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戦死した俺は異世界で犬の生活  作者: ウエンズディー・S・水田
野犬編

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誤解

 灰色熊は肘から先を崖の縁にかけてもがいている。

 落ちれば助からない事を熊は理解していた。

 後ろ足が虚しく空を掻いている。


 前足で土を掻くが崩れるばかりで爪が掛からない。

 熊から恐怖の感情が伝わってくる。

 このまま見ていれば熊は必ず落ちるだろう。


 ひときわ大きく体がずり落ちる。

 危ない。

 俺はとっさに熊に駆け寄った。

 前足を咥えて引き上げる。

 だが、もう片足が俺の顔を薙払う。爪が俺の鼻先をかすた。

 違うんだ。


 熊はあっけなく落ちてゆく。

 崖の中腹の岩肌に何度も体を打ちつけ、崖下に広がる低木の茂みの中に消えていった。


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