諦め
怨敵は目の前にいる。
この位置に立つだけでも大勢の犠牲を出した。
彼らに報いるために長として
たった一人でもラントを討たなければ
申し訳が立たないかも知れないと
総司令は悩んだ。
満身創痍の身とはいえ
相手は本来死ぬはずの傷を受けている。
さらに(実感はないが)その強大な敵自身の
力で強化された自分なら
あるいは倒せるかもしれない。
「いや、無駄か。
仮にお前を倒せても過剰に強化された
俺たちは元に戻らんだろう」
全ては終ったことだ、と総司令は諦めた。
「その目だ」
ラントは沈んだ顔をする総司令に詰めよる。
「いつもお前たちはそんな目をする。
まるでお前たちが被害者のような顔をする」
ラントは襟元を掴み上げる。
「誰のせいでこうなったと思ってる。
俺か。俺だな! その通りだ!
だがお前たちにも責任はあるぞ!」
「な、何を言ってー」
「お前たちがそうだからっ! あいつらは!」
興奮のあまり閉じかけたラントの傷から
血が流れ出す。
そのおかげかラントは冷静になり、
総司令を下ろした。
「すまん。今のは八つ当たりだった。
お前たちは悪くない」
バツが悪そうにラントは早足で離れた。
「お前たちは正しい。
いつだってそれも変わらない」
ラントは片目だけ後ろに向ける。
「正しいお前たちは正しい選択をする。
俺を失望させるなよ?」
ラントはそれだけ言い残して行った。
読んでいただきありがとうございます。
一応、2部本編は本話で終わります。
今後は後日談を数話挟んで、
3部を掲載する予定です。
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