覚醒(パート2)
この章では、目覚めた後のバリーの反応と、彼の内に芽生えた異変への気づきが描かれる。
そして同時に、スティーブの人生を根底から覆す出来事――誘拐と実験、そして覚醒――が明らかとなる。
二人はそれぞれ異なる形で力を手にし、ここから運命は大きく動き始める。
バリーの覚醒
ゆっくりと、バリーは目を開けた。
全身は重く、頭は霞がかかったようにぼんやりしている。
「ど、どうして俺はここに……?」
弱々しく、途切れ途切れの声。
ベッド脇で不安そうに座っていた両親は、安堵の表情を浮かべながら、雷に打たれ病院へ運ばれた経緯を説明した。
話を聞き終えたバリーは眉をひそめる。
(本当に雷に直撃されたのか……?そんな感覚はなかった。)
突然、胸の奥に妙な衝動が湧き上がる。
「今、何時?」と両親に尋ねる。
「もう少し休んだら?何か食べる?」と母。
「それは後でいい。時間を教えて。」
父がポケットからスマートフォンを取り出す。しかし画面は真っ暗なまま。
「おかしいな……さっきまで満充電だったはずだ。」
母も確認するが、同じだった。
二人は困惑した表情で顔を見合わせる。
「今は休みなさい。」母が優しく言う。
「お腹は空いてない。少し寝るよ。」
両親が出ていき、一人きりになる。
壁の時計を見る――動いていない。
(電池切れか……?)
左に寝返りを打った瞬間、モニターが不規則に点滅しているのに気づく。
(なんで電子機器ばかり……?)
まさか、という考えが浮かぶ。
自分が電気を操っているのではないか、と。
天井の照明に手を向ける。
指先から微かな火花が散った。
集中する。
バチッ――
電球が点灯した。
目を見開くバリー。叫びそうになるが、必死に抑える。
次々に試す。
モニターに電力を戻す。
時計に電気を流す――秒針が動き出す。
(本当に……操れてる。)
さらに異変に気づく。
上下階の会話や足音が鮮明に聞こえる。
(聴覚が……強化されてる?)
窓の外を見る。遠くの看板、その横であくびをする白猫まではっきり見える。
(視力まで……。)
電気の支配だけではない。
感覚そのものが進化していた。
足音が近づき、慌てて寝たふりをする。
看護師が入り、薬を渡して去る。
数日後、退院。
すべてが変わってしまった。
何かが、彼の中で目覚めていた。
場面転換:雷が落ちる前のスティーブ
街の別の場所。
スティーブはキーボードを打ちながらも、心ここにあらず。
(バリーが三日分を四時間……もし一緒にやれば負担は半分だ。だがあいつは本気で働くタイプじゃない。)
「おい、意味不明なコード打ってるぞ。」
我に返る。
「少し外の空気でも吸え。」
オフィスを出て歩き出す。考え込んだまま、狭い路地へ入ってしまう。
突然、黒いバンが急停車。
覆面の男たちが飛び出す。
口を布で塞がれ、車内へ。
首に注射。
意識が薄れていく中、縛られる。
「運がいいな、坊主。……いや、悪いか。」
「父親が大物実業家だからな。ライバルが金を出した。」
世界が崩れる。
「だがもっと儲かる話があった。実験体としてな。」
意識が闇に沈む。
実験
目覚めると巨大なドーム型研究所。
金属製の拘束具。
「実験開始。」
緑色の血清が注入される。
放射線照射。
熱と激痛。
封鎖装置が降りる。偶然、素材に小さなLEGOブロックが混入していたが、研究者は気にしなかった。
その時、事故。
コーヒーが制御盤にこぼれ、放射線が暴走。
「失敗すれば奴に殺される!」
内部でスティーブは絶叫する。
だがDNAが変異を始める。
破壊ではなく、吸収。
――爆発。
拘束が弾ける。
血まみれだが、立ち上がる。
スティーブの覚醒
ふらつきながら天井の穴を見る。
(梯子があれば……)
その瞬間、床と壁がLEGOブロックへと変形し、階段を形成した。
研究者たちが凍りつく。
「物質操作だ……!」
逃走を阻止しようと襲いかかる男たち。
だがスティーブは軽く突き飛ばすだけで壁に叩きつける。
(もう……普通じゃない。)
LEGOの壁で弾丸を防ぎ、剣を作り武装解除。
出口を封鎖し、研究者たちを見下ろす。
「力には代償がある。二度と無実の人間を実験台にするな。」
致命傷は与えず制圧。
屋上の穴から脱出する。
帰還
警察に保護され帰宅。
両親は涙ながらに問いただす。
「逃げられた」と嘘をつく。
「もう誰も俺に触れられない。」
倒れるが、ただの疲労だった。
夜、自室で手を見つめる。
(あの研究者は誰だ?背後にいる“奴”とは?)
目を細める。
(俺はもう無力じゃない。)
同じ夜、街の反対側。
ベッドに横たわるバリー。
(電気を操れる。感覚も強化された。俺はもうただの無力な人間じゃない。)
そして、まるで示し合わせたかのように――
二人は同時に右手を掲げた。
バリーとスティーブ(それぞれの部屋で)
「俺はもう、別の次元の社会の一員だ。
この超人たちの世界で――新たなヒーローになる。」
次の章では、力を手にしたバリーが、自らの意志で何を選び、どのような行動に出るのかが描かれる。




