか?」
「いつでも、か……使えないこともないが、あまり無駄な使い方はしたくない。そもそも、自由に使えるのなら、貴様になど頼っておらん」
「無駄な使い方、今まさにやっちまったな。瞬間移動に」
「アテナイに触れても権限が完全には戻らなかった。多少、強まりはしたが、神に戻れる程ではない」
「おい、無視か?」
「そして、ここからが、重要な話だ。聞け」
「ちっ……一人で勝手に話を進めやがって。ンだよ?」
「昨日……近くで、神の権限を感じた。恐らくだが、貴様に脅威として降りかかるだろう」
「あ? 辻褄が合ってないように聞こえるんだが?」
「私が貴様という人間に接触している以上、他の神が地界に降臨し、人間を利用する可能性がある」
「は、なんで、わざわざ、神が人間を使う? お前みたいなアホが神様には何人もいるのか?」
「私の権限が薄まっており、人間との判別が確実には出来ない。それに、私がこの近くに降りたことも知られていることだろう。近辺の人間で、神の権限を持っている者。今それが、ここに二人いる」
「つまり、俺がいるせいで、お前はお迎えに見つかりにくいわけだ。まあ、自業自得なわけだがな。この場合」
「そうだ。コンタクトを取る為には、貴様の隣に居て、神の存在を強めること。同時に向こうへの合図にもなる」
「結局、利用されんのかよ……俺は。胸糞悪い……ん? お前は見つかりたいのか、見つかりたくないのかどっちだ?」
「私は無断でこの地界に来ている。見つかれば、咎められもしよう。よって、追っ手は排除し、素知らぬ顔で天界に帰れば、処罰を下すものもおるまい。私が自分で天界に戻ったように見えるからな。刑罰も軽くなる」
「うわ……なかったことにするつもりかよ。神様ともあろうお方が、罰を怖がるなんてな。情けねぇ」
「黙れ。今の貴様は、人手がいるのだろう。それに私も人間とは言え、他者の友情を壊したことは責任を感じている。貴様の力になることで、その責任を取ろう」
「余計なお世話だ。てか、邪魔」
「ふん、愚かな。神の遣いに遭遇すれば、貴様もただではすまん。何せ、人間如きが神の権限を持つなど御法度だ」
「その責任もあるから、怖いわけか。愚かはどっちだよ。笑える」
「鼻で笑うな無礼者!」
「ま、ついてきたけりゃ来いよ。ただし、護ってはやんねぇ」
「無用だ。私を誰だと思っている? 女神――――」
「アホナ、だろ?」
「アテナだ‼」
イジワルな笑いをこぼしながら、小さい女神を連れて俺は果たし状の場所に向かった。
アテナ ……なにもいわないでおこう
秀 そうしとけ




