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恋愛相談部  作者: 甲田ソーダ
第一章
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携帯の正しい使い方を知ろう

今回の問題はガラケーの人はうまく見れないと思いますので最初に説明しておきます。

①のところは二乗

③は順番に五乗、二乗、二乗

解答

①は順番に二乗、二乗、二乗

②は順番に二乗、二乗、二乗


見づらくて申し訳ございません……

 水曜日、昨日言った通り、美優は亮雅にサッカーの話を振った。慶喜はそれを遠くから、お得意の魔法マジックカード、「盗み聞き」を発動して聞いていた。


「サッカー部のマネージャーになってみない? 清河さんが来てくれると皆のモチベーションも上がると思うんだ」

「で、でも私、マネージャーって何すればいいかわからないし」

「そんなの先輩のマネージャーさん達が教えてくれるって!」

「め、迷惑じゃないかな……」

「全然! むしろ、来てほしいくらいだ!」


 どうやら、しっかりと会話が成立していた。

 これで、依頼は完了したと思ってもいいが、どうせまだ日にちがある。せっかくだから、美優のぎこちなさをなんとかするべきだと慶喜は考えた。


(今のところはこれでいいが、どうも清河のぎこちなさから距離を感じる。ここを直せば友達以上の関係にも持っていきやすいか)


 慶喜はひとまずこれからのことを考えるために一度教室に戻ることにした。そこで、後ろから誰かに肩を叩かれた。慶喜が振り返ると、女子。ではなく、普通に誰かもわからない男子がいた。


「お前、ここで何してんだよ」


(? 何って別にお前には関係ないことだけど……。とりあえず、適当に演技でもするか)


「ちょ、ちょっと考え事してて……。もしかして、迷惑だった?」

「お前、あれだろ? 昨日、清河さんに言い寄ってた……」


(すげぇ……。人の記憶の改変力すげぇ。たった一日で俺と清河の位置が逆になった。つまり、俺が自分のクラスで自分の席を清河に取られてたっていうことか? マジ人の記憶ってすげぇな……)


「お前さ、そういうの気持ち悪いんだけど」

「?」

「だからさ、清河さんの後をつけて、話を聞いていることが。気付かないと思った? 残念、皆気付いてたよ」


 その男子生徒がそう言うと、周りの生徒達も頷き、白い目線で慶喜を見てきた。慶喜はその目線を感じながら自分の愚かさを呪った。


(くそっ! どうやら俺には隠密行動が似合わないらしい。これを機に俺は裏の主人公をやろうと思っていたのに! いや、待て! もしかしたら俺には隠そうとしても隠しきれない存在感が!)


 もうわかっていると思うが、慶喜は隠れオタクにして、隠れ中二病なのだ。慶喜はそれを自覚していながら治そうとする気はまったくなかった。


「とにかく、これ以上清河さんに関わるようだったら、ただじゃ済まされないからな」

「は、はい……」


 男子生徒は最後に慶喜を睨みつけると教室に歩いていった。慶喜はそれに臆するような声を出しながら、次の手を考えていた。


(ふむ……、以外と皆も鋭いんだな。さて、これからどうしよっかな~。盗み聞きはどうやら使えない。となると、毎回部室で話を聞かないといけないのか……。それは、さすがにリスキーだな)


 慶喜が怖れているのは、部室に美優が行き来しているのを誰かに見られること。ただでさえ疑われている慶喜の関係性が怪しまれ、それも今後の行動に支障が出るかもしれないと思っているからだ。

 慶喜はいろいろ考えながら教室に戻ると、次の授業の準備をした。次の授業は数学である。


 数学の時間も依頼について考えていると、教師に名指しされた。授業態度が悪いのではなく、ただこの教師はよく数学ができる奴に問題を投げかけるのだ。

 これでも、慶喜は数学だけは学年でトップを争うレベルの持ち主で、絶対にいつも一位を取れるわけではないということが目立たない所以だ。


「慶喜、この問題三つもうやったか?」

「あ、はい」

「それじゃ、黒板に書いてみろ」


 慶喜はそう言われて前に出るのが面倒くさかったが、黒板に計算式と答えを書いた。



問題

①(2x+3y+4z)²

②(x+4y+2z)(xー4y+2z)

③(5x+2y+z)⁵の時のx²y²zの係数の値



(清河を部室に来させないようにするには……)



慶喜の解答

①4x²+9y²+16z²+12xy+24yz+16zx

②x²ー16y²+4z²+4xz

③3000



「よし! 全問正解だ! 戻っていいぞ!」


 席に戻った後も慶喜はずっと美優のことを考えていた。そのとき、誰かの携帯の着メロが鳴った。その瞬間、教師が顔を真っ赤にして怒った。


「誰だ! 出てこい! 没収だ!」


 最初は黙って誰も出てこなかったが、一人ずつ調べてやる、という言葉にとうとう白状した。

 これで、一週間携帯は没収され、一週間後に親とともに来なければ返してもらえない。これがこの学校の規則なのだ。


(これだ……!)


 携帯を没収された生徒が怒られるのを見ながら、慶喜はあることを思いついた。


(これだったら、部室に来なくても状況を聞き出せる!)


 昨日と同じように慶喜は昼休み部室へと向かった。その手にはきちんと弁当があり、昨日の経験を活かし、部室で弁当を食べることにしたのだ。

 部室で美優が来る間弁当を食べていると、昼休み残り十分前というところで美優が部室へやって来た。


「ごめんなさい、ここにいることはわかっていたんだけど、お昼はクラスの子達とお昼ご飯を取っていたから……」

「謝るのはあとだ、時間がない。とりあえず今やるべきことだけを言う」

「やるべきこと?」


 美優が首を傾けると、慶喜は黙って頷いた。それから、一呼吸置いてから言った。


「今から、「盗聴器」作戦について説明する!」

「……はい? 盗……聴……器?」


 美優はその不穏な語に思わず固まってしまった。しかし、すぐに動きだし慶喜の計画を止めようとした。


「慶喜君! 盗聴器は犯罪だよ! そんなのダメだよ!」

「安心しろ。何も本物の盗聴器を使うわけじゃない。携帯を使うだけだ」


 その言葉に美優はホッとしたような顔をした。


「つまり、携帯を使ってその都度、慶喜君に状況を伝えればいいってこと? 盗聴器っていうわりには普通なんですね」

「いや、違うけど……」

「え?」


 美優はてっきり携帯を使って、隙を見て慶喜に報告するのだと思っていたが、慶喜の考えは違うらしい。

 慶喜は美優の様子に思わずため息をついた。


「まったく……、盗聴器って言ってなんでそんなまどろっこしいやり方をするんだよ。それに、学校で携帯を使っているところを先生に見られたらどうすんだ」

「でも、さっき慶喜君が携帯を使うって……」

「携帯に話しかけるのは露骨すぎだ。ここはもっと頭を使おうぜ」


 慶喜はそう言って携帯をポケットから取り出した。そして携帯を何か重要な機械であると言うように、胸の前で斜めに持つと美優に言った。


「携帯で俺に電話したまま、亮雅と話せ。俺はその会話を音楽のように聞いてやるよ」




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