バケツのお友達
2話目。
会話多めです。
「はい、グラタン」
くんくん、と鼻を動かしたシュラは目の前にあるグラタンをじっと見つめた後、スプーンを手に持つ。
「い、いただきます」
はむっ
口の中に入れた瞬間、言葉では表せないほどのうまみが広がる。
「うまひゅぎる」
「あら、そう?そりゃ嬉しいわね〜」
リンネの母は上機嫌にそう言う。
「シュラは本当に面白いね!」
「そほかな?」
グラタンを口に入れたままシュラは口を開く。
「食べてる時に喋らないよー」
「へい」
…数分後
グラタンを数分で食べ終わったシュラを見たリンネはシュラに話しかける。
「ねーえシュラ」
「ん?どうかした?」
「ステッキのことなんだけどさ、シュラはリコーダーじゃん?実はね、私も持ってるんだステッキ」
「ステッキってみんな持ってるんじゃないの?」
「ええ!?そんな事も知らないのか…ええとね、ステッキはみんながみんな持っている訳じゃない。」
「え、そうなの?」
「そう。しかも結構少ないらしいよ。私もあんまり詳しくはないんだけどね」
「へぇ〜」
「軽いな」
「んで、私の持ってるステッキがこれよ!」
「テッテレー!バケツ!」
どこがで聞いたことがあるような効果音でリンネは自身のステッキを紹介する。
それはごくフツーな学校で使うような水色のバケツ。めちゃくちゃ地味。クソ地味である。
「バケツがステッキなの?」
「そう!シュラのリコーダーは音を出して攻撃するでしょ?私はバケツから水を出して戦うのさ。ただ、バケツからしか出せないから水量はすごく少ないけど」
「へ、へぇ」
シュラは思った。リコーダーの方がマシだと。
それを言うと怒られる可能性があるため今は伏せる。
なんて考えているうちにリンネが口を開く。
「ステッキを持つものにはね役目があるんだって」
「役目?」
「うん。役目。ステッキを持たない者を守る役目。」
「ステッキは選ばれた者の前に突然に姿を現す。選ばれた者である私達はそのステッキを使って敵からステッキを持たない者を守る」
「え、じゃあ私達はこれから敵と戦うってこと、?」
「ふふん、そーゆーコトー❤︎」
「そこでシュラ、敵を倒すため、人を守るために一緒に旅をしない?」
「旅、?って旅!?」
「そりゃ困惑するよね。でも、旅をして私達の役目を果たさないと。最終目標は魔王を倒すこと!」
「ま、魔王!?!?」
シュラは頭が回らずカチコチに固まってしまう。
「ね、お願い。ずーっとこんなちっちゃな町で暮らしてても楽しくないし」
「ま、まあ確かに、ここでずっと過ごすというのも嫌だけど…」
「じゃあ!」
「でも、無理だよ。私は弱い。さっきリンネを助けられたのも運だよ。ごめん、行かない。」
「そう、…」
リンネは最後にそう述べたあと、店を出た。
「あの子、昔っから旅に出るのが夢でね。この町に来たステッキを持っている人にはいつもああ言ってるのよ。無理を強いてごめなさいね。」
リンネの母は申し訳なさそうにシュラに言う。
…
シュラにとって、リンネの母の話は罪悪感を引き立てるに十分な素材であった。
―翌日―
リンネの母にお願いして家に泊まらせてもらったシュラはリンネの母にリンネの居場所を聞き、そこへ向かう。
そこは町外れにある小さな木の下であった。
「リンネ。」
「シュラ?なんでここに…」
「昨日、お母さんから聞いたよ。旅に出るのが夢なんだってね。」
「そう…」
「昨日の発言、撤廃する。」
「え、?」
リンネは困惑しているが、シュラはいつもより真剣な眼差しでリンネに伝える。
「旅、一緒に行こう」
「え、!?いいの!?」
「うん。私さ、人の夢が叶うのを見ると嬉しくなるんだ。だから、リンネの夢が叶うのも見てみたいと思っ」
シュラが言い終える前にリンネがシュラへ思いっきり抱きつく。
「ありがとう」
リンネは目から大粒を落としながらそう言う。
「…いえいえ」
「じゃあじゃあ!そうと決まれば明日から早速出発だ!」
「え、明日からぁ?」
「うんうん!」
「まあ、いいか」
「やったぁ!」
明日から、シュラとリンネのちょっと地味なステッキと敵との戦い、新しい人との出会いの旅が始まる。そして、最終目標は魔王を倒すこと。魔王が住む場所へ向かい、旅が始まるのだ。
読んでいただきありがとうございます。
次回から旅が始まります。
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