ルイーザ 第十三部 第七章
大陸全土の戦争が始まろうとしていた。
もう突っ伏したまま真っ青な顔のコンラート皇帝を放置して、仕方ないと言う感じで全土の地図をクリトラオスに命じて天幕の机にカルディアス帝が拡げさせた。
ロイド法王も無言で地図を見ていた。
「一神教とは言え、ウルギス帝国のどこかにウルギス帝国の皇帝であるメフムットに敵対する勢力は無いか? 僧会でそういうのは把握して無いか? 」
そう魔王クルシュがロイド法王に聞いた。
「いや、宗教が違いますからね……あまり情報は……。そもそも一週間って無理じゃないですか? 」
「だけど、そのくらいで無いと我慢できないから、我が神の水龍神ラトゥースは……」
「多分、私と同じなら、それ以上かかるとそれを無視してすぐに攻め込むよね……」
魔王クルシュと麗王の冷やかな言葉で突っ伏しているコンラート皇帝が痙攣した。
「そもそも、それを止めれないのがどうしょうも無いんだが……」
カルディアス帝がそう言いながら顔を両手で覆った。
「だって、無理だもの。一週間だから納得して海神バルバトースを連れて虐めに行ってしまったし」
魔王クルシュがしょうがないって感じで答えた。
「ああ、ああ、碌な事無いな……」
コンラート皇帝が呻く。
「でも、守護する神様の事を考えれば、ウルギス帝国は砂漠が多く平地が多い。水害になれば甚大な被害が出る。それで、嵐と津波のコンボで水龍神ラトゥースが潰した後に、雷神ベルクナスの力で雨と共に雷撃でワイバーンを攻撃して、その後、疫神ガルビュートの力で疫病を流行らせれば、ウルギス帝国にかなりのダメージを与えれるのでは? 」
「鬼ですね……その考え方」
麗王の提案にロイド法王が突っ込んだ。
「わしは? 」
しれっと武と酒のバルカス神が現れて麗王の背中から呟いたが、麗王が振り返りもせず無視した。
それを見て、クリトラオスが脂汗を流した。
麗王が神様を無視しているのが信じられなかったようだ。
「問題は向こうがすぐに戦いに動けるようにしているかどうかだな。動けるようにしていたら、こちらの攻撃態勢を掴んだ時点で向こうが即動く可能性がある。とにかく、空から向こうは監視できるし、ワイバーンの空騎兵の空からの攻撃は馬鹿になんない」
魔王クルシュが真剣に呟いた。
第二次世界大戦に真珠湾攻撃で艦艇が空からの爆撃に予想外にもろかった経験則がある。
しょうもないものでも高さと言う武器があるので相手にダメージを与えやすいのだ。
そして、空への攻撃は失速しやすく、高射砲と言うものがあるように、矢とかも高射角の対応をしないといけないし、過去に国境に対空砲のように並べたバリスタをある程度使用せざるを得ない。
リスクが多いので、本音は魔王クルシュも、もっと時間が欲しいのだが、水龍神ラトゥースが我慢できないと言う現実が重かった。
その時に天幕に僧会の密使が来てロイド法王に報告した。
ロイド法王がその書状を読んで呻いた。
「良くない報告ですね。今頃調べるのもなんですが、ウルギス帝国は鉄鉱石と木と言う燃料の問題で鉄は製造していないので、我々東側から西側のウルギス帝国にずっと輸出されています。いろいろと隠蔽されてますが、ここ数年で鉄の買い付け総量が昔の3倍を超えてるようです」
「すでに、戦う準備はしている可能性があると言う事か……」
コンラート皇帝が呻く。
ウルギス帝国にバレない様にギリギリ一週間目にゼクス帝国の帝都に戻る計画を立てていたので、ここに残っているのが歯がゆいのだろう。
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「つまらない茶番もそろそろわしの代で終わりにしたい。教王とやらが使えないとはっきりしたならば、教王を見切り、我らがそろそろ動くべきである」
そうウルギス帝国の帝都の皇帝宮で群臣が揃う中で、皇帝メフムットが皆に告げた。
群臣達が一斉に平伏した。
そして、呼ばれていた将軍達も平伏した。
すでに、全てが大きく動き出していた。
後、11時にキャラクター紹介追加で、この章は終わりです。
次回はいつも通り来月予定です。




