変貌_2
殴られそうになって
父親が使おうとしていた魔法は
かかる圧力を減衰し、
強さに比例して反発させるものだった。
だが、その結果は思いもよらぬ物になった。
「「え?」」
殴りかかる相手との間に
空気の膜が生まれ攻撃を受け止める。
ここまでは良かった。
しかし、跳ね返しの威力が強すぎて
無関係な人間を巻き込んで、空高くまで吹き飛ばしてしまった。
「なんだ!?」
突然のパワーアップに喜んでいられる状況ではなかった。
4,5人は無防備な状態で打ち上げられてしまったため、
着地のことを考えているはずもない。
ゆうに5メートルを超える高さから落ちて、
数人の重傷者を出し、打ち所が悪かったために
一人死者を出した。
「やりすぎだぞ、あんた!」
「こんなはずじゃ……」
揉めていた片方も冷静になり非難されたが、
犯してしまった自分の罪でそれどころではなかった。
突然の事故で何も知らない他の避難民が
攻撃を受けたと勘違いしてパニックを起こす。
そして、各々が魔術を使ってしまう。
そこで何が起きたか。
「うわぁっ」「ちょ、強すぎ」「ごほっ」
暴発。暴発。暴発。
パニックがパニックを呼び、
小さな喧嘩が避難民全員が大騒ぎになる。
「みなさん落ち着いて! 落ち着いて!」
大声で止めても誰も聞かない。
そこに異臭を感じた。強烈な腐卵臭だ。
「お父さん」
嫌な予感がする。
怒号が行きかう群衆の中で幼い子供が平気でいられるはずがない。
「お父さーん!」
息子は泣きじゃくり、そして全身から火を噴き出した。
この現状にふさわしく、子供の火が周りを薪にして
巨大な火柱を立ててしまった。
これに似た事例が各地でほぼ同時刻のうちに
発生していた。そのほとんどが甚大な破壊を残していた。




