運命の日3
2020年10月9日大幅に編集しました
場所を移し、きらびやかな装飾が施された応接室にて王様と対面して座り、お茶を頂いている。実の所、外国の王に対面したり会話をしたりするのは初めてではないのだけど、自国の王に限って言えばこれまで全くそのような機会は無かった。
養父は私が自国の貴族や王族と顔を合わせる事を嫌い、私は今までの人生のほとんどを外国で過ごして来た。その理由がもしかしたら今から知れるかもしれない。そう思うとそわそわして落ち着かない気持ちになる。
「おぬしは大賢者の養女としてこれまで生きてきたのだな。あやつは貴族でもあり、世界を救った英雄で大商会の会長であるから暮らしに不自由はしなかっただろうが、独り身故苦労する事もあったのではないか?」
「いえ、苦労したのは私では無く養父です。私が小さい頃は仕事を休んでまで育ててくれ、欲したものは何でも与えてくれました。私は養父に感謝しています」
子育てなどした事の無い独身男性が、聞いたところによると急に赤子を連れて来て育て始めたのだと。ご近所や乳母の手を借りながらおじさんは血の繋がらない私を育て上げてくれた。
「良い父親なのだな。余とは大違いだ……」
「え?」
「いや、なんでもない。常々おぬしの事は気になっていたのだ。頑なに妻を娶ろうとしないあの大賢者に娘がいると聞いた時は皆が驚いたものよ。何度も顔を見せに来てくれと頼んだのだが毎回すげなく断られてな。ほんの少しの情報も出てこないものだから、逆に皆の関心を引いてしばらく社交界の話題を独占していたのだぞ」
「そんな事があったんですか。養父は私を徹底的に貴族社会から遠ざけていましたから。デビュタントですら自国では行いませんでした」
「それは恐らくおぬしを守る為であろうな……」
そう言って王様は語り始めた。




