表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/98

第87戒 再会

 1人が陽炎に向かって走り出した。それに続いて衛兵が全員向かってくる。魔法でどうにかしようと思ったが、さっきの魔法を見た感じ弱まっているので使わないでおこう。


「フェルル、ファルル、殺す気でいけ」


『ん!』


「ルーンファール、お前は俺とこい」


 4人は武器を構え走り出す。そして、思った。そういえば、魔法を封じているものを壊そうと思ったが忘れていた。まぁ、どうせなかっただろうから探すだけ無駄だっただろう。


「”炎流(えんりゆう)炎遠(えんえん)”」


 一振で当たり一体を焼き払う。しかし、さすが側近とでも言うのだろうか。あまり効果は期待できない。それどころか、逆に怒らせてしまったようだ。


 こうなってしまっては仕方がない。他の技で倒す、と言いたいが恐らくそこまで意味は無い。女王を殺せば早いのだがそれも厳しそうだ。それに、テムの居場所も気になる。


「やっぱやめた。皆集まれ」


 陽炎は全員を呼び戻すと体が密着するほどに近寄らせる。


「どうしたの?」


「いや、こうした方が早いと思ってな。”土流(どりゅう)土龍降臨(どりゅうこうりん)大地(だいち)”」


 背中からアロンダイトを抜き床に叩きつける。すると、床に大きなヒビが入り瞬く間に大きくなっていく。そして、城全体が大きく揺れ砂煙を巻き散らかし始めた。


「”樹戒呪(じゅかいじゅ)探魂(たんこん)”」


 木々は振動を放ち、人の生命力を感知する。隅々まで行き渡ったところでテムらしき反応を見つけた。それは、ちょうどこの部屋の真下にあった。


「よし、お前ら掴まれ。このまま下に落ちるぞ」


「へ?」


「え?」


「なんで?どゆこと?」


 3人は口々にそういうがすぐに気がついた。なんと、地面が沈んでいる。と言うより城が壊れている。そして、床は砂煙を上げながら崩れ落ちた。陽炎達はそれに巻き込まれ1階下へと落ちる。下に落ちた陽炎達はすぐさまその場を離れると、部屋の中の確認を始めた。


 そこには、特に変わったものはなかった。しかし、落ちた衝撃で少し瓦礫が多い。陽炎は瓦礫を退けながらテムを探す。フェルル達は何が起きているのかわかっていない様子だったが、陽炎が何かを探す姿を見て探し始めた。それに、何を探しているかはわかっている。


「”フレアフレイム”」


「っ!?”封印術式立方体(キューブ)”」


 咄嗟に封印するどうやらもう体制を建て直したらしい。このままではテムを見つける前に殺されかねない。


「どこだ……テム」


 陽炎は目を閉じるとその場に立ち尽くした。当然そんなチャンスを逃すはずはない。エルフの兵達は一気に陽炎に向かって魔法を放つ。


「”次元壁(ディメンションウォール)”」


 陽炎がそう唱えると壁が現れた。それは魔法が当たると全て飲み込んでしまった。エルフの兵達は魔法がダメだと一瞬で悟り、剣をもつ。そして、飛び立ち陽炎前まで来た。


「死ね!」


 白刃が迫る。恐らくあと一秒もあれば当たるだろう。だが、まだ1秒もある。


「俺の勝ちだ。”呪戒(カースド)古代眼(エンシェントアイ)””強制(アブソリュート)死刑(デスペナルティ)”」


 突如エルフの兵はその場に倒れた。よく見なくても死んでいる。陽炎はそんなエルフの死体を見てもう一度目を閉じた。そして、次に開いた時には目は元に戻っていた。


「かーくん!?大丈夫!?」


「問題ない。今はな。早くテムを探すぞ」


「本当にここにいるの?」


 ファルルのそんな問いに陽炎は頷く。そして、周りを見た。俺がテムだったらどこに行くだろうか?そんなことを思いながら穴が空いている場所を見つけそこに行く。


 あーなるほど。理解した。なんでこんなに探しても見つからないのだろうかと考えていたが、これを見たらすぐにわかった。


「うん、分かった。テムはここから落ちたんだろうな」


『え?』


「さぁみんな、行くぞ!」


 なんかすごいやる気を出している。久しぶりこんなに明るい陽炎を見たような気がした。3人はそんな陽炎を見て少し微笑むと飛びつく。


「うぉあ!ちょっ、ヤバっ!」


 そのまま陽炎達は穴から落ちていった。落ちる前は何ともなかったのに落ちてみると意外と怖い。なんと言うか、自分が死にそうとかじゃなくて周りの3人が死にそうだ。それがとても怖い。


「なんで押したんだよ。せっかくキューブに入れて行こうと思ったのに……仕方がない。俺の上に乗ってろ」


 そう言って地面に背中を向け3人と向き合う。3人は最初は意味がわかってなかったが、気がついたのか上に乗ってきた。


 ……容赦ないな。今回は特別だぞ。


 そんなことを思いながらどんどん落ちていく。そして、突如背中に激痛を感じた。背中がやけるようだ。めちゃくちゃ痛い。ていうか熱い。


 ……ん?ちょっと待てよ。なんであの高さから落ちて地面が抉れないのだろう?水の上か?だとしたら熱いのがおかしい。


「……くん……かーくん!ここマグマの上だよ!」


「はぁ!?”キューブ”」


 陽炎は咄嗟に3人を封印する。そして、足を沈めて顔を上げると確かにマグマの上だった。


「いや、あっつ!」


 陽炎はマグマから出ると体に水をかける。どうやら自分の超速再生スキルで死ななかったようだ。陽炎は焼けてしまった部分を魔法で元に戻すとキューブの中から3人を出す。3人は震えながら出てきた。


「なんでそんなに震えてんの?」


「いや、キューブの中が寒かったから」


「あぁ、悪い」


 そんな会話を少しして再び足を進め始めた。3人は立ち上がると急いで陽炎に追いつく。陽炎は早歩きでどこかに進み始めた。


 3人は陽炎がどこに行くのか気になった。しかし、聞くことは無い。なぜなら目の前にその目的となる人物がいるからだ。陽炎はその女の子を見ると急に走り出した。


 水が飛んでくる。雨かとも思ったが空は晴れている。


「……テム!」


 陽炎は大声で叫んだ。その声が聞こえたのか、その女の子はピクッと震える。陽炎は走り出すと、誰も追いつけないような速さまでスピードをあげる。そして、飛びつくように抱きついた。


「テム!会いたかったよ!」


「かーくん!?なんで帰らなかったの!?」


「テムに会いたかったかだよ!」


 陽炎は涙を流しながらそう言う。テムは少し怒りのオーラを放つが再会できた喜びが勝って涙がこぼれてくる。


「……うぅ……かーくん!私も会いたかったよぉ!うわぁぁぁぁぁぁん!」


「テム!俺もだよ!」


 2人は抱き合ってそう言い合う。後から来た3人はその様子を見て微笑むと、自分達も涙目になる。やはり、テムと会えたことが皆嬉しいようだ。ルーンファールも陽炎の姿を見て嬉しくなっている。


 陽炎はしばらくテムを抱くと、何か殺気を感じてその場を飛び退く。すると、その数秒後に槍が飛んできた。


「お前ら!逃げるぞ!」


 陽炎がそう叫ぶと3人は逃げ出す。陽炎はテムをお姫様抱っこで持ち上げると逃げ出した。


 少し逃げると開けた場所に出た。そこには何も無く闘技場のようだ。


「なるほど、ここが最終ラウンドってことか」


「そういうことですよ。早速死んでください」


 そう言って現れたのはエルフの女王だった。

読んでいただきありがとうございます。感想などあれば気軽に言ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ