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元日は親友二人とハイカラさんとで初もうでに出かけよう!

 多くの思い出に浸りながら【みどり】は中学三年生最後の年末を過ごしていた。

 そして迎えた新年、【みどり】は【美雪】と【文】とで初もうでに行く。

 そこで【みどり】は多くの知っている人物と遭遇する……。

 中学三年生の大事な時期にクラスマッチなんて思っていたけれど、参加して良かったと思えた。

 そんな私は去年までとは違う気分で年の瀬を迎えている。

 もう大みそかだ。

 去年は何もしていないだけだった。

 何もしていないと言うより、何もなかったからだ。

 でも、今年は多すぎる思い出を振り返りながら過ごしている。

 とても充実した気分だ。

 それもこれも、全てハイカラさんのおかげである。

 ハイカラさんとは私の隣にいる、黒髪で、日本人形のような顔をした、

年齢不詳の女性の幽霊の事だ。

 ハイカラさんは私の守護霊である。

 思えば中学三年生になって四月最初の月曜日、私は、ハイカラさんと出会った。

 そして、そこから私の運命は大きく変わった。

 不登校だった中学校への登校。

 そして、親友との再会。

 新しく出来た親友、友達。

 それに、素晴らしい恩師たちとの出会い。

 それから掛け替えのない思い出。

 ハイカラさんが変えてくれた運命のおかげで、私はここにいれる。

 なんて一年を振り返りながら話していたら、ハイカラさんから、ほほっと笑われてしまった。

「ハイカラさん⁉今、いいところだったんだよ?  何で、笑うかな?」

「ほほほ。いえ、みどりさんが随分大人びた事を言っておられますので……」

「じゃあ、何で笑うのよ?」

 私が何度聞いてもハイカラさんはほほっと笑うだけで教えてくれなかった。

 でも、何となく分かる。

 この優しい笑いは、私を褒めてくれてるんだって事が。

 それが分かると、私も、くすって笑う事が出来た。

 そうやって私達は大みそかを過ごした。

 そして迎えた元日。

 私は、美雪と文とで初詣に行く約束をしていた。

 今日は一段と寒さが体に堪える。

 なので耳まで防寒を忘れずに着込んだ私は、ハイカラさんと外に出た。

 すると、そこには同じくバッチリ着込んでいる美雪がいた。

「みどりちゃん。明けましておめでとう!」

「美雪ちゃん。明けましておめでとう!」

 そして、二人で、今年もよろしくって言って、笑った。

 それから私は、美雪と、ハイカラさんとで神社に向かった。

 その神社は多くの初詣の人出溢れかえっていたけど、文と合流する事が出来た。

「小松さん、宮本さん。明けましておめでとう!」

「文ちゃ~ん! 明けましておめでとう!」

「明けましておめでとう!」

 美雪に少しだけ先に言われたけれど、私も文に信念の挨拶をする事が出来た。

 それから、やっぱり三人で、今年もよろしくって言って笑った。

 そして、私達は参拝する為、拝殿へ向かった。

 すると、その道中の出店で見た事のある人物がいた。

「ねえ、あれって、ぷに だよね?」

「本当だ! 平井君ったら、何かいっぱい食べ物を買ってるよ⁉

 まだ朝早いのに……」

「全く、ぷに殿の食欲は底無しなのですね……」

「その前に宮本さん……。ぷにって、平井君の事なの?」

「そうだよん♪」

 私達が話している事には全く気付かず、平井は沢山の食べ物を買っていた。

 今年も平井の食欲は全開のようだった。

 そんな平井はそっとしておいて、私達は足を進めた。

 そして、拝殿の近くまで来ると多くの人が並んでいた。

 なので私達もその列に横並びで並び、その時を待った。

 あれだけ防寒着を着込んでいるのに、鼻が痛い程、空気が冷たかった。

 出る息も白かった。

 それもそのはず、ちらちらと雪が舞ってきたのだ。

「うわっ! 雪だよ!」

「本当だ、美雪ちゃん!」

「寒いはずだね小松さん!」

 雪を見た私達は、はしゃいでしまった。

 でも、それは私達の周りの人もそうだった。

 神聖な空気の中、少しだけ舞い散る雪は厳かな雰囲気を彩ってくれた。

 だけど、肩に薄っすらと雪が積もってくると、さすがに何か温かい飲み物でもほしくなった。

 なので、産廃が終わったら何か買いにいこうと美雪と文とで話した。

 そんな話をしていると、私達の産廃の順番が回って来た。

 でも、私は何をお願いするのか全く考えていなかった。

 どうしよう……。

 昨年までなら、適当に終わらせていたけど、今年は、いっぱいお願いしたい事がある。

 でも、短い時間で願える事は少ない。

 なので、私はこれらの事を願った。

 今年一年、健康でいられますように。

 美雪と文とずっと一緒にいられますように。

 そして、ハイカラさんとも……。

 無事に願い終えた私は、美雪と文とで何か温かい飲み物を探しに行った。

 すると、甘酒があったので、それを購入する事にした。

 でも、ここでも知っている人物と遭遇してしまった。

「あれ……。木田君?」

「おや、小松さんではありませんか!

 明けましておめでとうございます!」

「明けましておめでとうございます!

 木田君、今年もよろしくね!」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします!」

 私と木田が信念の挨拶を交わしていると、美雪が話に割り込んできた。

「ちょぉーと、木田?

 私達もいるんです、け、ど?」

「ああっ⁉ これは申し訳ありませんでした!

 宮本さん、佐藤さんも明けましておめでとうございます!」

「明けましておめでとうございます。木田君」

「木田……。何課、私達って、みどりちゃんのおまけなぁの?」

「ち、違いますよ⁉」

 不服そうな美雪を見た木田は慌てていた。

 それを私達三人は微笑ましく見守った。

 それから木田をからかう事に飽きた美雪は甘酒を買う事を思い出し、木田も甘酒を一緒に買った。

 どうやら木田も参拝に来たのだが、

木田の母がお守りや、おみくじを買うのに時間がかかるので、時間つぶしをしていたらしい。

 そんな事を話しながらみんなで甘酒を飲んでいると、木田の母がやって来た。

 相変わらずの茶目っ気たっぷりの挨拶と、トークで木田は恥ずかしがり、

「また新学期にお会いしましょう!」と言い残し、足早に去ってしまった。

 その木田の後を木田の母はくすくす笑いながら、私達に一礼した後、追い掛けて行った。

「何課騒がしい人達だったねぇ……」

「本当だね、宮本さん。でも、木田君のお母さんがあんなに楽しい人だったなんて、意外だったね!」

「私も三者面談の時にそう思った!」

 私達が甘酒とトークで体を温めていると、またもや知っている人物達と遭遇した。

「あれぇ? 小松さんに、佐藤さんに、宮本さんじゃんか!」

「んっ⁉ 大隈ぁ? 何で、あんたがここにいんの?」

「何でって、俺は伊藤と西園寺と初詣に来てんだ!」

「へえ……。あんた達でもこういう行事に参加するんだねぇ!」

「おいおい……。それは失礼じゃないのかい?」

 美雪に呆れた大隈が苦笑いしていると、伊藤と西園寺が近づいて来た。

「おっ⁉ 小松さん達じゃん! あけおめ!」

「伊藤君。明けましておめでとう!」

 私と文が同じように信念の挨拶をした後、美雪は伊藤と同じような信念の挨拶をした。

 だけど、西園寺は何も言わなかった。

 すると、伊藤と大隈が顔を見合わせ、にやにや笑いながら話し出した。

「あれぇ? 西園寺さぁ……。小松さんに何か言わなくてもいいのぉ?」

「はっ⁉ 大隈‼ 何が言いてえんだ?」

「西園寺君、何怒ってんだい?

 大隈君はただ、小松さんに信念の御挨拶をしたらどうだって言ってんじゃねえの?」

「っ⁉ うっせぇっ‼ そんなもんしなくったっていいんだよ‼」

 西園寺は何故か怒りだしてしまった。

 そんな西園寺に、私は信念の挨拶をする事は出来なかった。

 だけど、私が首を傾げて西園寺を見ていると、大隈が何かをひらめき、提案してきた。


 俺は平井 雄平。

 明けましておめでとう!

 一応、言っとくぜ? もぐもぐ……。

 ん? 何だ何だ?

 これはやらねえからな!!

 にしても騒がしいな……。

 あぁ、なんだ。

 大隈の阿呆か……。

 ふっ、放っておこう!

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