15、ハルシオン
イベントが終了してから5日が過ぎた。
僕達はおばあさんの家に来ていて、外に机と椅子を出してお茶を飲む。
花畑ではシル達が遊んでいる。
「それで今日はどうしたの?」
「ちょっと見てもらいたい物があって」
【魔物ボックス】から卵を出しておばあさんに見せる。
「卵を孵化させる方法が分からなくて」
「そういうことね。少し待っててね」
おばあさんが家の中に戻ると、すぐに大量のスクロールを持って戻って来て机に乗せる。
その内の1本を開けると文字が書かれていて、物語の様になっている。
「大昔から魔物使いは魔物の卵を孵化させる研究をしていたの。
1人魔物使いが魔物が卵を暖めている所を見つけて、魔物から卵に向かって特殊な魔力が出ていることに気が付いたの。
その特殊な魔力を解析して、人でも魔物の卵を孵化させられるこの【生命の唄】を作ったの」
「これを唄えば孵化させることが出来るんですか?」
「魔物にはそれぞれに合う唄があるの。卵に唄を近付けて文字が光ればそれがその子に合った唄なのよ」
それから僕はおばあさんと一緒に合う唄を探す。
しかし、どれだけ試しても合う唄が見つからない。
そして気が付いた頃には、太陽が沈み始め机の周囲には山の様に重なったスクロールが積まれている。
「見つからない」
僕は次のスクロールを手にする。
それは今までのとは違い、赤色のスクロールで文字は金色で書かれ装飾がされている。
「あら?間違って持って来てしまったみたいね」
「これも【生命の唄】なんですか?」
「分からないのよ。私がまだ冒険者だった頃、竜達が住む谷に行った時に見つけた物なの。こういう古い物を調べている友人のエルフに解読を頼んだけど、彼女でもこの文字を解読することが出来なかったの」
そのスクロールを卵に近付けた瞬間、文字が輝き出して読める様になっていた。
書かれていたのは、人間に育てられた龍の物語だった。その龍は別の2体の龍と一緒に人間を守る為に戦い、最後は育ててくれた人間に看取られたという内容だった。
唄い終わると光が卵の中に入っていき動き出す。
徐々にヒビが入り、殻が割れる。
「キュイ~」
真っ白な羽毛で覆われた小さなドラゴンが産まれる。真ん丸な体に付いた小さな手足と翼を動かし、傍まで来ると可愛い声で鳴いて顔を擦り寄せる。
僕は一瞬で骨抜きにされる。
名前:ハルシオン Lv1
種族:ドラゴンベビー(ユニーク)
契約者:ソラ
HP:125/125 MP:239/239
攻撃:36 敏捷:10 精神:23
防御:58 器用:13 運:20
知力:31
スキル:<竜魔法Lv1><幻惑魔法Lv1><王の資格>
「キュー、キュキュキュ~」
「可愛いよ~♡」
頭を撫でると嬉しそうに鳴く。
シル達も集まって来て、ハルシオンをじっと見ている。
「まさか、ドラゴンが産まれるなんてね。これもドラゴンの卵に近付けないと読めないみたいね」
「ありがとうございます」
「感謝するのは私の方よ。あなたと出会ってから、こんなに楽しい日々を送れているんだから」
おばあさんは嬉しそうに微笑む。
僕は頷いて遊んでいるシル達を眺めた。




