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101/130

101・賢いたぬきち

 

 ひどく疲れてしまったわ。今日も癒しが必要ね。

 私はキムラサンハウスにやってきた。

 

「キムラサン~、癒し、癒しはどこ?」

「我は癒しという名前ではないぞ」

 

 たぬきちの訴えごと可愛すぎる。

 

「たぬきちコンプリート」

「意味がわからぬ」

 

 たぬきちを抱っこして、ほおずりしまくった。嫌そうな空気は、この際無視させてもらおう。

 

「いつもすまないねえ」

「それは言わない約束よ、おとっつあん……だったか?」

「ナイスよ、たぬきち」

 

 たぬきち最高すぎ。

 

「それそろタオル投げようか?」

「わかった、やめるって」

 

 レフリー・キムラサンからストップが入ったから、私はたぬきちを床に戻した。

 私はキムラサンハウスの床に座りこんでいた。キムラサンの努力のおかげで、壁しかなかった家は立派な家になった。変な日本語だけど、事実だし。

 

「屋根と床が増えただけでもすごいのに、家具まであるなんて。すごいわ、キムラサン」

 

 褒めたらキムラサンが踊り出した。これもお約束というやつね。

 

「んでも、今日はなんだか、そういう気分じゃないわね」

「どうした?いつもは一緒に踊るのに」

「うん、たぬきち。聞いてくれる?」

「どうした?オイラも聞くぜい」

 

 踊りをすちゃっとやめて、キムラサンが私の横に滑り込んできた。それを無視して、たぬきちの手を軽く持ち上げる。

 

「魔王のことが終わったら、妹が帰ってしまうの。それが悲しくてね」

「エミは、魔王にどうしてほしいのだ?」

「うーん、そもそも魔王って何しに出てくるのか、知らないのよね」

 

 なぜか、たぬきちがずっこけた。

 

「どうしたの?」

「知らんのかい」

「おお、たぬきちがつっこんだ」

 

 たぬきのツッコミ。何それ可愛すぎ。

 

「私と言うより、そもそも誰も知らないのよね。どうして魔王が出現するのか」

「そうなのか?」

 

 以前ルカスに聞いたことがある。

 

『魔王って何しに来るの?』

『それが、誰も知らないんだ』

『何年かに一度やってくるんでしょ?その時の記録があるんじゃないの?』

『なぜか書き記すことが出来ないんだよ』

『何それ?』

『だから、すべて口伝えとなるんだ』

 

 なんだか気が遠くなりそうな方法でしか、魔王のことは記録できないのだと言われた。

 

「何かの呪いなのかしらね。前回の魔王の話とかの、記録がないんだって。親が子に物語のように話して聞かせる方法でしか、残っていないらしいの」

「ふむ。それは面倒だな」

 

 たぬきちがふんふん頷いている。この賢いタヌキは、何か知っているのだろうか。

 

「もしかして、たぬきちは何か知ってるの?」

「知っているとも」

「そうなの?さすがたぬきちね、賢いわ~」

 

 たぬきちの頭をなでた。

 

「あたりまえぞ。我、魔王ぞ」

 

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