99・ダイヤモンドの検証②
「あかり、ボールを投げてみて」
「だよね、やってみるしかないよね。そうだ、ひかりちゃんも中に入ってね」
「そうね。それじゃあ、イワタサン」
「なんすか?」
それまで我々の様子を流し見していたイワタサンが、こっちに近寄る。
「硬いイワタサンを見込んで頼みがあるのよ。あかり、キャッチャーミットと、防具一式出してくれる?」
「キャッチャー用具欲しいなあ〜」
『へいおまちっ!』
道具が目の前にゴロンと出てきた。
「便利よね」
「まあね」
あかりが使い方を指示して、イワタサンが防具を身に付ける。
「固有スキルの防具だから、多分普通より性能いいと思うし、イワタサンだし、大丈夫でしょ」
「何そのフラグ」
「さて、あかり、真ん中から投げてみて」
「んじゃ、イワタサン。短い付き合いでしたけど、お達者で」
あかりがぺこりと頭を下げた。
「イワタサン、あばよ」
「イワタサン、ありがとね」
なぜか蛍の光が流れてきた。
「何この音楽」
「ひかりちゃん、無意識にメルヘン魔法使ってる?」
「そうかも」
「んじゃ、イワタサン、ボールを受け止めてね」
「よくわからんけど、取ればいいんだな?」
イワタサンがミットをこちらに向けた。
「お前の小岩は拾ってやる。行け!あかり!」
「何気にひかりちゃんって、悪党だと思う」
そう言いつつ、あかりがボールとグローブを召喚した。
「やるなら、全力でやるよ。イワタサン、受け取ってね!」
全力と言いつつも、あかりがまたボールをふわっと投げた。
手から離れた途端、加速する。一瞬の出来事だった。大きな音が響いた。
「うおっ!!」
「イワタサン!」
「大丈夫?」
私達は、ボールを受けて吹き飛んだイワタサンの元に走った。彼は後ろの木に衝突していた。辺りに轟音が響き渡った。
「木、何本倒れた?」
「5本くらい?」
「でもこれ、本人が激突して壊しているよね。私が投げたボールのせいじゃないよね」
「先に言い逃れしているのは、ちょっと置いといて。とりあえず、問題ないんじゃない?」
「それなら成功だよね!」
「そうよ、初めてキャッチしてくれたじゃない!」
私とあかりはハイタッチした。
そう、ようやくあかりのボールを受け止めてくれる人(岩)が現れたのだ!イワタサンのキャッチャーミットには、しっかりあかりが投げたボールが入っていた。奇跡だっ!
「よかったわね。破壊のボール王とか呼ばれなくなるわね」
「何それ。どうせそんな呼び名付けたの、ひかりちゃんだろうけど」
私はボールを持ったまま、後ろの木にめり込んでいるイワタサンを軽く叩いた。
「大丈夫?起きてる?」
「俺、サイコー……」
「うん、サイコーよ。ありがと、あかりのボールを受け止めてくれて」
「岩でよかったっすわ」
「うん。頑丈でよかった」
そこに騎士さんがやってきた。
「あのー、喜んでいるところすんません」
「何?」
騎士さん、言いにくそう。
「いやー、そもそもボールを受け止める必要って、あるんですか?」
「「ん?」」
「だって、攻撃用のボールじゃないんですか?それ」
私とあかりは二人同時に崩れ落ちた。
「「そうだった。目的変わってた」」
「だって、野球って、キャッチボールも大切じゃん?だから、だから、どうしても私が投げたボールを受け止めてほしかったの!」
「わかる、あかり」
「ひかりちゃーん」
二人で泣いた。
イシダサンとイワタサンも泣いてくれた。意味、わかってないだろうけど。




