遅刻はさておき、合コンスタート!
駅前で待ち合わせて、一人は遅れてくるということなので、七人で駅前の居酒屋に入る。
さて、三ヶ月ぶりの合コンは楽しめるかな?
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ごくまれに幼馴染のお兄ちゃんの夢を見るらしい。
由香里
22歳 エステティシャン
千代の同期。美人で計算高い。
陽菜
22歳 エステティシャン
千代の同期。おっとりしていて皆に優しい。
知佳
22歳 エステティシャン
千代達の専門学生の友達。大阪に引っ越している。
男性陣三名
女性陣四人と男性陣三人で、地下に降りていく小洒落たイタリアンの居酒屋にぞろぞろと入っていく。
先頭はチカと男友達のエイトくんと、エイトくんの同級生達。そのあとに私達が続いて入る。
「わっ、凄いやんか! なんか薄暗くて雰囲気ある居酒屋さんやん。チィよくこんな店見つけたな〜」
「ふっふっふ、凄いやろ〜! 実はたまたま見つけただけやで」
エイトくんの言葉に、チカが気安い関西弁で返す。そうなのだ、割と女子は標準語で喋ることが多いんだよね。あとは話す人によっても違ったりするのかな。私も家では普通に関西弁な気がする。
店内はエイトくんの言うように、全体的に薄暗く所々に間接照明が照らしている。オープンなテーブル席はなくて、入り口のレジを抜けると狭い通路の両側に、たぶんそれぞれ個室になってるんだろうなという仕切りとスライドドアが順番に並んでいて、私達は奥の方の広めの個室に案内された。
エイトくんの友達は、たまにチラチラと私達の方を見てくるんだけど、話しかけてくることはない感じ。緊張してるのか、それとも二人が仲良しなだけなのか。
席に着いて、それぞれ飲み物を頼む。あとは食べ物はコースだから順番に持ってきてくれるみたい。
「はい、みんなおつかれさまー。飲み物すぐ来ると思うけど、とりあえず自己紹介していこうかな。私は知佳です。大阪のエステサロンで働いてる。エイトとは幼馴染と言うか、腐れ縁みたいな感じかな。はい、じゃあエイトから順番にどうぞ〜」
チカは仕切るのも慣れてる〜! すごっ。男女は向かい合わせに座っていて、一番奥に座っていたエイトくんが立ち上がって紹介する。
「どうも〜、瑛人です。聞いてるかもやけど25歳で不動産会社で働いてる。今遅れとるヤツと高校の時と、社会人なってからちょこっとバンドをしてたで、俺がドラムな。はい次アツシやで」
あ、やっぱエイトくんがバンドマンだったんだ。あとの二人ではないなと思っていた。
「こんばんは、篤史と言います。エイトとは高校の時の同級生で、今は家電メーカーの開発の仕事をしてるで〜、みんなが使ってる電化製品とかの開発やね、ほいリュウジお前やで」
アツシくんが、家電メーカー勤務の人だったのか。普通の人って言ったけども、なんだか開発って聞くと凄く賢く見えてきた。私って単純……
「どうも、竜次です。アツシと一緒で高校の時の同級生で、俺は今はシステムエンジニアをしてます。会社のホームページとか、デジタルのシステムとかを作る仕事です。めちゃくちゃ日陰な仕事やけど」
一番大きいこの人がリュウジくん。名前と見た目が合わなかったけども、パソコンとか出来るのって、やっぱ賢いのかな。
「はいはい、次は女性陣だよ〜。奥からどうぞ〜」
あ、私だ。
「あっ、は、はい! 千代です。チカとは美容専門学校で同期で22歳です。今はこの奈良県の橿原市っていうとこのエステサロンで働いてます」
さっき、チカからも聞いたはずだけど、男性陣からおぉ〜! と小さく声がした。みんな結構いい人達なのかも。私の横はヒナが座っている。
「陽菜です。チヨとユカリと同じ橿原市のエステサロンで働いてます。いつもおっとりしてるって言われます」
アツシくんとリュウジくんが、遠慮なくヒナの大きめの胸を見ている。初対面でいきなりガン見はダメでしょうよ。おぉ〜! じゃねぇよ。
「由香里って言います。みんなと同じエステティシャンだよ〜ん。テクニック凄いよ〜」
絶対普段言わないようなセリフをユカリが言う。ユカリって美人なのに、そういうおちゃらけた事も言えるからめちゃくちゃモテるんだよね〜! ギャップというのか……男子も、おぉ〜! てテンション上がるんじゃないの! そもそも私達の働いてるサロンは女性専用だし!
ちょうどみんなが自己紹介終わった時に飲み物が運ばれた。もしかしたらお店の人が待っててくれたのかな? そうだとしたら凄く気遣いできる店員さんだ。乾杯はチカが音頭をとる。
「ではでは、本日、お会い出来たことにぃ……かんぱぁ〜い!!」
「「「かんぱーい!!」」」
みんな生ビールである。やっぱ初めは生ビールだよね。お料理も内容はチカが入った時に確認してくれてたけど、特に辛いものはないらしくて、初めの生野菜のスティックみたいなのに付けるソースに辛いソースがあったくらいだった。
特別めちゃくちゃ美味しい! という料理はなかったものの、初めの前菜も、鯛のカルパッチョも、お店で生地から作っているらしいピザも、メインの魚介パスタと生ハムとチーズの盛り合わせも美味しかった。
後で遅れてくる人の用でお皿を貰ってそれぞれの料理を少しずつ取り分けておいてあげた。
エイトくんがシュッとしたイケメンで爽やかさんなのはもちろん良かったし、アツシくんとリュウジくんも初めの第一印象より全然良くて、みんな面白いし、楽しくていい人だった。
飲み会が始まって一時間くらい経った頃かな。エイトくんに電話がかかってきた。
「おつかれ〜、もう向かってるん? うん、そうなんや、あ、女の子たちの声スピーカーで聞いとく? せっかくやから」
エイトくんが携帯の会話をスピーカー通話にした。テレビ電話ではないから顔は見えない。
「みんな楽しんでるよ〜! 早くおいでね〜!」
ユカリが声をかける。
『めちゃくちゃお腹減ってるんやけど……俺のご飯残ってる〜??』
みんなで大爆笑である。ご飯の心配かよ〜。
『え、え。なんでみんな笑ってるん? なんかめちゃくちゃ盛り上がってて楽しそうやな〜』
面白い人なのかも。それか天然なのか。エイトくんは返事も返さず電話を切った。
なんとなく……聞いたことのある声、ていうか、喋り方な気がした。
お店の雰囲気も良く、
エイトくんをはじめ、他の男の子達も楽しくていい人だった。
遅れている一人もようやく向かっているようだが……




