第110話
side ソージ
「っ!間に合えっ!」
俺は全力でシュテンの元へ駆け抜ける。
『ザシュッ!』
肉と骨を一息で断ち切る音がすぐそばで聞こえた。
シュテンを突き飛ばした俺の右手が宙をくるくると舞う。
次の瞬間今まで一度も感じたことのない痛みが脳を掻き乱す。
俺は歯を食いしばってそれに耐えながらシュテンの前に立つ
「おいおい!ルーキーそれはルール違反じゃあねぇのかよ?サシでの対決に助太刀なんかよぉ」
「アイテムを隠し持たせているのもどうかと思うがな?」
俺は工作と鍛治の魔王の皮肉に皮肉で返す。
「アイテムは俺が作成したものだ。それを魔物に持たせて何が悪い。まぁ、今回は見逃してやるよ次手を出した瞬間には俺も参戦するからその覚悟だけは持っていろよ?」
工作と鍛治の魔王は口角を釣り上げ俺を見下ろしながら言い放つ。
「あぁ、もう手はださねぇよ。これは元々シュテンの戦いだからな。」
俺はそう言って地面に落ちた腕を拾い上げシュテンに向き直る。
「シュテン、まだいけるか?俺はお前の勝ちを信じてる。お前は俺と1番長く一緒にいるんだ。お前の力がそんなもんではないことくらいわかっているよ。」
俺はそう言っていつものように頭を撫でようとした。
「ははっ、そういや俺の腕を切り落とされてたんだっけ。全くもって締まらないな」
俺はシュテンの頭を撫でようとして届かない腕を見て苦笑する。
「ガアァ…」
「はは、気にすんな。俺は100番目の魔王なんだ。これくらいどうにかするさ。お前はそんな俺の1番の相棒なんだ。不甲斐ない顔ばかり浮かべるな。不敵に笑って目の前の敵を叩きのめせばいい。後は任せたぜ?シュテン!」
俺はシュテンにそう言い残して再び観覧席に戻っていく。
シュテンのダメージは大きそうだったが、少しの時間稼ぎはできたはず。
さぁ、立ち上がれ。俺の頼れる相棒、右腕であることを示してくれ。




