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それから生み出たもの

 塵は塵となったままに、考える脳もない状態で思考を回していた。


 自分は誰だ、オレは俺か、私はワタシか。



 考えるうちにゾクリと何かを感じることが出来る器官の無い体で感じる。


 熱だ。炎だ、灼熱だ。


 そう思わずには居られない程の熱はそれの中から感じた。


 知らぬ何かが蠢く。分裂と融合を繰り返して形を成したそれは(肉体)であった。



 耐えきれず砕け散った(肉体)が寄り集まって繋がっていく。いつしかそれは肉となり、骨となり、臓器となる。

 ゆっくりと、しかし順調に繋がっていく中で自分のものでは無い部分を見つけた。



 太陽のような熱を放ち、触れただけで今までの繋がりが霧散しそうなほどに巨大な力を秘めたそれは何とも繋がろうとせずにそこにあった。



 集まる肉片に意思は無い。だが確実に生きている。思考する空の意識と未だ繋がることはなく、本能のままにその太陽を己が身に取り込まんとそれに触れた。




 結果として肉片は塵に戻った。


 本来の器よりも大きなものを割れたままの器で受け止められないように。


 その身に余る力を得た人間が破滅するように。




 だが無駄ではなかった。


 塵になった肉片にほんの一欠片だが、太陽の欠片が混じった。




 そこからなんども同じことを繰り返した。

 肉になり、太陽に近づき塵となる。


 肉になる、塵になる、肉になる、塵になる、肉になる、塵になる、肉になる、塵になる、肉になる、塵になる、肉になる、塵になる―――――



 何度繰り返しただろうか、数える機能を持たぬそれは数えずに愚直に同じことを繰り返した。


 本能のままに触れて、取り込んだ。

 そしてこの一回、太陽を飲み込んだ。


 今回は塵にはならず、太陽が肉片へと馴染む。



 太陽と馴染んだそれは蠢くでなく、動いた。


 周囲に散らばる欠片を集め、取り込む。



 そんな中で、肉は形の無いものを取り込んだ。


 その瞬間、「これはなんだ」と言う思考が生まれた。


 そして気付く。


 自分を取り込んだのだと。



 そこからは早かった。


 自我を取り戻した肉体はもとの形に戻ろうと動き出す。


 筋肉が人の形を取り、皮膚が再生する。

 形だけだった手足に筋肉が張り巡り、神経が伸びる。

 徐々に体の感覚が戻っていく。



 直感的に目を開ければ知らぬ部屋。それもそのはず、その場にあった機材は横にいる女が塵にしてしまったのだから。



「お前たちが最後だ」

「おはよう」




 ---------------



 女が己の身体を混ぜ込んだ二つの塵は熱を持ってから5日間の間、肉片と塵への変化を繰り返していた。


 混ぜた張本人の女自身もここまで大きな変化が起きるとは思っておらず、成功したとニヤニヤした顔でその変化を見つめていた。



 初日は肉が寄り集まってそこから一気に塵になる瞬間が面白く、何もせずに眺めていたが、二日目からは同じ反応しかしない肉片に興味を失ったのか、資料を眺めて一人で言語の勉強をしていたが、やはり発音と文字が噛み合わない為に理解できず断念。


 三日目には何人かの兵士が蘇生し、どの程度の変化があるのか試すために一人一人と戦っていた。劇的に強くなっていたが、あくまでそれは肉体的な話。技術が追いついておらず、再生する肉体を破壊され続けたことによって精神的な疲労が先に限界を迎えた。



 4日目は数人を混ぜて二つに分けた塵が再生したが、どうにも安定しない為、脳を破壊しそこら辺のカプセルに閉じ込めた。


 脳を破壊した状態で女が遠くへ離れると再生が発生しないという新たな発見があった。



 そして五日目、蠢くだけだった肉片がついに変化を起こした。


 女が混ぜ込んだ器官を肉片が塵にならずに飲み込んだのだ。


 そこからの変化は劇的で、瞬く間に肉片は大きくなっていき、成人男性程度の大きさになるとピクリと動きが止まった。


 のたうち回りながらそこらの肉片をかき集めるだけだった肉の塊がぱたりと倒れ、グニャグニャと粘土をこねるように人らしい形へと変わっていくのだ。




 骨が形成され、それにまとわりつくように筋肉が張り巡らされた。その内側、外側を神経が多い、被せるように皮が再生していく。


 そこまで進むと、そこに寝ていたのは多少の外見の変化はあるが、まごうことなく大将と隊長格の男だった。



 髪は黒くなり、元の髪色は差し色程度にしか残っておらず、肉体も筋肉が減りスラッとしたものになった。


 しかし纏う雰囲気は以前のそれではなく、どこか女の雰囲気と似たものとなっていた。


 暗く冷たい、だがずっと何かを与え続けるような矛盾したもの。


 そんな生き物が二人そろって目を覚ました。




 二人して女を見つめるものだから、少し笑って女は声を掛けた。




「お前たちが最後だ」

「おはよう」

        この先、星があるぞ     

   星を押すと良い、作者のテンションが上がる   


ブックマーク、評価の程よろしくお願いいたします。

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