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用水路の紳士
田んぼを割いて佇む用水路
その淵に紳士がいた
昨日見た空き缶がまだ浮かんでいそうな
流れを感じさせない浅い水は
いつも濁っていた気がする
それは
排水に汚染されていたのか
それとも
コンクリートと土の色なのか
興味は無かった
紳士はその淵にいて
そっと何かを水路へ投げ込む
麻袋に入った何か
紳士は整った身なりをして
胸を張って立っていた
さも当然のように
そこにいて
世末に輝く正義のようだった
遠くに小さく見えた農夫は
背中を曲げて雑草を刈る
近所のお兄さんだった
たぶん
お兄さんは一生
あの田んぼで稲を育てる
私はただ
紳士を見ていた
話しかけるわけでもなく
隠れることもせず
見とれていたのかもしれないし
目を逸らした先が
紳士だったのかもしれない
いつか
紳士は私に麻袋を差し出す
あなたもやって御覧なさいと
これは
ただ見ていた私への罰




