初仕事と街の空気
冒険者として登録を済ませた俺は、カウンターの前に立っていた。
受付嬢が書類を整えながら微笑む。
「改めまして、私はエリナと申します。今後、登録や依頼の案内は私が担当しますので、よろしくお願いしますね」
「エリナか。助かるよ」
◆
「では、早速ですが……遼様におすすめの依頼があります」
エリナが差し出したのは、掲示板から外した羊皮紙だった。
「〈街周辺の魔物駆除〉。ランクF向けの簡単な仕事です。対象は〈牙ウサギ〉。畑を荒らすので農家から依頼が来ています」
「牙ウサギ?」
耳の長い小動物のイラスト。可愛らしい見た目だが、口元には鋭い牙。
「本来なら薬草採取からお願いするのですが、サイラス様の推薦状がありますし……牙ウサギは危険度も低い魔物です。試しにはちょうど良いかと」
「……なるほど。わかった、それをやってみる」
羊皮紙を受け取った瞬間、視界にウィンドウが浮かぶ。
【依頼受諾】
・対象:牙ウサギの駆除(2体以上)
・報酬:銅貨15枚
・新機能:サイドバッグ収納(クイック枠+1)
「またサイドバッグかよ……どんどん旅仕様になっていくな」
苦笑すると、周囲の冒険者がちらちらと視線を送ってきた。
「外の鉄馬……あれが噂の収納持ちか?」
「ギルドに厄介事を持ち込むなよ……」
軽い敵意を含んだ声も混じる。
居心地は悪いが、もう覚悟はできている。




