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枯れ木
森を抜け平地に出た俺は崖を目指して走った。
熊の速度が上がり俺の後ろ足に鋭い爪が届きそうだ。
視界の先に一本の木が見えてきた。
崖の際にせり出した枯れ木。
長年の風雪で木は傾き、根はむき出しになっていた。
俺は速度を上げ、木に飛びついた。
四本の足で木に抱きつくと、たぐり寄せるように頭上の枝まで登って行く。
俺はどんな犬よりも木登りが上手かった。
枝のあいだで振り向くと、熊は木の下で俺を見上げていた。
躊躇しているのだ。
だが、目が合うと熊は木を登り始めた。
俺は慎重に木の先端に向かって後ずさる。
熊が俺に誘われて先端に近づくと、枯れ木は明らかに傾き始めた。
俺は一気に熊を飛び越える。
鋭い鉤爪が俺の腹を斬りつけた。
バランスを崩した熊は両前足で木にぶら下がる。
俺は傾く枯れ木を駆下り、木の根を掘り始めた。




