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1・はじまりは川へ簀巻きで

はじめて長編に挑戦します。

1話ごとの文字数は少な目です。

よろしくお願いいたします。

 私は、エミール・ガーデンと申す。

 ガーデン伯爵領の一応長男として生まれたが、後ろ盾はない。幼い頃に母と死別し、その頃には、母方の祖父母も他界していたので。

 母の死後、速攻で義母と義弟がやってきた。義弟のラルフは、同い年だった。父と母は政略結婚ではあったが、父の節操なしな対応に、幼い自分でも呆れたものだ。

 

 何度も申すが、一応長男のため、跡取りとしてそれなりの教育はうけた。だが、私は父に言わせれば、役不足というものらしい。

 成績は中の上、剣術はそこそこ。一般的な魔法も、そこそこ。筋肉は、あまりつきにくい体質らしく、どんなに努力しても細いままだった。

 弟は父に似て、どんどんたくましくなっていった。脳が筋肉質なところもそっくりだった。

 みな、次の領主は弟だと思っていた。

 私もだ。

 だから、学園を卒業したら、国の機関で文官として働くつもりだった。

 

 なぜこんなことを語っているのかというと、現在私は暗殺されそうになっているからである。

 もっと正確に言うと、さるぐつわをはめられ、体はロープでぐるぐるにまかれ、今まさに、川に投げ込まれようとしているのだ。必死にロープを解こうと手足を動かしてはいるが、緩む気配すらない。なかなか上手な縛り方だ。

 

 いや、違う、とにかくさるぐつわだけでも取らないと、魔法詠唱ができない。必死になって頭を振って、さるぐつわをずらすことには成功した。だが、詠唱しようとするが、声が出ない。

 

「あははっ、バカな奴だな。声を上げさせるわけねえだろ」

 

 私を見て、弟が腹をかかえて笑っている姿が見える。

 

「本当にダメな人ね。やっぱりあなたには、わたくしの婚約者なんて無理でしたわ」

 

 弟の隣には、私の婚約者であるパトリシア・アッコンチ侯爵令嬢が並んでいた。

 2人はぴったり寄り添って、なんなら弟の手が彼女の腰にまわっている。ずっと仲良しだったのは、明らかだった。

 確かに私達は政略による婚約だった。だが、それでも少しは仲良くしようと頑張ってきたつもりだが。いや、そもそも相手にしてもらえなかったか。

 

「まあいいや、あんたもこれで終わりだ。あとは俺様が領主となるだけだ」

 

 わかっていた、私が領主になる未来などないことを。なのに、それなのに、なぜ私を殺さなければならなかったのか。

 

「あんたは、領主の器じゃねえよ。それに、変なスキル持ちだからな」 

 

 確かに私のスキルは変わっている。

 8歳になると、子供はみな教会で固有のスキルの確認を行う。固有スキルは、神が一人一人にくださるものだ。

 神父さまが祈ると、水晶球にそのスキルの名前が表示されるのだが、私のスキル名は読めなかった。

 私のスキルは「メ@#&」と表記されていた。

 なんだこれ。

 そう、読めないから、使えない。

 まったく未知なるスキルだったから、いまだになんもできん。使えん。

 

「あの世で神様に教えてもらえよ。あれ、なんて書いてあるんですかーってな」

 

 私を支えていた部下が、弟の合図で私を川に投げ込んだ。

 

「きゃーーーー!」

 

 あ、やっと声が出た。

 川は思ったより冷たくなかった。んな、感想より泳げよ自分とは思うのだが、そのまま私は沈んでいった。

 

「…なんだか、可愛い悲鳴でしたわね」

 

元婚約者がぼそっと感想を述べていた。



なるべく毎日投稿できるようにがんばります。

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