18、海の町リヴァイヴァル
渡された箱を開けると、透明な青い輝きを放つ石が付いた首飾りだった。
「綺麗」
【海の覡の首飾り】と言う首飾りで効果は何もないが綺麗なので装備する。
マルイチさん達も貰っていた様で新しい武器や防具を装備している。
「それじゃあ、行きましょうか」
「多分、道は解放されているだろうしいいよ」
地図を確認すると左の通路が解放されていて、外に出ると綺麗な海と巨大な町が現れる。
港には巨大な船が幾つも停泊している。
町に入ると魚や魔物の肉を扱う店が並び、屈強な船乗り達が荷物を運んでいる。
「マルイチさん達はどうしますか?」
「セーブして、1回落ちるとするよ。それからゆっくり探索をするよ」
「ソラくん、ありがとうね」
「また一緒に冒険しましょう」
僕はマルイチさん達と別れて町の中を歩く。
町の人達はシルとホノを見ると祈ったり、握手をしたりしている。
露店の人達に声をかけられて商品を見ると、数量限定で高ランクの素材が売られている。
「これって…………」
「それはここら辺の沖で取れたモンスターの素材だ!ここは昔から強い魔物が生息していて、俺達は魔物を狩って素材を他の国や町に売ったりしているんだ!」
「凄いですね」
「俺達は精霊獣様の加護があるからな!
そういえば精霊獣様へ感謝を伝えるお祭りがあるから寄って見てくれよ」
それからゆっくり探索を続けていると、中央の広場で大勢の人がさっき言っていたお祭りの準備をしていた。
サメの様な生き物の像が大切に運ばれて来る。
「あれは精霊獣様の像なんですじゃ」
隣りにいつの間にかおじいさんが立っていた。
「初めまして異郷の地の方。私はこのリヴァイヴァルの長をしておりますモグアというものじゃ」
「僕はソラと言います。この子達は仲間のシルとホノ、ハルシオンです」
「生まれてから90年間ずっとこの町に住んでいましたが、こんなに近くで精霊様やドラゴンに会うのは初めてですじゃ」
モグアさんは愉快そうに笑う。
「伝説の水の覡様もあなたと同じ様に精霊や魔物から愛されていたんじゃろう」
「誰ですか?」
「精霊獣様と一緒に戦い、悪魔達から世界を救った伝説の覡様ですじゃ」
モグアさんは広場の椅子に座ると話を聞かせてくれた。
「今から500年程前、神や天使達がこの地上に暮らしていた時の話じゃ。地底深くに封印されていた魔界の門が開かれ7つの罪の悪魔達が地上に現れたんじゃ。
空は真っ暗な雲が多いつくし生命を死滅させる雨を振らせ、大地は草木も生えぬ荒れ果てた荒野となり、水は1口飲めば3日3晩苦しみ続けて最後は死ぬ猛毒になった。
悪魔達に勝負を挑んだ神や猛者達もいたが、悪魔達の圧倒的な力の前に無惨に殺され抗えぬ絶望が人々を呑み込んだのじゃ」
モグアさんは懐からパイプを取り出すと咥え、指先に小さな火を灯し円を描く様に着火する。
ゆっくりと煙を吐き出す。
「だが、まだ諦めていない者達がいたんじゃ。創造神メガル様、鍛冶の女神のアイラローラ様、精霊と妖精の王のホープ様、神に認められた神匠のガリア夫婦、異界から来た神に等しい力を持つ黒髪の少年、天使族の聖女、砂の預言者、水の覡様じゃった。
彼等は悪魔達を倒す為に3つの兵器を創り出したが、完成させるには足りない物があった。
それは強力な力を持つ精霊じゃった。精霊達の殆どは悪魔達との戦いに敗れ消え去ってしまっていたのじゃ。そこでメガル様とホープ様は生き残っていた3帯の精霊に残っていた最後の力を与え、精霊王を遥かに超える力を持った精霊獣を誕生させたのじゃ」
モグアさんは海の方を見る。
「水の覡様はその兵器と共にこの海で戦い、最後は瀕死の悪魔と共に海の底に消えていったそうですじゃ。
話が長くなりましたな。
奥の灯台の近くに水の覡様のお墓があるので、良ければ手を合わせて行ってください」
モグアさんはそう言うと、何処かに去って行った。