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お土産


「みんなに、お土産買って来たから、僕の家に来た時にでも渡すね」


「ホントか!?何買って来たんだ!?」


「何を買って来たらいいのか分からなかったから、兄様が買ったお土産と同じ置物と、焼き菓子を買って来たよ」


「オルフェ様が買ったのと同じなんですか!?」


「種類は、違うけどね…」


「それでも良いです!ありがとうございます!!」


コンラットの分は、兄様に直接選んで貰った方が良かったかな…。でも、それは何か違う気がするしなぁ…。まずは、喜んでいるようだからいいかな?


「今日、貰いに行ってもいいのか!?」


「別に良いけど、走って通っているのに、荷物持って帰れるの?」


「あっ…」


やっぱり、帰る時の事まで、考えていなかったみたいだ…。


「明後日まで、待てば良いでしょう」


「俺は、速く欲しいんだよ!」


そんな事言われても、持って来ていない物は渡せない。明日持って来ても、そんなに変わらないだろうし…。


「週末に、みんなと一緒に渡すね」


バルドは、あからさまに落ち込んでたけど、街で買える物だから、そこまで期待しないでね?兄様と一緒って言ったから、高価な物だって勘違いしてないよね?


僕はみんなに、街で買ったお土産である事を伝えたけど、特に問題はなさそうだったので、少し安心した。


「みんなは、この休み中どうだったの?」


他のみんなは、どうしてたのか気になって、休み中の事を聞いてみた。


「俺は、補修だよ…」


「家にいたな」


「今年の夏は静かだったので、実に有意義に過ごせました」


「俺が、外出禁止食らってて出られないのに、全然来ないんだぜ!」


「遠いから、この暑い中行きたくないんですよ」


「バルドが使ってる抜け道は?」


「抜け道に、新しい鍵が付いてから、気軽に使えなくなったんだよ…」


「でも、隣なんだから、そんなに変わらないでしょ?」


「かなり変わるぞ!」


抜け道が近いと言っても、隣にあるんだったら、行き来するのもそこまで大変じゃないと思ったら、バルドから強い否定が返って来た。


「隣と言っても、裏庭が面しているだけなので、正面が真逆何です。だから、一本、道を変えなければ行けないんです。ですが、屋敷が一軒ずつが大きいので、横道まで行くのも遠いんです…」


「ぬけ道使えば、屋敷から走って5分くらいで付くけど、外を周って行ったら40分かかるからな!」


道が1本違うだけで、そんなに時間がかかるなら、バルドが何時も近道したいのも分かる気がする。


「みんなは出掛けなかったんだね…」


僕だけ出掛けた事が、少し気不味かったけど、お土産を買って来たから許して貰おう…。


「出掛けたら煩そうな人が近くにいるのに、出掛けられる訳ないじゃないですか…」


「コンラッド!でも、それなら俺の家来てくれても良くない?」


「それとこれとは別です。来年は、補習にならないようにして下さいよ」


コンラッドは、優しいのか優しくないのか、よく分からないな。でも、見慣れた2人のやり取りを見ていると、帰って来た気がする。


週末、屋敷に来たみんなに、買って来た焼き菓子と一緒に、バルドに狼、コンラッドには馬の置物を渡した。


「よく分かったな!これ、大事にするからな!」


「私も、大事にします。来年、何処か行けたら何か買ってきますね」


僕の印象で選んで来たけど、喜んで貰えたなら良かった。


「ネアは、それで良かった?」


何も言わないから、気に入らなかったかと心配になって、ネアに聞いてみた。


「ああ、家宝にする」


「いや…そこまで凄い物じゃないから…」


「猫。それだけで価値がある」


置物を嬉しそうに見てくれるのは、僕としても嬉しいけど、ネアって、猫好きだったんだね…。そんなに、満面な笑み、今まで見た事ないんだけど…。


「リュカ!この焼き菓子も上手いな!」


僕がよそ見をしている間に、バルドは焼き菓子をすでに開けて食べていた。


「言っておきますけど、食べてなくなっても、私は分けて上げませんからね」


「え!?普段から、あまりお菓子食べないだろ!?」


「食べませんけど、これは、私が貰った物ですから上げませよ」


「えー!少し、少し分けて!!」


「嫌です」


家族との旅行も楽しかったけど、来年は、みんなで何処か行けたら楽しそうだな。僕は、旅行での出来事や、みんなの話を聞きながらそう思った。


「買ったお土産、兄様は渡しに行った?」


「…まだだ」


みんなが帰った後、兄様のお土産がどうなったのか、気になって聞いてみたら、僅かな間の後に、兄様が小さな声で返事が返って来た。


「喜んで貰えるといいね!」


「そうだな…」


兄様のお土産も、みんなと同じくらい喜んで貰えるといいな。


お読み下さりありがとうございます

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