第114話
side シュテン
俺の中にある魔力がソージの血を飲んでから明確に変化してる。今までは小さく弱い焚き火のような炎の魔力だったが、今は煮え沸るマグマのように熱い焔の魔力になっている。
俺はそれを少しだけ掬い上げる。
魔力を掬い上げた瞬間、俺の身体から焔が吹き上がる。
「熱っ!」
どうやら俺の新しい魔力は以前の俺みたいに聞かん坊でわがままな奴みたいだな。
少し前までの俺を懐かしむように吹き上がる焔を宥めていく。
「落ち着けよ?お前も頭にきてんのは分かるが逸るな。ソージの腕を切り落としたことを目一杯後悔させてやらなきゃだからな。」
少しずつ俺から吹き出す焔は落ち着いていく。
「さて、待たせたな。俺の準備はできたがそっちももういいよな?気だけは抜かないでくれよ?」
俺は一息で相手の懐に飛び込んでいく。
「まずは一本だ。『焔刀』」
俺は手刀で相手の腕を焼き落とす。
相手の腕の切り口に焔がまとわりつき再生を阻害する。
動きを止めずに相手の腹に蹴りを叩き込む。
勢いよく吹っ飛んでいき闘技場の壁にぶち当たる。
相手の腹と腕からは煙が立ち上り肉の焼ける匂いが立ち込める。
「いつまで呆然としてんだよ?そんなんじゃ簡単にダルマになって終わっちまうぞ?」
俺はゆっくりと相手の元に歩いていく。
相手は怯えるような目でこちらを見つめてなんとか後ろに下がろうとするが、後ろには逃げ場はない。
「さっきまでの威勢はどこに言ったんだよ?そんなんじゃバーサーカーの名折れだぞ?」
俺は不敵に笑いながら魔力を右手に集中させる。
『鬼火』
俺は集めた魔力を突き出すように拳を振り抜く。
俺の手から撃ち放たれた魔力は鬼の顔を象り相手に向かって飛んでいく。
相手に着弾するやいなや、鬼の顔が相手の肉を喰らっていく。
食らった箇所からは焔が立ち上り相手の身体を焼いていく。
「ギャアー!」
バーサーカーオークは身体に纏わりつく焔を消そうと地面をのたうち回る。
「はぁ、俺も弱いものいじめはしたくねぇし、仮にも一対一の決闘だ。一思いに終わらせてやるよ。」
俺は地面をのたうち回るバーサーカーオークの側に立ち拳を強く握りしめる。
『蒼灰塵』
俺の拳が一青白く燃え上がり一瞬で相手の頭を灰に変える。
サラサラと空気中に灰が舞い散っていく。
「痛みなんか感じる間もなかっただろうよ。お前に食われた魔物が納得するかは分からんがこれで手打ちにしてくれや。」
俺は舞い散る灰と力なく倒れる身体に背を向けてゆっくり観覧席に戻っていく。




