第68戒 テム達の秘策
━━場所は変わって旧サモナール王国王都城壁の上・・・
「魔王様、お待ちしておりました」
「待たせたなβ。今どんな状況だ?それに作戦はどんなのだ?俺は知らない」
「現在、テム様方がロキと交戦中。作戦は準備が出来次第実行に移ろうと思います。それで、その作戦というのは・・・っ!?」
それを話そうとしたところで爆発が起こった。どうやらロキがなにか大技をしたらしい。その時、こっち側になにか飛んでくるのに気がついた。
「離れてろ!”炎流・紅蓮斬”」
陽炎は飛んできた何かを切り裂いた。それは、2つになると少し離れたところに落ち、爆発した。
「なんだったんだ?」
陽炎が呟くと、βの後ろから誰か来るのが見えた。
「αか、どうした?」
「準備が整いました。実行に移ります」
いや、だから何の?とか言いたいけど我慢した。それに、大体は予想できる。
「俺はテム達のところに行く。良いか?」
「その方が良いです。恐らくですが、今のロキとやらは危険な状態です。失礼ですが、テム様方にどうこうできるとは到底思えません」
「ハハ・・・同感」
そう言うと陽炎はその場を飛び立ち、テム達の元へ向かった。ギルシアはそれを見て手を強く握った。
「ギルシア様、今は魔王様を信じましょう」
「そうね・・・」
━━一方その頃テム達は・・・
「アハハハハ!アハハハハ!逃げろ逃げろ!その顔もまた良いね!でも、早く当たってくんないかな!」
ロキはそう叫びながら槍を投げる。無数の槍を作り出し投げる。それをずっと繰り返していた。当たりそうになれば、誰かがサポートして躱す。ロキはそれに少し腹を立てていた。
「もう面倒だ。これならどうだい?」
そう言って手を掲げると空からとてつもなく大量の槍が現れた。それを投げてくるのかと思いきや、1つに束ね1つの大きな槍となった。
「これは、さっきのやつの集合体。痛みはさっきのやつと比べ物にならない。死にたくないなら逃げろ」
ロキはそう言うと、投げた。それは、とんでもないスピードで皆の元に迫る。ギリギリで躱した皆だったが、甘かった。
「それは誘導弾だよ」
その声とともに、ディリーが後ろから槍に刺された。その槍はディリーの腹を刺すと、一瞬で光の粒子となり消えた。
「ディリー!?大丈夫!?」
ディリーが倒れたので、急いで気近寄ると、ディリーが傷の部分を押えて震えている。
「ディ、ディリー・・・何が・・・っ!?」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!痛いぃぃぃぃ!いや、いやぁ!やめて!これ以上は!らめぇ!」
突如、ディリーが泣き叫び始めた。その様子はまるで、地獄にでも落ちたかのような様子だ。
「ディリー!?ディリー!ディリー!どうしたの!?」
「あがぁぁぁぁ!いぎぃぃぃぃぃ!やだぁ!」
「あなた、何したの!?」
「何もしてませんよ。強いて言うなら絶望的な痛みを感じてもらっているだけです」
「っ!?」
ロキは平然と言う。そして、もう1つ作り出した。
「さて、次は誰にしようか・・・迷いますね」
ロキは顎に手を当て悩む素振りをしながらテム達を見渡す。
「じゃあ、次は君だな」
そう言って指を刺したのはソルトだった。ソルトはまたも動けなくなる。今度は、確実に当てられるように足をつるで掴まれてしまった。
「さぁ、もう逃げ道は無い。終わりだよ」
そして、投げようとした時ロキは後ろから蹴り飛ばされ少し離れた場所に倒れた。
「テムちゃん!準備が出来たよ!」
そう言いながらファルルが来た。
「本当!?」
テムが驚いてそう聞くと、ファルルは力強く頷いた。
「やってくれましたね。まぁ良いでしょう。皆苦しめてあげますから」
「そう言ってられるのも今のうちだよ!ハァッ!」
テムは突如鎖をロキに向かって投げ始めた。それに呼応して他の皆も投げ始める。不意をつかれたロキは複数の鎖で体を縛られてしまった。
「クッ・・・小癪な・・・」
「こっちも準備が出来たよ。よし・・・」
テムはファルルにそう言うと、全員を1箇所に集まらせた。そして、大きく息を吸って声をはりあげた。
「エニムーーー!やってーーー!」
その声は街中に響き渡った。
━━数分前・・・
「あと少し・・・あと少しで完成する・・・」
リリスは必死で魔法陣を描いていた。他の5人のところは既に完成している。
「早くしないと・・・魔王様の大事な奥様方が・・・」
「そんなに焦らなくていいよ」
フェルルは横から励ます。リリスはその事が余り耳には届いてないのか、必死に魔法陣を描く。そして、焦っているのだろうか、大量の汗をかいている。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!痛い!いだいぃ!いぎぃぃぃぃぃ!」
突如そんな声が聞こえた。フェルルが確認すると、ディリーの声だ。ディリーたちがいる方を見るとディリーがもがき苦しんでいるのが見えた。
「そんな・・・わたくしが遅いばかりに・・・すみません!すみません!」
リリスは涙を流し始めた。涙が落ちて魔法陣にかかる。それでもリリスは必死に魔法陣を描き続ける。そして、遂に魔法陣は完成した。
「出来た!早く、伝えないと!」
「任せて!」
フェルルはそう言うと全速力で走り出した。途中でファルルと合流しテム達の所に向かう。途中で陽炎のような人を見つけたが気にしない。なぜなら陽炎は普通はいないはずだから。恐らく幻覚だろう。そう頭にいいきかせ一直線に向かう。
「テムちゃん!」
そして、今の状況となった。テムがそう叫ぶと、遠くから声が聞こえる。
『”連鎖封印呪”』
そして、ロキの体は黒い鎖で縛られた。ロキは、逃げ出そうと必死にもがくが逃げ出せない。テム達はその隙を見逃すまいと一斉攻撃をした。
「クッ・・・クッ・・・クックックッ・・・残ね〜ん」
ロキはそう言うと鎖を破壊しすぐに立ち上がるとその場を離れた。テム達は攻撃を止められず、何も無いところに攻撃をしてしまった。
「アハハ!小生がそんなもので抑えられるわけないでしょ!アハハハハ!さて、これが本当の終わりです”激痛槍・極”」
ロキはテムに向かって槍を投げる。それは、とてつもない速さで進む。テムは避けられない。槍はテムの右目に向かって飛んでいく。
「あ・・・やだ・・・死ぬ、死にたくない・・・かーくん・・・」
テムは目を瞑った。攻撃が迫ってきているのに瞑ってしまった。しかし、いつになっても槍は当たらない。それどころか、謎の音が聞こえた。
バチバチ、バチバチ
テムは恐る恐る目を開けた。すると、そこには驚きの光景が待っていた。
「危なかったな。間に合ってよかったよ」
目の前には槍を真っ二つに切り裂いた陽炎が立っていた。体は、男に戻っている。
「かーくん・・・」
「無事でよかったよ」
陽炎はテムの頭に手を起き撫でた。テムは泣いて喜ぶ。更におもらしもした。これが嬉ションと言うやつか・・・
「ハハッ!そんなに嬉しかったか?」
テムは嬉しすぎて声が出ない。頷きながら陽炎に飛びつく。
「ギルシア!こいつらを安全な場所に連れて行ってくれ!」
陽炎がそう言うと、後ろからギルシアが来た。ギルシアは頷くと、その場の全員を連れてβがいるところまで移動を始めた。
「良いのですか?あなた1人で小生と戦えるとも思えませんが」
「戦えるか戦えないかはどうでもいいんだよね。とりあえず今はお前をこの国から追い出したいだけだから」
陽炎はやれやれと言った感じでロキに向き合う。正直にいって、陽炎に戦う気はなかった。話し合いで何とかなりそうな人だと思っていたからだ。実際まじかで話してもやっぱりそこまで話が通じないという訳では無い。
「う〜ん・・・どうしましょうか・・・小生としては帰っても良いのですけどねぇ。男には興味ありませんし」
「なら帰って欲しいんだけど・・・どうせ帰らねぇんだろ」
「はい。もちろん今のは嘘ですよ。小生の王はあなたを放っておきたくないらしいので、死んでもらいます」
突然だな。陽炎はそう思いながら小さくため息をついた。
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