旦那様抱いてぇ! Byルナ
「ルナ、ちょっとグレイに近くないか?」
「はて?何のことでしょうか。それよりもルーシーさんはグレイ様…旦那様の何なんでしょうか?」
グレイ助けて、というルーシーの顔が少し見えてしまった。
「こら、言い直さなくていいです、ちょっと二人ともくっつき過ぎですし、今は会議中なんですよ。」
そう、今は今後、人間達とどう暮らすかという大事な話だ。
「では、結論としてメリスとは有効な関係を結ぼう、後日伝達する、もしくはお主に頼んで良いか、グレイ。」
「私はあそこの統治者に嫌われてますから。」
「そ、そうか。」
何故か哀れみの目で見られる。
すると何かが飛び込んできた。
それはよく見ると見張りのエルフだ。
「帝国がまたもや攻めてきました。」
「またかぁ。」 「あいつら弱いくせにしつこいな。」
などグチグチと余裕の顔をしている。
「そ、そんなに帝国は弱いのか?」
ルーシーはどうしても気になってしまい聞いた。
すると、ルナが
「カスです。」
またもやルーシーは凹んだ。
(ルーシーのキャラがもういじられキャラになってますね。)
「では、皆さんどうしますか?」
「我々はグレイ様の戦いが見たい!」
「「「グレイ様!グレイ様!グレイ様!」」」
「グレイ、あなたはいったい何をしたんだ?」
「ちょっと昔に色々とですね。」
何故かグレイは過去について話したがらないのだ。
「では、ルーシー、ルナお留守番頼みますよ。」
するとまるで最初からいなかったかのように存在の気そのものが消えた。
「これが朱の刃…。」
「みんな急げ!見遅れるぞ!」
「な、なんでこの人達は帝国より見逃す方が慌てるんですか!」
まるでこっちが戦争中のように見える。
「皆さんはグレイ様の戦いが素晴らし過ぎて…。」
「そこの娘達よ!急いで写し鏡に!」
「ルナ!写し鏡とはなんだ!」
ルーシーは走りながらルナに聞く。
「それは、グレイ様の活躍が見れる大きな鏡です!」
なんでこいつらはこんなにテンションが高いんだ!
と、エルフのことがよく分からなくなってきた。
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「皆の衆、よく聞け!前回は撤退するに負えなくなったが、今回は最強魔剣士様とメイ様がおられる、気合を入れていけ!!!!」
隊長が叫ぶと
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
兵も雄叫びをあげた。
だが次の瞬間、全員が首を討たれた…という錯覚を見た。
それは無言の殺気によるものだ。
「皆さん、これで一度死にましたね。」
ゾワッと何かがメイの背筋を駆け抜けた。
「あっ、あっあぁぁぁ!!!!」
途端にメイが逃げ出す。
だがそれを逃がさないという意味なのか、この地帯には結界が張られていた。
それでもなおメイは結界から出ようと必死に足掻いていた。
そして軍の目の前にはローブを着た男がいた。
「皆様、今回暗殺者である私、朱の刃はエルフのために、奮闘させてもらいます!」
何故かいつもより高いテンションに驚くルーシー、歓喜を上げるエルフ達…なんともすごい光景だ。
「何が暗殺者だ!もはやもう人前に出ている、こんなもの殺ってしまえ!」
最強の魔剣士だかが吠える。
すると、メイを除く魔法使い10人程が詠唱を始める。
その時点で魔剣士は勝利を確証した。
「終わりだ!」
色とりどりの魔法がグレイに向かって飛び交う、そして種類はスピード系とパワー系で別れていた。
それはよく見られる効率重視の魔法だ、まずスピードで敵を行動不能に、そしてパワーでとどめを刺す。
だがそれはあくまで一般だ、目の前にいるのはグレイだ。
飛んできたスピード系魔法の速さはソニックと自称するだけあって時速1000キロメートルは軽く越える、ヘタすれば2000キロメートルを超える者もいる程だ。
パワー系のスピードは600キロメートル程だ。
そしてそれは着弾したかのように見えた…だが次の瞬間帝国側は恐怖を知ることになる。
それは目にも止まらぬ速さで短剣で全ての魔法を避けることなく、当たることなく、斬った。
「ば、ばかな、化け物だ!」
「その化け物に喧嘩を売ったバカはどちらなんでしょうね?」
エルフ達は興奮して奇声を上げるほどだ。
「グレイ様かっけぇ!!!」 「やべぇ、鳥肌立っちまった!」 「グレイ様大好き!」「いいぞぉ!!!」 「ヒュウヒュウ!!!」
「旦那様抱いてぇ!!!」
もちろん最後のはルナだ…。
「こ、これほどなのか…。」
さすがのルーシーも驚きを隠せなかった。
それでも魔剣士は諦めなかった。
「全員かかれー!」
と、最大声量で命令する。
だが、誰も動けなかった。
それはそうだ、あの速度を斬ることが出来る者がいるならば、その者に剣を向けたとしても何が出来る、魔法に比べれば件の斬る速度など、足元にも及ばない。
この時点でもう既にグレイの毒牙にかかっていたのだ。




