第20戒 影の策略
陽炎達は服屋に来ていた。しかし、皆は大きな壁にぶち当たっていた。
「もぉ〜!なんでそんなのしか選ばないの!?」
「かっこいいだろ!」
「陽炎くん・・・それはちょっと」
「私達の方が恥ずかしいよ・・・」
3人は口々にそう言ってくる。
「何でだよ!?街にいっぱいいるだろ!こんな服のやつが!」
「いるけど!ソロでしょ!」
言われてみれば確かにそうだ・・・。
「待て待て待て、どこが悪いか言ってみろ!」
「全部よ!」
「何でだよ!どう見えてんだよ俺のこと!」
『・・・厨二病・・・』
改めて全員から言われると何も言えなかった。仕方なく買うのを諦めた。それからは早かった。一瞬のうちに服を選ばれ決定された。
「これでよしっ!それじゃあ行くよ!」
3人はニコニコ笑顔で店を出た。しかし、お金はまだ払ってない・・・ということは・・・。
「おい・・・」
陽炎は自分の服と皆の服をいくつか購入した。お金を払って店を出ようとした。・・・が、少し立ち止まって先程見ていた服を手に取った。
「すみません、この服もいいですか?」
「はい。あ・・・この服ですか・・・」
「何かあるんですか?」
「いえ、この服は見た目が悪人に見えるということで買う人が居なくて困ってたんです。なので、この服はお金を支払わなくてもいいんです」
なんとお得な服だった。陽炎は服を貰うとこっそり自分の荷物の中に隠した。そして店を出た。
「もう遅いよ!」
「悪い悪い。さ、行くぞ」
4人は店を出ると再びギルドに向かった。ギルドに入るとすぐに依頼を見に行った。
「どの依頼を受けるの?」
「う〜ん・・・これだな」
それは炎と氷の狭間にある遺跡の調査だった。
「ここに行く。ここには伝説の武器があると言われているらしい。それの調査だ」
「え・・・」
「かげくん本当にそれにするの?」
「お前達には悪いが、ここに行く。絶対にだ」
「・・・はぁ〜、もう何言ってるの?陽炎くんが行く場所にはどこでも行くよ。たとえ陽炎くんが悪人になっても、地獄に行っても、魔王になってもね」
「おい、俺を悪人にするな。でも、そう言って貰えると嬉しいよ」
「じゃあ早速行ってみよう!」
━━場所は変わってサモナール王国王都では・・・、会議が行われていた。
「じゃあ、次の手を打とう。βよろしく頼むよ」
「お任せあれ。ギルシア様のためならどんな事でも致しましょう」
「よろしく頼むよ。それじゃあ、次の作戦の内容を確認するよ。β、説明して」
「はい。かしこまりました。まず、これから陽炎は例の遺跡・・・氷炎遺跡へと行きます。それからそこで古代武器を手に入れるでしょう。その間に手を打ちます」
「おい、待てよ。もし行かなかったらどうする?」
「その時は別の手を打ちます。ですが・・・必ず行くでしょう・・・」
「そうか・・・聞いて悪かったな」
「いえ、η様の考えることは分かります。・・・話を戻しましょう。それから陽炎には足止めとしてある魔物を送ります。そこで苦戦してる間に陽炎は悪人だと言うことを広めます」
「待て、やつは悪事など働いてないぞ」
「θ様、一つだけありますよ」
「は?何を言って・・・あ!」
「そうです。彼はあの古代武器を持っているのです。それを言いふらしたら良いでしょう」
「だが、何故知っているのかを聞かれたらどうする?」
「見たと言えばいいだけです。見たせいで、俺の仲間は全員殺された。なんとか逃げることが出来たが、やつは古代武器を持っている。そう言えばいいだけの事です」
「なるほどな」
「そこからは楽でしょう。あることないこと言い続ければ良いだけのことです。1度悪事を行ったものは嘘でも疑われます。それに、そのことを嘘だと証明できませんからね」
「よし、その作戦で行こう。βありがとう。準備が出来たら決行してくれ」
「了解!全ては世界の終焉・・・そう、ラグナロクの刻印のために・・・」
「ふふふっ・・・待っていて・・・もう少しで会えるよ・・・」
「ギルシア様どうしましたか?」
「ん?いや、なんでもないよ。それじゃあ、早速始めてくれ」
『はっ!』
━━その頃、陽炎達は古代遺跡へと向かっていた。
「本当にこっちなの?」
「多分な・・・」
「いや、多分じゃだめなのよ・・・。かげくんその地図合ってる?」
「分からんが、地図はこっちを向いている」
「まぁ行きましょ。合ってたらあるはずよ」
4人は歩き出した。それからしばらく歩くと開けた場所に出た。そこには遺跡と魔物が待っていた。
「魔物か!番人ってところだな!行くぞお前ら!」
『了解!』
「”灼華・紅蓮斬”」
「早いね。一撃で仕留めちゃうなんて・・・」
「さ、行くぞ」
陽炎は足早にその場を立ち去った。遺跡の前に着くと扉を調べた。しかし、鍵がかかっている。だが鍵穴らしいところはなく、壊せそうにもない。更には、ドアノブのようなものもない。
「これ、どうやって開けるんだ?」
「解錠魔法とか、謎解きとかでかな」
「なんだそれ?謎ときで開くのか?」
「たまにあるよ。ダジャレとかでも開いたりする」
「そうか、じゃあここで1つ・・・おしおきされたお尻にはお塩効く」
『・・・』
その場の空気が凍った。
「陽炎くん・・・寒いよ・・・」
「しかも扉が開く気配は全くないよ・・・」
「待て、まだある・・・扉の前にそっとビラを置く」
またもやその場の空気が凍った。
「かーくん・・・なんか恥ずかしいよ・・・」
「ゴホンッ!練習は終わりだ。普通のなぞかけをやる・・・カーテンとかけまして、超電磁砲とときます。その心得はどちらも上にレールがあります・・・」
そういうと扉ほ開いた。さらに、テム達の口も開きっぱなしになった。
「ねぇ、どういうこと?よくわかんないんだけど・・・」
「教えてやるよ。まずカーテンは掛けるために上にレールが着いているだろ」
「そうね・・・」
「でだ、超電磁砲の名前の上にはレールが着いているだろ」
「おぉ〜、さすが!」
「さ、先に進むぞ」
扉をくぐるとそこは暗闇だった。初めは明かりをつける道具が故障しているのかと思ったが違うようだった。
「明かりをつけるよ。かーくん、ランタン出して」
「了解。ディリー、離れてろ。火の粉が舞ったら危険だ」
「よし、いくよ。”ファイヤー”」
ランタンにあかりが点った。暗闇だった場所に少しの光がさした。辺りを見渡すと特に何も無く階段が一つだけあった。
「恐らくこの下に何かある。行ってみる価値はあるな」
「待って!この壁見て」
そこには絵が描かれていた。その絵は所々かけてはいるが、伝説の武器の絵だった。
「これが・・・」
「今から私達が取りに行こうとする武器・・・」
皆は沈黙した。何故ならその絵には、力に溺れた人が人類の敵となる絵が描かれていたからだ。その場の全員は言葉が出ない。しばらく続いた沈黙は陽炎によって終わらせられた。
「何だっていい・・・。覚悟は決めたつもりだ。たとえ人類の敵となったとしても影から世界を守る。それだけだ・・・」
そう言うとテムも言ってきた。
「私も同じ気持ちよ」
それに続けてディリーとルーシャも言ってきた。
「私も・・・同じ」
「私もよ・・・」
「フッ・・・俺たちの意見はまとまったわけだ。引き返すなら今のうちだぞ」
そう言うとテムとディリー、ルーシャが3人揃って頬を膨らませポカポカ叩いてきた。
「あはは、悪い悪い。それじゃあ行くよ」
『うん!』
そう言って階段を降りだした。
「・・・そう言えば、あの壁の装飾意外とかっこいいな。気に入ったぜ」
『・・・』
「せっかくのムードが台無し」
「普通ここで言うかな・・・」
「でも、何だか私達らしくて良いね!」
陽炎は皆に微笑むと階段を降りていった。




