表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

14話 封印されし者

 キリュウはステラをかついだまま、ズンズン若の呼び出した謎の召喚精霊ゴクモンに向かってゆく。

 俺はワケがわからずも、ステラが心配でその後をついてゆく。

 されどキリュウは突然ピタリと立ち止まった。


 「フフフ坊、ずいぶん嬉しそうやなぁ」


 キリュウは突然若に話しかけた。

 若は思わず口元を手で隠す。

 あれ? それって何かたくらんでいるサインじゃ?


 「『ワシを上手くハメてオトした』ズバリそう思うているやろ?」


 「なななな、なんのことだ? ハメたとは何のことを言っているんだ? 僕にはさっぱり………」


 本当にこんなごまかし方する奴がいるんだ。

 腹に一物あるのがバレバレです。


 「封印精霊ゴクモン。ふれた者を強制的に強力な封印結界で閉じ込める。それやろ?」


 「なななななななななっ! バカな、どうしてそれを!!!?」


 「そりゃあ、ついさっきこれで閉じ込められたばっかりやからなぁ。まったく、チェコにしてやられたわ」


 「あ、ああ………そうか、おじい様がお前を封印した手段が……」


 「そや、コイツや。悪いなぁ、知ってて坊の得意そうな(ツラ)楽しんだわ」


 「う………うわあああっ!!!」


 「ギャハハハハハハハッその絶望ヅラも面白い。チェコも良い孫持ったわ」


 なんてこった。若の切り札は先代残したものだったんだ。

 それを秘伝の切り札として子孫に送っても、同じ相手には当然バレバレだよな。

 

 「アーハハハ、キリュウ相手にやけに自信があるから何かと思ったら」

 「プークスクス、領主の若さまが、とんださらし者ウサねぇ」


 マリンたちまで笑ってやがる。

 こういう時、女の笑い声ってキクんだよな。やめろよ。

 ほら、若が屈辱でプルプルふるえて…………


 「だまらっしゃい!!!」


 ああっ! 若が泣き散らかしてキレた!


 「タネが割れているがどうした! このゴクモンの封印能力が最強なのは変わりない! そうだろ、ルバルさんよォ!!」


 「ええ? なんで俺にふる? いや、知りませんけど」


 「へっへっへ、ちょうど前後に挟み撃ちの形になってるんだ。やっちまおうぜ。このゴクモンにキリュウをふれさせれば勝ちなんだからよォ」


 もう人格(キャラ)もブッ壊れている。

 こんなヤケクソに、普通ならつき合うなんてしないんだが。

 ステラが捕まっているしなぁ………


 「しかたない。やるか」


 俺が剣を抜いても、キリュウはこちらを振り向きもしない。

 だけどその背中には、さっきからまったく隙が見えない。

 それでも背後から隙をうかがえば、狩り仕事の心持ちになる。

 若が正面から牽制してくれれば、十分狩れるタイミングだ。


 「フッ、背後からいい殺気がくるわ。けどなぁ、コイツを片づけるのは難しくないで」


 「なに?」


 「たしかにこのゴクモンの封印は強力やった。一度ハマってしまえば、ワシでも抜け出すことはできん。けどタネが割れてしまえば対処は簡単や」


 キリュウは担いでいたステラをヒョイと持ち上げた。

 まさか!?


 「わああっ? ちょっとキリュウさん、なにを?」


 「アイツは目標を定めたりはしない。ただ触れた奴を術にかけるだけや。なら、適当な奴をぶつけたればええのや」


 「それって、あたしィー!?」


 「糞がッ! なんてこと考えやがる!」


 ブゥゥン

 キリュウはゴクモンに向かってステラを放り投げた!


 「ちっくしょォォーーッ!!」


 俺はステラに向かってもう然とダッシュする。

 ゴクモンに当たる前にステラをつかめば、助けられるはずだ!


 「ステラああっ!」

 「兄ちゃあああああんっ!!」


 ステラが伸ばした手を俺が駆けつかもうとした瞬間………

 スカッ

 ステラが消えて、俺の手は空をきってつんのめった。


 「…………猫又」


 そこにはステラを抱えて立っている猫又がいた。

 あの神速でステラうを抱えて駆け抜けたらしい。


 「キリュウ。いくらあなたでも、ステラちゃんに危害を加えるなら許さないよ」


 「おやつ? まさかお前が誰かを助けるなんてなぁ。ワシがいない間に変わったもんや。ま、そうなると、誰か別の奴をアイツにぶつけなアカンのやが………」


 バキャアアッ


 「がはっ!!」


 キリュウは、こちらに目をやりながらも、ノールックで若の斬撃をかわして首根っこをつかみ取る。

 まいったな。剣聖の斬撃を見ないで迎撃とか、どれだけ達人だよ。


 「じゃあ、アイツを出した坊に責任もってもらうということで」


 「なにィ、キサマ!!」


 ブゥゥゥゥン

 キリュウは若を小石のようにゴクモンに向かって投げつけた。


 「はぁ、しょうがねぇな。やらかしてばっかりの若だけど、それでも」


 俺はゴクモンに向かって駆けだした。

 投げつけられた若とゴクモンの間に入り、若が接触するのを身を挺して守った。


 「やっぱ見捨てられねぇんだ。冒険者としちゃ致命的に甘いとしてもな」


 若を突き飛ばした反動で、俺の方がゴクモンに触れてしまう。

 その瞬間、ゴクモンは深くて黒い穴となった。

 それは俺をものすごい力で飲み込んでゆく。

 抵抗する力すら奪われているのか、なす術がない。


 「兄ちゃん!!」


 「悪い、ステラ。本当にあとは頼んだ。――また逢おう」


 驚いたようなステラの顔を瞼に焼きつけて。


 俺はゴクモンの中に飲み込まれていった。



 そして――


 「兄ちゃん、どうして――」


 ステラは何度も問いかける。

 いなくなった兄へと。


 アクロイア聖碑のふもとへ撤退したマリン、おやつ、ウササ。そしてステラ。

 放心したままのステラを遠巻きに見ながら、これからのことを考える。


 「あんなステラちゃん、見てられないよ。マリ姉、ルバルくんを封印から解き放とう。できるよね? 一度やったんだし」


 「今すぐは無理なの。あのゴクモンって奴の封印、キリュウすら捕らえただけあって強力すぎるわ。五十年くらいたてば弱まって解呪できるんだけどね」


 「五十年………じゃあ、もうルバルくんをステラちゃんに会わせることは………」


 「アタシには無理だけど、出来そうな奴はいたでしょ。北方エルフの集落。そこの賢者エルフのララミィ」


 「ああ、あの人。キレイな人だったね。キレイすぎてボクはちょっと苦手だけど」


 「あー、またあそこへ行くウサ。ウサは寒いのが苦手ウサ。でも二人はステラちゃんのためにどうしても行くウサねぇ」


 「それだけじゃないけどね。元々そこはドルトラル帝国の一部だった場所なのよ。だから帝国を滅ぼした魔人王と、それを倒した剣王についても、ある程度情報を集めていると思うのよね」


 「結局キリュウの言う通り剣王の情報も集めるウサ?」


 「キリュウに対抗できる手札(カード)はあった方がいいでしょ。それにこの件がなくても、帝国を滅ぼしたほどの強力な魔人やそれを倒した剣王の事は、いつか知りたいと思っていたのよ。この機会に本格的に調べるわ」


 「居場所がわかったらボクが最初に戦ってみようかな。おっと、そろそろステラちゃんに元気になってもらわないと」


 おやつはステラの座っている場所に行き話しかけようとすると。


 「おやつ、あたし決めた」


 先に話しかけられた。


 「え? なにを」


 「兄ちゃんの妹はやめる。弟になる!」


 「えええ? なに言ってんの」


 「兄ちゃんの後をついて行くだけの妹ステラじゃ、兄ちゃんは助けられない。だから兄ちゃんの強さを受け継いだ弟になる!」


 うーん、違いがわからない。でも宣言してる顔が可愛いからいっか。

 マリ姉も気持ち悪い顔でうっとりしてるし。とにかく暖かく見守ろうとおやつは思った。


 「そうだ! オレは弱い妹のステラなんかじゃない。最高の冒険者ルバルの弟の【スバル】だ!」


 名前まで変えちゃった。いいのかなぁ。



 この作品はいったんここで切りたいと思います。続きは『エロゲ世界でハーレム無双? ふざけんなぁっ!』でやります。剣王のサクヤが主役です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
剣王サクヤの話に繋がるか。どうつながるか、お愉しみ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ