第45戒 怒りのオーラ
━━2時間前・・・
「それでは陽炎様がお1人で行くと?」
「いや、テム達も連れていく。そして、サモナール王国を乗っ取ったあとフェルルとファルルを取りに行く」
陽炎とギルシア達が話している。どうやら作戦を伝えているようだ。
「了解しました。1つ疑問なのですが、転移魔法はどのようにして手に入れられたのですか?」
「これは古代眼で魔法想像スキルを進化させたあと加工スキルを進化させ少し加工した。属に言う固有魔法だな」
「なるほど。では、その力を戦力に入れた上で作戦をねります」
「そうしてくれ」
そう言ってどこかに向かいだした。
「陽炎様はどちらへ」
「俺はもう1つやることがある。それの準備をしてくる」
「了解しました。お気をつけて」
そして陽炎はいなくなった。ギルシア達はそれを見届け行動を開始した。それから5分すると城中にとてつもなく大きな爆発音が響いた。それは10分間続くと突如止んだ。そして、陽炎は自室に戻ってきた。
「か、かーくん!今のなんだったの!?」
「て、敵襲!?敵襲なの!?」
「やばいよ〜!どうしよう〜!」
3人はかなり慌てている。というか、まずなんで陽炎の部屋にいるのかは分からない。まぁ、それは置いといて陽炎は慌てる3人に微笑みかけ言った。
「あぁ悪い、それ俺だ」
3人は固まった。ゆっくり振り向いて頬をふくらませている。
「そう怒んなよ。怒ってる顔も可愛いけど、笑ってる時の方が可愛いよ」
一瞬にして3人の顔が赤くなった。しどろもどろになりながらも3人は陽炎に分かったと言った。陽炎は何事もないかのように椅子に座った。
━━陽炎は今牢屋に来ている。目の前にはフェルルとファルルが座っている。
「時は満ちた。行くぞ」
陽炎は地味にふらつきながらそう言った。そして、牢屋の鍵を開けた。
「どうした?出てこないのか?」
何故か2人は出てこようとしない。その時2人は陽炎の顔を見つめて言った。
「何かあったの?顔色悪いよ」
「何かあったの?言ってみてよ」
「そんな暇は無い。とりあえず出て来い。話はそれからだ」
そう言うと2人は出てきた。陽炎は転移魔法を発動する間に話を始めた。
「ついさっきサモナール王国を乗っ取った。だが、これからサモナールと戦闘になる。王を殺したことに対する怒りが俺を殺しにくるだろう。それに乗じてお前らの姉を殺そうとするはずだ」
そして話が終わると同時に陽炎も魔法の準備が出来た。
「さて、行くぞ」
『うん・・・』
どうにも歯切れの悪い返事が帰ってくる。しかし、それもそのはずと誰もが思うだろう。なぜなら陽炎は魔法を発動するのに準備は必要ないからだ。当然転移魔法も例外では無い。そのため、2人にはどうしたのかと心配なのだ。
「・・・」
陽炎はそんな二人を見て少し黙ると頭を撫で始めた。
『え?ちょっ・・・』
「心配すんなよ。俺を誰だと思っている?魔王だぞ。それに、まだお前らはサモナールに所属してんだろ。だから敵の心配なんかしてないで姉を助けることに集中しろ。そして自分の心配をしろ。わかったな?」
そう言って優しく微笑んで頭を撫でた。2人は気持ちよさそうに頬を赤らめうんと判事をした。
━━場所は変わってサモナール王国王城・・・
「”ファーストウォール””ファーストウォール””ファーストウォール”!うわぁぁぁん!もうダメだよ〜!」
「”樹木壁””樹木壁””樹木壁)”!こんなの耐えきれないよ〜!」
「ごめんなさい!ごめんなさ〜い!私結界魔法持ってないんです!本当にごめんなさい!後で何でもしますから許してください!」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ〜!」
3人はとてつもなくピンチだった。なんと陽炎が気絶させた人達が全員起きたのだ。3人は泣きながら結界を作って耐えていたがそれもあと少しで壊れそうだ。
『うわぁぁぁぁぁん!』
そして遂に結界は全て壊された。3人はそれを見て膝から崩れ落ち、諦めたかのように膝立ちをした。目からは涙が溢れ足元には水たまりが出来そうな程である。そして、ガンゼルが前に出てきた。
「これで終わりだ。死んでもらう!」
ガンゼルは剣を振り下ろした。それは真っ直ぐテムに向かっていき当たった。・・・と、その場の誰もが思っただろう。しかしそれは寸でのところで止められた。
「やってくれたな・・・お前ら全員殺してやるよ。皆殺しだ」
そう言って陽炎はガンゼルの右手首を掴みながら突然現れた。
「やっとお出ましだな。だが、少し遅かっ・・・ぐぎゃぁ!」
突如ガンゼルから悲痛な叫び声が飛び出してきた。なんと陽炎が、話が終わる前にガンゼルの右手首を握りつぶしたのだ。
「え?なんで・・・?」
ふと、その声が聞こえた。誰が言ったのか分からないが、テム、ディリー、ルーシャの内誰かが言ったのは分かった。陽炎は優しく微笑みかけると手を離した。解放されたガンゼルは後ろに後ずさり、他の人たちは攻撃体制をとった。
「クソ!俺の手を・・・よくも・・・」
そんなガンゼルの悲痛な声を完全に無視して背中の剣に手をかけた。
「”風流・・・”」
「効かねぇよ!1度食らった技は二度と効かない。それが俺達だ!」
「無駄なことですよ」
「さっき使ったのを後悔するんですねぇ」
口々にそんなことを言ってくる。
「・・・じゃあやめた・・・」
「ふふふ・・・ここに来て諦めるのですね・・・いい判断です」
そして、側近の女が1人前に出てきた。同時にフェルルとファルルがテムと接触した。
「早く、こっちに来て」
『う、うん』
慌てて3人は連れられて部屋から出た。その場の誰もが陽炎に注目していたからなのか、何事もなく部屋から出ることが出来た。
「・・・ちょっと待ってろ、すぐに行く・・・」
「あ?何言って・・・え?」
陽炎へずっと背中の剣に手をかけていただけだった。小さな声でボソボソ呟いていたかと思うと突如その場の全員の右肩から左の脇腹にかけて深く切り裂かれた。それは、骨まで切り裂いている。
「な、なぜ・・・?どう・・・して・・・?」
陽炎は手を離した。そしてガンゼルの顔を踏みつけ言った。
「お前らが俺の大事な人を傷つけようとするからついやっちまっただろ。・・・教えてやるよ。お前らは最初の攻撃がなんだと思ってる?」
「・・・」
声が出ない。喉を潰されたのか?それも分からない。そして、陽炎は続けた。
「あれの系統の技はな、全部剣圧で戦うんだよ。だから、今のは技は使ってないけど剣圧を飛ばして切ったってわけ」
そして陽炎は仮面で見えないが血管が浮かび上がるほど睨みつけ死のオーラを漂わせた。
「分かったらもう死ねよ。”風流・破心・・・”」
「らめぇ!」
陽炎の技は途中で止められた。横からテムが体を張って止めたのだ。その場の全員は状況についていけず呆然とした。しかし、その中に例外はいた。
「舌大丈夫か?今噛んだだろ」
この状況でも陽炎はテムの心配をしている。しかも、なんで来たんだ、とかどうして止めたんだ、とかいうあるあるなことではなく全く関係ないことを起き上がるなり聞いたのだ。
「いや、今そこじゃないよ。あと、ベロ痛いよ」
「そうか、じゃあ治癒魔法をルーシャにかけてもらえ」
「うん!・・・じゃなくて、ダメだよ!直ぐに殺しちゃ!この人たちにだって理由はあるんだよ!」
「理由はあるだろう。だが、お前らを殺そうとしたからな。そんなことでは許さない」
「ダメだよ!!!」
部屋中に声が響き渡った。テムの後ろからとんでもなく危険なオーラが見える。陽炎はちょっとずつ目を逸らした。
「目を逸らしたらダメ!それに、ここで皆殺しにしたら他の国の人達から良い印象は持たれないよ」
「なんか俺全部ダメって言われてる気が・・・まぁいい。なぁテム、俺はお前らが大事だ。だから周りの印象や名声はいらない。勘違いしていようと気にしない。お前らを守れるならな。だから、そう怒んないでくれよ」
「んきゅう〜♡」
優しく微笑んで優しい言葉を投げかけるとテムから可愛らしい声が漏れてきた。テムは顔を真っ赤にすると手で隠して涙を流している。
「え!?ちょっ、ごめんごめん!泣かせる気はなかったんだよ。許してくれ」
「んもぅ・・・嬉し泣きだよ♡」
陽炎は固まった。そして1回咳をすると話を戻した。
「ま、今回はテムがダメって言うからな。殺さないでおいてやるよ」
それを言うとガンゼルはやっと状況を理解したのか剣を構えた。それに対し陽炎は剣は構えず近寄った。
「く、来るな!殺すぞ!」
「フッ、無理だね。切ってみ」
ガンゼルは少し戸惑ったが力いっぱい剣を振り下ろした。その剣は吸い込まれるように右肩に当たった。そして、剣は真っ二つに折れた。
「え?なん・・・で・・・」
小さな声が部屋中に広がった。
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