第22戒 繰り返される脅威
━━第12階層・・・
「だぁぁぁぁぁ!なんでこうなるんだよぉぉぉ!」
「仕方ないでしょ!知らなかったんだもん!」
陽炎達は走って逃げている。逃げる相手は、人や魔物ではなく炎だ。そう、ここは可燃性の高い鉱物が敷き詰められた階層。そんなところでテムが炎魔法を使ったのだ。
「助けてぇぇぇぇぇ!」
「やばい!ルーシャ、氷結魔法だ。ディリーがやばい!」
「わ、分かったわ!”アイスウォール”」
ルーシャの作り出した氷の壁は迫り来る炎を受け止めた。陽炎はそのままその場を離れて休憩をした。
「はぁはぁ、散々な目にあった・・・」
「もぅ、悪かったって言ってるじゃん!」
「いや。責めてないよ・・・」
「む〜!」
テムは頬を膨らませてポカポカ叩いてきた。
(え〜?なんで?)
陽炎は頬をポリポリかいた。
「ねぇ。2人とも、階段あるよ」
なんと階段を発見した。一旦その場は収めて次の階層に進むことにした。
━━第14階層・・・
「だぁぁぁぁぁ!なんでまたこんなのばっかりなんだ!?」
「ごめんなさぁぁぁぁぁい!後でおしおきでもなんでも受けますから助けてぇぇぇぇぇ!」
再び陽炎達は逃げていた。何故かと言うと、魔法を暴走させる鉱石の前でテムが氷結魔法を使ったのだ。
「クソッ!ルーシャ、ディリーをよろしく頼む!」
「わ、分かった!」
陽炎は少し前に出ると後ろを向いた。後ろからは氷の波が押し寄せている。刀を構えると陽炎は一気に振りかぶった。
「”灼華・遠炎”」
広範囲の炎は氷の波に向かっていった。しかし、その炎は凍ってしまった・・・。
『え・・・』
「だぁぁぁぁぁ!炎が凍ったぞ!おい!」
「どうするのよぉぉぉ!」
「まて!まだ手はある!」
陽炎は前に出て再び振り返り構えた。深呼吸をすると刀を振りかぶった。
「”灼華・古龍剣術・極大蛇”」
陽炎は押し寄せてくる氷の波の8つの点を突いた。すると氷は砕け散った。さらに、溶けていく。陽炎は刀をさやに収めると、その場を離れ少し歩いた。するとテム達が既に階段の近くに来ていた。
「あ・・・おかえり・・・」
「何がおかえりかなぁ」
陽炎はテムをその場に正座させると長い長〜い説教を始めた。
「ガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミ!」
テムは涙目になっている。よく見ると、地面はかなり濡れている、だいぶ泣いたのだろう。しかし、陽炎はお構いなく説教を続ける。テムは体をプルプル震えさせた。よだれもたらして泣いている。
「・・・ということだ!わかったなら気をつけろ!」
やっと説教は終わった。テムは大粒の涙を流している。しかし陽炎はそんなテムを無視して階段を降り始めた。テムもしばらくその場にとどまっていたが、すぐに降りてきた。
━━第16階層・・・
「もういいわ!さっきからずっと同じ事しかやってねじゃねぇか!」
「・・・」
「おいテム、なんか言うことは無いか?」
「・・・ごめんなさい・・・」
・・・陽炎達は今逃げていた。何故なら、テムがトラップを踏んで大量の魔物が現れたからだ。
「何とか出来ないの?」
「いやいや、無理だろ。火を噴く氷の狼って無敵じゃない?とりあえずディリーを守れ」
「待って!出口が見えてきたよ!」
「よしっ!お前ら先に行け!」
ルーシャは陽炎のやろうとしていることを察した。そこで、すぐに出口から外に出た。
「”岩流・砕岩翔・環”」
陽炎は洞窟の天井を破壊した。そのため、穴は塞がれ魔物は出てこなくなった。
「お前ら無事・・・か・・・」
陽炎が振り向くとテム達が震えながら固まっていた。目線の、先を見ると巨大な炎の剣を持った巨人がいた。その巨人は剣を振り上げると一気に下ろしてきた。
「やばい!」
陽炎は皆の前に出た。そして刀を地面に突き刺した。
「”集岩大剣”」
地面から刀を引き抜くと、地面が一緒に着いてきた。地面は刀全体に満遍なく纏わりつくと巨大な大剣に形を変えた。その体験は巨人の攻撃を受け止めた。なんとか防ぎ攻撃を弾いたが、陽炎の刀は粉々に砕けてしまった。
「ちっ、やっぱこんなのじゃダメだ!テム、氷結魔法で相手の足を凍らせろ!」
しかし、返事は来ない。
「おいテム!聞いてんのか!?」
陽炎が振り返るとテムがへたりこんで座っていた。さらに、座っている場所は水たまりができている。
「はぁ、じゃあ誰でもいいからこいつの名前だけでも教えてくれ」
「え、え、え、えっと・・・この魔物はア、アイスガルガンチュアって言って、え、えととにかく強いよ。かげくん頑張って!」
「なるほどね。ありがとう。テム、心配しなくていいからな」
そう言って陽炎は前に飛んだ。このアイスガルガンチュアは図体がでかいだけで機動力は少ない。・・・かと思いきや、意外と速かった。
「あぶね」
難なくかわすと、1度壁を蹴り再び近づいた。そして、盛大に蹴りをぶち込んだ。
「ゴォォォォォォ!」
「さて、決めるか・・・”拘束”」
《邪悪なる闇を断罪する光よ・・・世界を超越せよ》
「”死刑”」
後ろから拘束されたアイスガルガンチュアは空から降ってきた隕石によって粉々に砕かれた。その場には大きなクレーターができた。陽炎達は隕石が降ってきた衝撃で遠くまで飛ばされてしまった。
「・・・お前ら・・・生きてるか?」
「う〜ん・・・何とかね」
「まさか、隕石とは・・・天井に穴が・・・っ!?」
なんと天井が塞がっていたのだ。まだ、少し壊れかけてはいるがほとんど修復している。
「これがダンジョンの意思・・・」
ディリーがそんなことを言った。
「ダンジョンの意思?」
「私もよく知らないけどね・・・ダンジョンはその人の真の姿を呼び覚ます。古くから言われてるんだ」
「・・・なにそれ?私知らない」
「私も」
テムとルーシャが真っ先に言った。ん・・・?もしかして・・・
「もしかして、お前の嘘か?」
「嘘じゃないよ!精霊界の間では有名な話なの!」
「なんだよ・・・。それに精霊界って・・・ま、なんでもいいや。先進むぞ」
そう言って階段に向かって足を進めた。
「待ってよ〜」
後ろから3人が着いてきている。陽炎は階段をおり切る前に1度立ち止まった。そして、振り返ると念押しのように言ってきた。
「お前ら気をつけろよ。トラップとか周りの環境に、合わせた魔法を使えよ」
「わ、わかってるよ!もぅ・・・」
陽炎は微笑みかけるとわかったよと言って足を進めた。━━そしてそれから、マジで何も起こらなかった。気をつけろとは言ったが、こんなに何も起こらないと逆に怖く思えてくる。そのまま何も起こらないまま20階層まで来た。
「ここは・・・一部屋だけしかないんだな」
「10階層の時と同じだね」
「じゃあ、この先にボスがいるのか・・・」
陽炎は扉を見つめた。不敵な笑みを浮かべると扉に手をかけた。
「おもしれぇ!ぶっ倒して攻略してやるよ!」
そして、思いっきり扉を開いた。・・・かに思えたが、思いのほか扉が重くて勢いよく開かなかった。
「重っ!何だこれ?重すぎんだろ!」
扉を開けるとそこには人がいた。いや、人というより人と同じ格好をした猫がいた。
「まぁ、猫だわ!かわいい!」
ルーシャはニコニコしながら向かっていった。すると、猫はこちらを向いて目を赤く光らせた。
「バカっ!容易に近づくな!」
「え?」
猫は爪を立てると素早い動きで引っ掻いてきた。
「避けろぉぉぉぉぉぉ!」
と叫びながらルーシャを突き飛ばした。ギリキリでかわすことが出来たが、少しかすってしまった。
「気をつけろ。見た目と違って相手は魔物なんだからな」
「ごめんなさい・・・」
「いや、いいさ。しかし・・・どうやって倒すかね・・・この敵は・・・」
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